【原作完結】僕の脊髄ぶっこ抜きアカデミア【オリジナルストーリー開始】 作:ぶっこ抜きデク
悲劇だった……せめてもっと早く打ち明けたら、こんな事にならなかったろうに。タイミングが悪いだとか、邪魔されたとか、言い訳にしかならない。
「はぁあ?はぁあああ!?なんだお前その力ぁ!そんな個性でヒーローなんかなろうとしてんじゃあねぇよぉおお!誰なんだよお前はよぉおおお!?」
現れた敵、それが先生を傷つけ、クラスの皆を殺そうとしている……皆が散り散りになったこの場で、戦えるのは僕しかいない。
「み、緑谷ちゃん……キミは……」
「ひぃいいい!?く、くび!首がもげてるぅううう!?」
蛙吹さん、峰田くん……ごめん、クラスのみんなもごめん、かっちゃん、ごめん、相澤先生、オールマイト、ごめんなさい。それでも今は、こいつらを……このヴィラン達を皆殺しにしてでも、皆を守ると決めたんだ!
「恐怖しろ……」
引き抜いた筋肉だるまのヴィランの脊髄を投げ捨て名乗りを上げる、僕のヒーロー生活は、始まる前に終わるだろう。
「そして、泣き叫べ!」
それでもいい、終わったっていい!皆を守れるなら、僕は敵を殺す!その最後を飾るなら、せめて名前くらいはヴィランに刻み込んでやる!
「お前の目の前にいるのは、悪の個性を宿しながら、正義を成す男!雄英高校1年A組緑谷出久!!個性は……脊髄……ぶっこ抜きだぁあああ!!」
さようなら、ありがとう、1ーAよ、お元気で。そうして緑谷出久は、手首を纏うヴィランに突貫しーー。
「遅かったか、長話恨みますよ校長!!」
遅れて参じたオールマイトは、彼の起こした惨状に間に合わず悔やんだ。
爆豪勝己ボッコボコ事件からしばらく……多忙ながらも、クラスメイトの優しさに触れながら緑谷出久の日々は充実していた。
学級委員長決めがあったので、飯田くんがやるべきだろうと思い、その場で推薦文を20枚書いたり。
上鳴にマックがダメならカラオケ行くべと峰田や切島と共に初めて友達とカラオケに行き、DIE SET DOWNを熱唱したらアンコールで小林太郎の歌だけを熱唱させられ喉を破壊されたり。
尾白と軽く組み手をしていい汗かいて、格闘技談義をしたり。
砂藤と背徳の超高カロリー高糖分アメリカンケーキクッキングをして、女子に振る舞ってカロリーに怒られながら自身もドン引きしたり。
久々に母校の中学校に帰ったら荒れてたので、校長やお世話になった先生方に会って頭を撫でてやってから、愉快なオブジェを後輩で作成したり。
相澤先生にふんじばられたり。
オールマイト先生とお弁当食べたり……。
「あーー……学園生活……すんごい楽しい……」
「どんな荒んだ生活を中学で送ったのかしらね、緑谷ちゃんは?」
バスに揺られそう呟いた出久にそう尋ねたのは、クラスメイトの蛙吹梅雨。個性は蛙で、カエルみたいな事は大概できる女の子である。
「色々ありました、色々」
「まーた泣いてんのかよ緑谷!お前バカみてぇに強いのに泣き虫だよなぁ!」
今、1-Aはヒーロー基礎訓練の、レスキュー訓練の為にバスで移動していた。訓練の激しさや厳しさを含めても、楽しいと言えるくらいに皆との交流は充実していたのだ。
「そういえば……結局今日まで聞いてなかったけど、緑谷ちゃんの個性はなんなのかな?」
そして、それは突然やって来た。蛙吹に尋ねられ、バスに静寂が訪れた。
「私、思った事は何でも言っちゃうの……今日まで隠してるのは緑谷ちゃんだけ、いい加減教えてくれても良くないかしら」
「確かにそうだな……緑谷くんの個性を知る人間は、爆豪くんくらいだろう?彼は言わないし」
「はっ!クソヴィラン!遂に年貢の納め時だなぁ!?言ってやったらどうだ!!」
「おいおいつっかかんなよ爆豪、ボコられたからってよー?器ちっせーぞ?まーでも、気になるよなー」
いい機会かもしれないな……ようやく言えると、緑谷は皆に遂に言い放った。
「僕の個性は……脊髄ぶっこ抜きなんだ」
「「「「は?」」」」
「だから、脊髄ぶっこ抜き、頭とか触った相手の脊髄を引き抜いて殺しちゃう、そんな個性なんだよ」
遂に、ようやく言えた……ドン引きだろうが、楽には成れたと思った……しかし……。
「ぷっ………」
「くく………」
あはははははははははははは!!
響き渡ったのは、笑い声だった。
「おいおい、勘弁してよいずくっちー!そんな脊髄ぶっこ抜きって、何食ったらそんな単語出るんだよ!」
「まーあれだろ、それくらいの身体強化と馬鹿力ってわけだろ?単純でいいよなー爆豪倒したのも納得だよ」
「緑谷さんも、そんな冗談がいえますのね、思わず笑ってしまいましたわ……」
笑われた、あり得ないだろうと、冗談だろうと。それを聞いた緑谷は、苦笑いをしながら、作りながら言った。
「あははは、なんてね……冗談だよ、冗談……あははは……はは」
皆が笑う中で、ただ1人……爆豪だけは舌打ちをして黙った。担任の相澤も、沈む緑谷の表情と騒がしく笑う担当の生徒に溜め息を吐く。
「もう着くぞ、いい加減にしとけよ!」
緑谷出久は、久々に孤独を感じたのであった。