【原作完結】僕の脊髄ぶっこ抜きアカデミア【オリジナルストーリー開始】 作:ぶっこ抜きデク
「火急の用や!土足で失礼するでぇ!!」
本部内に踏み込んだファットガムが声を上げる。此度の警察の指揮を任された刑事、そして警察官が数名とナイトアイ事務所、ファットガム事務所とそのインターン生、さらにロックロックが屋敷内へ突入する!
「怪しい素振りどころや無かったなぁ!」
「俺はだいぶ不安になって来たぜおい、始まったらもう進むしかねぇがよぉ!」
まさか突入時に仕掛けてくるわ、止めに来るわで、余程此度の件は知られたく無いらしい。
「何処かから情報が漏れていたのだろうか……嫌に一丸となってる気が……!」
最初は緑谷の銃撃に臆して通してくれたが、すぐ持ち直して嫌に統率が取れていたと評する天喰、まさか情報が漏洩したかとネガティブな考えを口にしたが、刑事がそれを否定する。
「だったらもっと、スマートに躱せる方法を取るだろう!意思の統一は普段から言われているんだろう!?」
「杯を交わせば、親分兄貴分に忠義を示す……肩身が狭い分、昔ながらの結束を重視しているんだろうな」
この統率は、極道やヤクザという組織の、杯から来ているのだと天喰に相澤が説明した。そこらのヴィラン連合にはない、杯による忠義の文化がこの統率を産んでいるのだと。
「この騒ぎで治崎や幹部が姿を見せていない……恐らく地下で隠蔽と逃走の準備中だろうが……」
下っ端を切り捨て悠々と逃走する、その様に切島は叫んだ。
「忠義じゃねぇやそんなの!子分に責任押し付けて、男らしくねぇ!!」
頷くファットガム、そしてナイトアイが、廊下途中の掛け軸と花瓶を飾ったニッチスペースで声を上げた。
「ここだ!この下に、隠し通路を開く仕掛けがある!この板敷を決まった順番に押さえると……開く!」
ナイトアイが花瓶をどかし、板敷を押せば沈み込み、それを予知で見たらしい順番で押していく……すると、ガチリと壁のロックが外れてズズズズと、スライドして隠し扉が動き出した。
それを見た緑谷は、その隠し扉の横……視界では死角になる場所へ陣取ったのを見て、ナイトアイはその意図を理解し、お互い頷いて全員に下がるようジェスチャーで指示した。
開かれた隠し扉から、手が這い出て、そして現れるのは不意打ちを狙った3人の構成員!
「なんじゃあてめぇーー」
ズドン!ズドンズドン!!
「「「ぎにゃあああああ!?」」」
「センチピーダー!バブルガール!捕縛を!!」
「はい!」
「了解!」
非殺傷弾頭を真横から、肩や腰脇腹に受けて倒された構成員を、センチピーダーとバブルガールが取り押さえた。そしてガジェットを構えた緑谷が、隠し通路の奥をクリアリングし、ナイトアイに頷くとナイトアイが親指を立てた。
「ま、待ってや……なんでヒーローがそないなチャカ、持っとるんやぁ……」
「ガジェットです、チャカじゃないですよ、多分、メイビー、恐らく……」
一人がそんなのありかよと、取り押さえなくてももう痛みで立てれない様子に、バブルガールは苦笑する。
「いくぞ!もうすぐだ!急ぐぞ!」
ここからは、叩き込んだ地下地図が頼りになる。ナイトアイを先陣に隠し扉から救出組が地下に降り立ち、早速エリちゃんが待つと思われる部屋に向かうため、右へ曲がった。
しかし、そこは壁によって塞がれていたのだった。
「行き止まりじゃあねぇか、道!あってんだよな!?」
「説明しろナイトアイ!!」
このルートであっているはず、しかし予知と違うと口々に刑事とロックロックが言う中、ミリオが動いた。
「俺、見てきます!」
自分が透過して見てくる、そう言ってヘルムを外したミリオに、緑谷が手を差し出した。
「預かりますよ、ヘルム」
「ありがとうイズク」
ヘルムを預かり壁に向かうミリオに、切島が、はっ!となった!
「ルミリオン先輩待って、また真っ裸に!?」
そうだ、透過によってコスチュームが脱げてしまうのではと切島は止めた、しかしそこは天喰が諭す。
「大丈夫、ミリオのコスチュームは奴の毛髪から作られた特殊な繊維だ……発動に呼応し透過するようにできている」
それなら心配無いなと切島がホッとすると、ミリオは頭だけ透過して壁の先を覗いた。
「壁で塞いであるだけです!ただ、かなり厚い壁です!」
やはりそうだったと、ミリオは壁の先に道があったと報告し、手を上げれば緑谷がヘルムを下手投げでパスし、それを被り直して戻った。
「治崎の分解して直す個性なら、可能か!」
「小細工を……」
時間稼ぎのつもりかと、ロックロックとファットガムが歯軋りする中、緑谷は背中のホルスターにガジェットをしまい、壁に向かって歩き出す。切島も、ここは自分の出番だなと緑谷と共に歩き出した。
「来られたら困ると言ってるようなものだ……」
「そうだなぁ……妨害できるつもりならめでてぇなぁ!!」
切島が左拳を硬化させ、腕を振りかぶる中、緑谷は体から……紫色の稲妻を迸らせた。
『こんな時だからこそ……試してみようか……』
試運転には丁度いいと、右足に意識を集中させて緑谷は跳躍し、心中で唱える。
『ワン・フォー・オールミラージュ、ファーストギア……30%!!』
切島の拳、そして緑谷の右足が壁に着弾し、轟音が上がった!
「烈怒頑斗裂屠!!」
「バイオレントストライク!!」
分厚い壁は粉々に砕け散り、道は開かれたのだった。が……切島は、コンマ数秒後、ある事に気付かされる。
『え!?緑谷自力で壁を破壊する蹴りを放った!?いや、熊倒した緑谷ならそれくらいできるか!?』
緑谷も、実は……。
『あー……これまずかったな、切島くんに譲るべきだったよな……後でオールマイトやナイトアイに説明していいか尋ねよう、うん』
もっと誰もいない場所で使うべきだったと、言い訳する必要ができてしまったと後悔するのであった。