【原作完結】僕の脊髄ぶっこ抜きアカデミア【オリジナルストーリー開始】 作:ぶっこ抜きデク
「つまり……その効果は人由来、個性って事?個性による個性破壊……」
「うーん、さっきから話が見えて来ないな、それがどうやって八斎會に繋がるんだ?」
緑谷と通形は互いに理解しかけ冷や汗を流す中、まだヒーロー達は掴めないとぼやく、そこはファットガムがさらに語り始めた。
「今回切島くんが捕らえた男、こいつが使用した違法薬物なぁ……そう言うブツの流通経路は複雑で今でこそかなり縮小されたが、いろんな人間、グループ組織が、何段階にも卸売を重ねてようやっと末端に行き着くんや……八斎會がブツをさばいとった証拠はないけど……その中間組織の一つと八斎會は交流があった!」
それだけか?こじつけ過ぎないかとヒーローの誰かが声を上げると、ナイトアイがさらに補足に入る。
「先日リュウキュウ達が退治したヴィラングループ同士の抗争……片方のグループの元締めが、その交流のあった中間売買組織だ」
「巨大化した1人は、効果の持続が短い粗悪品を射っていたそうよ」
そこからリュウキュウ、ひいては波動先輩や麗日、蛙吹が活躍した事件に繋がるのかと、頭の中で事件同士を緑谷は紐つけた。
「最近多発する組織的犯行の多くは、八斎会に繋げようと思えば繋がるのか?」
「八斎會をどうにか黒にしたくてこじつけてるような……もっとこう、バシッと繋がらんかね……」
しかしまだ繋げるには弱いと口々に呟く中、正面の映像が切り替わる。死穢八斎會若頭、治崎廻……オーバーホールの写真へ切り替わり、ナイトアイが言った。
「若頭、治崎の個性は"オーバーホール"対象の分解、修復が可能という力です、分解……一度壊し直す個性……そして個性を破壊する弾ーー」
その、ナイトアイの話を聞いた瞬間、緑谷と通形は全てが繋がった。
夥しく巻かれた手足の包帯、必死に自分のコートを引っ張る彼女……確かに聞こえた声。
『行かないで……』
自分は、手を伸ばした彼女を、振り払ってしまったのだ……。
「うぐ……ううっ!?」
お前は助けを求めたあの子を、自分の都合で振り払ったのだと突きつけられて……緑谷は景色の明滅と、込み上げてきた胃の内容物を必死に抑えようと口を塞ぐ。
「お、おいおい!?吐くなよ、大丈夫か!?」
「緑谷くん!しっかり!!」
当事者であるが故の、責務だとか、考えだとか、色々な全てが緑谷を押しつぶしにかかる。それを見て左右のロックロックとミリオが、流石に心配になり声を上げた。
「トイレまで俺が連れて行こう、さぁ緑谷くん……」
その背中を摩り、俺が連れて行くとタカカズがゆっくり立たせ、緑谷は会議室から退出した。
「ぐぅえええ!うぇぉああーー」
「よーし、そのまま全部出してしまえ……スッキリするまでな?傍にペットボトルの水あるから、口もゆすいでな?」
男子トイレの個室、その外でタカカズは、嘔吐する緑谷にそう声をかけた。
「すいません……タカカズさん、こんな醜態……」
「良いって事よ、話の流れからして……当事者だったのかい?」
迷惑をかけたと、口をゆすぐ水にわざわざペットボトルのミネラルウォーターまで買ってくれたタカカズに謝る緑谷。気にするなと、壁に背を預けたタカカズは、そこまで追い詰められて吐いたのは当事者だからかと質問する。
「……子どもが、助けを求めてました……エリと呼ばれて……彼女が多分……弾の材料にされてます」
「成る程……インターンの手前キミは、ナイトアイの捜査とリスクを秤にかけて、ナイトアイを選んだのか……やりきれないな」
要領を得ない語りだったが、今までの話と繋がってタカカズは理解した。そして、その判断を非難せずに同情した。外野は何故無理矢理に保護しなかっただの言うが、むしろ理性的な判断だとタカカズも感じたからだ。
ジャゴー……っと流れる音が聞こえ、緑谷は扉を開く。涙目で、苦しそうで、それでも顔色はよくなったらしい、ペットボトルの水を少し飲み緑谷は改めてタカカズに頭を下げた。
「ありがとうございます、水の代金払いますので」
「良いさそのくらい、それよかこの後だぜ緑谷くん?」
ミネラルウォーターくらい気にするなとタカカズは、それよりもこれからの話だと、手洗い場へ向かいながら言う。
「この後……」
「助けるんだろ、エリって子を……あの時助けられ無かったならば、その時までにはしっかり身体と心の調子を整えておくんだ、多分だがキミや雄英生はサイドキックとして、この後の作戦は参加になるぜ?」
途中抜けてしまったが、恐らく死穢八斎會へのガサ入れや、エリという少女の救出、裏が取れたらこの会議に参加した以上はヒーローとして、作戦に参加するのが流れだとタカカズは予想した。手を洗い、乾燥機に手を晒して乾かしてから胸元にしまったハンカチで手を拭いて緑谷に語りかける。
「全部出してスッキリしたろ?後悔も、懺悔も、切り替えてその時に備えるんだ……いいかい?」
改めて、この人は……確かにヒーローなのだと理解する。噂が先行しているし、性癖まで公言しているが、彼もまた意思あるプロヒーローなのだと教えられた。
「はい、ありがとうございます……」
「お、良い顔になったじゃないの、じゃあ心配しているクラスメイトの元に行こうじゃない?」
吐いてスッキリ、切り替わった様子にそれでよしとタカカズは、緑谷の肩を軽く叩き会議室へ共に戻るのだった。