【原作完結】僕の脊髄ぶっこ抜きアカデミア【オリジナルストーリー開始】 作:ぶっこ抜きデク
「っし!一番乗り!!」
衝撃の事実が発覚してから数日、サー・ナイトアイとチームアップしたプロヒーロー達が、死穢八斎會の若頭治崎とエリちゃんの居場所を特定するまでの間、緑谷達インターン組は待機となった。インターンに関しての情報は、一切の口外を禁止された中……緑谷出久の精神は衰弱から蘇り始めた。
「緑谷さん……調子が戻るどころか更に充実し始めてますわね」
「飛ばしてバテるどころか、猿みたいに登って行って一番に上り切ったよ」
「と言うか、インターン組の動きのキレがいい……」
岩壁の登攀訓練が行われた午後の授業、緑谷だけでは無く、切島に麗日、蛙吹の動きも良かった。それだけ此度の事件、解決の為に気合が入っているのが伺え、A組のインターンがまだな面々も唸るほどだった。
「外で何か掴みやがったんだ、こらオイ!!何を掴みやがったぁ!言えぇ!!」
「悪い!言えねぇ!!」
「ごめんかっちゃん!守秘義務!!」
「ちぃい!!」
更に進み出す者達への焦り、上昇志向から爆豪が切島に何があったか詰められたが、切島が言えないと、緑谷も守秘義務だと返答すれば納得してくれたらしい、舌打ちで済んだ。
エリちゃんの救出に皆が奮い立つ。当事者であり、手を振り払ってしまった緑谷の自責は……吐瀉物と共に消え去り、ただ救出すると言う事に集中し、英気を養う。
救出すると言う事に……。
そう、救出の為だ、あくまで対象の保護の筈だ、決して『死穢八斎會を殲滅する』ではない。
だから、放課後に寮へ帰って、また何やら荷物を持ち出していた緑谷を見かけた切島が、何をやってるのか気になってついて行ったらーー。
「うん、取り回しも良くなった……」
体育館γで、ターゲットを貼ったセメントの壁に向けてショットガンをぶっ放しているのを見て、切島は血の気が引いたのだった。いつからここはアメリカになったんだ!?なんで学校に実銃持ち込んでぶっ放してんだよ!?切島は恐る恐る緑谷に背後から声をかける。
「あ、あのー……緑谷さん?」
「うん?」
思わず敬語になるくらいには、刺激しないようにと切島は声をかけ、緑谷は声に気づいて振り返った。
「やぁ切島くん、どうしたの?あ、もしかして自主練使う予定入れてた?」
「あ、いや違うんだけど……それ……銃……だよな?」
切島が指差したショットガン……なのだが見た目はまるで子どもの玩具、しかして実銃と同じ発砲音を出してターゲットを射抜いていたそれは、実銃かと尋ねて緑谷は、ああ!とスッキリした笑顔で答えた。
「これね、民生品の暴徒鎮圧や護身のサポートガジェット、まぁ確かに、実銃じみてるよね?実際、銃器メーカーから出されてる奴だから」
「な、なんでまたそんな物を?」
「それは勿論……エリちゃんを救うためさ」
救出で、そんな物騒な代物が必要なのか?切島は訝しんだが緑谷の話は続く。
「あ、心配しないで?ちゃんと雄英に申請出して許可取ったガジェットだし、公安委員会の審査も通ってる民生品だから、いやいいよね仮免とは言えヒーロー免許は!本来ならガジェットの所有やらの申請、県への登録と持つのに色々必要なのが仮免やプロヒーローはまとめて審査できるし許可取れるから」
「え!?そうなのか、こんな物騒な物が!?」
「ヒーローの法律のガジェット部門、そこに詳しい文章で書かれてるよ、教科書では軽くしかやってないけどね」
勉強を怠っているわけではない。切島は、基本素手と個性で戦うためそういった、ガジェットに関してはあまり自分には関わりの無い部分で、目を通しても頭に残らなかったなと切島は自覚する。
「で、サポート科に……インターン後くらいかな、ストックやらを合わせてもらったりして調整を兼ねて練習してたわけ……」
BLAM!BLAM!BLAM!
振り返って、並んだターゲットに向けてまた引き金を引く緑谷と、音に耳を塞ぐ切島。そして、緑谷が腰あたりに何やらつけており、そこから筒を4本ほど握り掴み、ショットガン型ガジェットの穴から、一気に2本ずつ素早く押し入れるのを見た。
めちゃくちゃ手慣れてらっしゃる!?明らかに練習したのが伺えるが、どこで習ったんだと疑問に思いつつ、切島はただその射撃練習を眺めた。
本当に荒唐無稽で破天荒だ、顔立ちは自分たちより少し幼く子どもじみている。そのくせ、時に大人みたいに達観じみたりして、幼児のようになきじゃくる。
けど……A組の誰よりもヒーローだ。
USJでは、血濡れになっても峰田や蛙吹、先生を助けた。
林間合宿では、腕が砕けてもヴィランを倒して子どもを守り抜いた。
神野では……たった1人死地へ飛び込み爆豪救出を成して、さらにはオールマイトが追い詰められた敵と戦い勝ってみせた。
「緑谷ってさ……どうしてヒーローになろうってなったわけ?」
だから、ふと切島は尋ねた。何故ヒーローを志したのかと。それが銃声の中でも聞こえていたらしい、撃つのを止めた緑谷が再び振り返る。
「あれ?切島くんには……言ってなかったっけ……あら?」
「いや、聞いた事ねぇんだよな?どうしてだ?」
誰彼に話したか忘れているらしい、しかし切島は聞いた覚えが無いと言うので、緑谷はガジェットを置いて、ならばと話すことにした。
「僕さ……もしかしたらヴィランになってたかもしれないんだよね、オールマイトに出会わなかったら」
「は?」
緑谷は、オールマイトとの出会い、そして今は懐かしき中学時代を語り出した。