【原作完結】僕の脊髄ぶっこ抜きアカデミア【オリジナルストーリー開始】 作:ぶっこ抜きデク
死穢八斎會本部裏側……。
『ナイスガイヒーロー』タカカズは、愛車に体を預けながら、騒がしいガサ入れを見ながら逃げ出す輩が居ないかを確認する。個性を鑑みての配置である、彼の個性『吸引』は、あらゆる物を吸い込むが故に、無差別な為密室では仲間を巻き込む。
だから、この配置に文句も無く、しっかり責務を果たそうと気を張って、違和感や不審な輩、さらには裏口から逃げようとした場合の捕縛を頼まれていた。
「静かになって来たな、そろそろ決着がつく頃か?」
突入から数十分、裏口から聞こえるヤクザとヒーローの喧騒も収まりつつある。何事も無く治崎、死穢八斎會の逮捕と、エリちゃんの救出ができていればいいがと心配していた矢先であったーー。
タカカズの左側、死穢八斎會隣の物件からスキール音が鳴り響き、さらに喧しい発砲音が鳴り響いた。
「待てェェ治崎ぃいいいい!!痛ぁあああ!?」
何事か!?さらに叫びが上がり、タカカズはそこから出て来て急カーブして走り出した車から、まるでスタントマンのアクションのように引きずられながら、勢いに負けて横転する出て来た白いコートを見てはっとして、愛車の操縦席に乗った。
「タカカズさん!」
さらに、裏口の扉から透過して出て来たのは通形ミリオことルミリオン!まさかの2人が出て来て、タカカズはまずルミリオンに言い放つ!
「乗れ!逃げたかオーバーホール……後部座席からヒーローシグナル出して付けてくれるかい!?」
「はい!」
「イズクも拾う!カーチェイスまでして逃げようなんて、やってくれるじゃあないの!」
後部座席の青色の回転灯を取り付け、タカカズはサイレンのボタンを押す。
流れ出すサイレン!ヒーローシグナル!今でこそ、己の個性で車や、飛行機と同じく飛ぶ事ができるヒーロー達だが、この様な専用モービルを持つヒーローが、ヴィラン捕縛の運用の際に取り付けられたシグナルと専用のサイレンにより、警察の車両同様の緊急運行が可能となるのだ!
「シートベルト締めなよ!」
ルミリオンが乗ったのを確認して、まずは放り出されたイズクの近くにまで走らせた。
「イズク!乗れ!!」
「はい!」
そのモービル、ブルーのスポーツカーから聞こえた声に緑谷は反応して即座に立ち上がり助手席に乗った。
「しっかり捕まって、さぁドハッテン!フルアクセルだ!!」
喧しいスキール音が鳴り響き、マフラーからエキゾーストサウンドが鳴り響き、緑谷とルミリオンの体が座席に押し込まれ、タカカズのヒーローモービル『ドハッテン』が、タイヤの跡を刻み込んで発進した。
ーー同時刻、死穢八斎會正面側ーー
「退避やぁああーー!爆発するぞぉおおお!!」
激戦により身体が萎んだファットガムが切島を抱え、さらにはロックロックを抱えるイレイザーヘッド、サンイーター、バブルガール、センチピーダーとヒーロー達や警察が屋敷から飛び出して来た。
それだけではない、死穢八斎會の鉄砲玉や組員達も飛び出て来て最早何がなんだかという状況であった。
「何事!?一体何がーー」
「リューキュウも離れぇ!!地下の爆弾が爆発する!!他の者も避難せぇ!はやーく!!」
「なんですって!?」
「ケロ!?」
「えぇっ!?」
「爆弾!?」
組員の鎮圧や捕縛を行っていた麗日と蛙吹、さらに波動も驚愕する。
「すぐに警察車両!救急を下がらせて!!」
「間に合わん!!屈んで安全姿勢取れ!!規模も分からん!!ヒーローは警察と救急を保護せぇ!!」
全員が、組員すらも、安全姿勢で兎に角と爆発に備える。そしてーー。
揺れた、地面が。地震のようにーー。周囲の電柱までも微かな揺れが見れた、そんな爆発……が、起こった筈だった。
「な、何や?爆発……したんやな?」
死穢八斎會の本部から、微かに煙が上がる……その正面入り口から、誰かが……ゆっくりと、足取りを重く歩き出して、バタリと倒れた。
逃げ遅れた奴が居るのか!?ヒーローも警察も駆け寄り、人相を確認し、ファットガムが気付いた。
「お前は……入中か!?おい、しっかりせえ!!大丈夫か!?」
「ぐぉお……おお……」
それは先程まで、ヒーローの侵攻を阻んでいた、死穢八斎會本部長の入中常衣、ヴィラン名『ミミック』だった。入中は、仰向けになり、所々爆発に晒されたのか、火傷と血のひどい有様であった。
「く、組長は……」
「ああ?」
「組長は……無事か……奥の病室に……」
治崎では無く、組長の心配をしている?ファットガムはうわ言のように呟く入中に、耳を傾けた。
「若……いや、ち……さき……いくら、外道に……堕ちて……も……これは……聞いて……な……い……ふざ……け……る……なぁ……」
「喋んな!もうええ!分かった!!救急来てくれ!!早く!!」
そのうわ言で理解した。こいつは、入中は爆弾に関しては知らなかったのだ。まさか本部諸共爆破して全てを消そうと、治崎に聞かされていないと。組長は病に付していたが、それすらも巻き込む事になると知り、ブーストした個性で地下迷宮の爆発を最小限に食い止め組長を、組員を守ったのだと。
「ミリオは……まさか!?」
「緑谷も居ない……逃げ遅れたのか!?」
そしてこの場にいない、ルミリオンとイズクを探すサー・ナイトアイと相澤。そこへ、同じく地下から脱出した刑事に、他の警官が声を上げた。
「刑事!!裏に待機していたヒーロータカカズから通信!!現在ルミリオン、イズクと共に、逃走中のオーバーホールを追っているとの事です!!」
事件は……いよいよ最終局面に向かいつつあった。