【原作完結】僕の脊髄ぶっこ抜きアカデミア【オリジナルストーリー開始】 作:ぶっこ抜きデク
「こちらナイスガイヒーロータカカズ、現在治崎は車で北上して逃走中、ルートは……17の23を通っている!車種はGT-Rの黒!このまま追走する!なお、車種とナンバープレート情報送りましたので警察とヒーローで共有願います」
『了解した、引き続き追走し可能であれば捕縛をお願いいたします、要請可能なヒーローへの連絡、連携も開始します』
車内の通信無線から、警察に通信を送ったタカカズは、ハンドルを操作して、治崎の乗る車を追走する。ヒーローサイレンを聞いた市民も、何より暴走する治崎を乗せた車に安全確保のため路肩により道を開けたため、街中でのカーチェイスが始まり距離はなかなかに縮まらなかった。
「相手方、相当に逃げ慣れてるみたいだ……しかしこのまま逃げ続けてどこへ行く気だ?」
「逃げるアテがある、という事ですか?タカカズさん」
タカカズの思考が漏れた独り言にミリオが尋ねた。どうして、どこへ行くのか?という結論に至ったのかと。
「ヴィランの逃走ってのは、逃げ切る算段があるからやるんだ……そこらの突発的な犯罪じゃあない、組織の犯罪はそれらを用意しているのが当たり前さ、何より……運転に迷いが無い、あれは何処かへ向かう為の運転さ」
「成る程……確かに、あっちこっちに曲がって撒くというより、何処かへひたすら逃げようとしてる感じが……」
こんな時でも、ヴィラン犯罪学らしき知識を緑谷と通形に授けられ、緑谷は納得してしまった。話ながらも治崎の車に追い縋るタカカズ、その治崎のGT-Rが高速道路の料金所に向かい、ETCゲートを突き破る!!
「すまん!ヒーローだ!後でタカカズ自動車に高速の代金請求頼む!!」
タカカズの愛車『ドハッテン』もゲートを通過しつつ高速に進入!!そのまま追走を続けた瞬間ーー。
「何ぃ!?」
分岐路から侵入後、その道を阻むように道路が崩落!!ドアを蹴り開けた治崎が、個性『オーバーホール』によって道路を破壊したのだった!
「もう市民への被害もお構い無しって感じだよね!!」
崩落した分岐路に急ブレーキをかける利用者!しかし間に合わない中、いよいよ緑谷達達が乗る『ドハッテン』にも絶壁が差し迫る!
「ドハッテン!エクスタシーフライ!!」
そう叫んだタカカズが、また違うボタンを押した瞬間、唐突なGが一気にかかるや、断崖となった分岐路を飛翔した。
「「「アッーーーーー!!!」」」
悦に浸る者1名、唐突なGと跳躍に絶叫する者2名。断崖を飛び越えて、ドハッテンは治崎の逃走を許さなかった。
「腰が!腰に思いっきり衝撃がぁ!?」
「何だか危ない衝撃だよね!?ヘルニアになっちゃうよ!!」
その衝撃が腰に来たと緑谷と通形は悶絶して叫び、タカカズは白い歯を見せていい顔で笑う。
「癖になるだろ?」
「「改良を要求します!!」」
腰に響くわ!!とツッコミを入れた2人。助手席の緑谷は、前を走る治崎のスポーツカーを目で追った。
そして……車窓から何やら、針みたいな物が飛び出て、次々と他の車に傷をつけるように突き刺さりーー刺さった車はがくりとスピードが落ちていく!まるで急ブレーキを意図的に掛けたように!
「車のスピードが落ちた!?タカカズさん!!」
「これは……むぅう!?」
次々と、急停止した車をなんとかタカカズは切り抜けていく。しかし、当の運転手達は唐突なエンストが起こったかのように、ノロノロと車が遅くなっているらしく、ドハッテンと治崎のスポーツカーだけがまるで速度違反を起こしているかのように異様な光景となっていた!
「資料にあった、若頭補佐の個性だ!名前はクロノスタシス!個性も同じ名称で車に使って速度を遅くしているんだ!」
ミリオがその個性を扱う者も、資料にあったと叫ぶ!そこまでして逃げるあたり余程捕まりたくないらしい。どんどん突き放される中、スポーツカーは料金所を降りてしまった。ここからでは、もう車で追いつけない!
「タカカズさん!非常駐車帯に!!」
「何する気だい?」
「こうなったら飛んででも追います、車より確実です!」
飛ぶ、その言葉に嘘偽りは無かろう。仮にもインターンに緑谷を指名したタカカズは、彼の活躍や装備も知っていた。
「俺も行きます、タカカズさん、貴方はヒーロー達の先導と被害にあった民間人救助を!」
「分かったぜ、2人のいい男の頼みだ、気をつけて行きなよ!」
ヒーローとして、インターン生に任せる事は危ない事この上無かろう。しかして自分のヒーローモービルでは、このまま無理に運転しては引き離される。
適材適所、責任は俺がいくらでも負ってやるさと、非常駐車帯に止めて、緑谷と通形がドハッテンから降りた。
「ルミリオン、僕に捕まってください、僕がーー」
「いいやイズク、俺にも長距離を飛ぶ方法あるんだよね!」
遮音壁を通り抜けたミリオを見て、緑谷はグラップルガンを使い、遮音壁を飛び越える。どうやって跳ぶんだ?そんな力があったろうか、ミリオ先輩にと考える最中ーー飛び越えた先にあったビル群の景色を見て、傍の地面からミリオは、まるで大砲で射出されたように跳躍した!
「ファントムダイブ!!」
そうして、近場のビルの屋上に着地と同時にまた透過し、さらに射出されてまた次に飛び移ったのだ!
ふと、緑谷は思い出す。A組全員での模擬戦で、地面透過から背後に飛び出した光景を。まるで、ゲームのバグを使った高速移動に、緑谷は唖然とさせられた。
「さぁ行こうイズク!ここで全部終わらせて、エリちゃんを助けるんだ!!」
「はい!!」
緑谷も、もう悠長にグラップルガンは使えないと。引き寄せの個性で自らをビルに引き寄せ、新たな白きヒーロースーツの滑空翼でスピードを上げた。
『いい一枚でしょう?何だと思って見上げた先に、この2人が並んで飛んでたんですよ?こうしてルミリオンとイズクの2人が、並んで街を飛び交う事は今は滅多に無いですから……』
フリージャーナリスト、特田種男は当時の事件を振り返り、写真を見せてそう語った。斜め上、ビルとビルの間を飛び交う2人の姿がくっきり写っている。今ではもう、雑誌でもなかなか見つからない一枚らしい。
『オールマイトの魂を継いだ2人、進んだ道やヒーロー観は違えど学生時代のインターンから、こんな絵になるんですからねぇ……けど、ここからなんです、この後の2人の伝説の始まり……ささ、次の写真にいきましょうか』