※この作品はR-18です。

【原作完結】僕の脊髄ぶっこ抜きアカデミア【オリジナルストーリー開始】   作:ぶっこ抜きデク

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188話 男同士の語り合い

緑谷は、切島に語った。

 

 個性でいじめられた話。

 

 個性で親戚に絶縁された話。

 

 やりかえして、皆が恐怖した話。

 

 やがて、全てを跪かせた話。

 

 そして腐りかけた中、オールマイトに助けられて、キミはヒーローになれると言ってくれた話を。

 

「不良のワル自慢でしか無いけどさ、僕はオールマイトに言われなかったら、ここには居ない。下手したらそれこそ、ヴィラン連合で死柄木の横に居てもおかしく無いくらいには、揺らいでいた」

 

「緑谷、そんな事してたんかよ……」

 

「そうでもしないと、折寺中学校は騒がしくてさ……ヒーロー科に進んだの、僕とかっちゃんくらいだよ?あの学校……」

 

「なんつー治安の悪さの不良学校なんだ……」

 

 折寺の治安おかしいだろ……それは兎も角、緑谷が時折見せる苛烈さは、中学時代の名残なのかと切島は汗を垂らした。

 

「そして僕は……ヒーロー仮免まで来れた、脊髄抜くしかできなかった個性が、物を引っ張るまで成長できて、やっとまともなヒーローになれそうな段階まで来れたわけ……憧れの言葉が、僕を引き止めてくれたんだ」

 

 まだ1年少し前の話だが、しみじみと思い出す懐かしいものだと緑谷は語り、そして今度は自分が尋ねた。

 

「切島くんは……どうしてヒーローに?」

 

「俺は……紅頼雄斗への憧れもあるけど……実は雄英受けた理由は芦戸のおかげなんだ」

 

「芦戸さん?」

 

「同じ中学だったんだよ」

 

「え?知らなかった……そうなんだ……」

 

「あいつは……俺なんかと違って個性も強いし、人当たりも良くてさ……ヒーローになるべくして生まれたって感じで……」

 

 緑谷はふと、普段元気で自信に満ちた切島らしからぬ卑屈な話し方に首を傾げる。普段と違うが……これは一体と、話を聞き続けた。

 

「あー……緑谷って、俺にどんなイメージ持ってる?」

 

 そんな不可思議な顔を見て察したのか、自身のイメージを尋ねてきた切島に緑谷はキッパリ答えた。

 

「男らしい、元気活発、質実剛健?」

 

 そのイメージしか、見えなかった緑谷に切島は自嘲気味に言った。

 

「元々は違うんだよ、本当の俺は……弱くて地味な……ああ、そんな感じ……それが、俺なんだよ」

 

 切島もまた、過去を語り出した。

 

 硬化という地味な個性に悩んでいた事、芦戸への憧れ。その芦戸が……巨人に詰め寄られる友人を助けに行き、自分は見るしか出来なかった話。

 

「後悔しかなかったよ、足が竦み何も出来なかったんだ……それで、紅頼雄斗の、ヒーロー名鑑のインビューの言葉がさ、俺の背中を押してくれた、後悔の無い生き方、それが……漢気だって」

 

 それが、自分が雄英を目指してヒーローになる始まりで、理由なんだと切島は緑谷に語った。

 

 彼の抱える内面を知り、緑谷はそうだったのかと、初めて切島という少年を深く理解できたのかもしれないと感じた。

 

「素晴らしい理由だね、僕よりもずっと……ヒーローの始まりって感じ」

 

「え!?お、おお……ありがとう」

 

 掛け値なしに、緑谷は切島へ賛辞を送る。そして、さらに尋ねてみた。

 

「切島くんは芦戸さんの事、好きなの?」

 

 直球の質問、それを聞いた切島は赤面して慌てた。

 

「な!?あ、いや……あこがれであってだな、それはーー」

 

 いかにもな反応に、緑谷は少しだけ心中の悪魔が笑って、ちょっと煽ってみる事にした。

 

「漢気はどうしたー?レッドライオット?」

 

「み、緑谷ぁ!ああ、好きだよ!憧れてるし、惚れてる!正直お前が更衣室の穴覗いて何か……見ちまった時は正味嫉妬するくらいに!」

 

「いや本当にあれは……事故だって、あんなの予測できるわけないじゃん」

 

 切島の芦戸への好意と、赤貝事件への嫉妬。あれは勘弁して欲しいと容赦を願う緑谷は、そうかそうかと切島に頷いて、そして言った。

 

「ミッドナイト先生がさ、教えてくれたんだけど……ヒーローの条件に、大切な人、愛する人を守る為に駆けつけるのもまた、ヒーローなんだって」

 

 自分の中のヒーロー像が思い浮かばず、悩んでいた時に……教えてくれた事、それを切島にも緑谷は教える。

 

「そ、そうか……あの先生らしいな、なんか」

 

「もしもこの先、芦戸さんがピンチになった時は……身を挺して守ってあげなよ切島くん、その硬化の個性は誰かを守るのにぴったりだからさ」

 

 肩をポンと叩いて、さてと……と、緑谷は傍らに置いていたらしい箒とちりとりを持った。

 

「僕は掃除して帰るからさ、切島くんは帰んなよ?そろそろ門限だろうし……」

 

「いや、せっかくだから手伝うぜ緑谷、見かけたのもあるしさ」

 

 自分の訓練の始末は自分でと、掃除に取り掛かる緑谷に切島は折角だから手伝わせろと、薬莢を拾い始める。お互い、抱えた物を話して仲良くなれた……そんなインターンの最中の一幕であった。

 

 

 

「ところで緑谷ってさ……誰が好きなんだ?ミッドナイト先生?八百万?麗日?」

 

「え?全員」

 

「お前、刺されても知らないぞ?」

 

「中学時代……僕に喧嘩売って返り討ちにされた彼氏の復讐で刺しに来た女の子の話、しようか?」

 

「経験済みかよ!?怖いな折寺中学!!」

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