※この作品はR-18です。

【原作完結】僕の脊髄ぶっこ抜きアカデミア【オリジナルストーリー開始】   作:ぶっこ抜きデク

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206話 だーからちゃんと人の話は聞いとけとあれ程……

一階まで落下し、補佐の玄野のそばに落下した治崎を穴から眺めた緑谷は、ふぅと一息吐いてミリオとエリちゃんに振り返った。

 

「傷は大丈夫ですか、ルミリオン先輩?」

 

 あちこち貫かれてたが大事無いかと尋ねた緑谷に、ミリオは苦しそうながら笑顔でサムズアップする。

 

「致命傷は避けたさ、止血して貰えるかいイズク?」

 

「あんまり期待しないでくださいよ、まだ応急処置習ったばかりですからねー」

 

 とりあえず止血してから降りるかと、緑谷は懐から応急処置用の救急キットを取り出した。前々からの反省で、ヒーロースーツに持ち運ぶ事にしていた。仰向けに寝転がるルミリオンに、キットから止血帯や滅菌パック、消毒薬にハサミと取り出して、授業通りに処置を始めていく。

 

「お兄ちゃん……大丈夫なの?死なない?」

 

 痛々しい傷を止血する緑谷に、エリちゃんは涙ぐんで尋ね、イズクもルミリオンも笑顔を見せた。

 

「死なないさ、このくらいへっちゃーー痛っ!」

 

「あ、深いですねこのあたり、やってくれたなー治崎……けど致命傷無しとは恐れ入ります」

 

 手際は良く無い、まだまだ練習をしなければいけないなとイズクは、少し時間は掛かったがしっかり止血と応急処置を終わらせると、ルミリオンは自ら立ち上がった。

 

「さて、事後処理だねこれから……位置情報は送信してるから、ヒーローも警察もしばらくしたら来ると思う、サイレンも聞こえてるしね」

 

「ようやく一件落着ですか、長かった……え、まだ正午来てない……」

 

 これで全て終わったのだ、どれだけ時間が掛かったかとスマホを開くと、まだ11:47と数字が映っていた。もう昼なんてとうに過ぎたくらい動いたような、それくらい激しい捕物で戦いだったのだと一気に疲労が緑谷の身体に襲いかかる。

 

 アドレナリンも効果が切れたのだろう、手も痙攣が酷い、治崎から奪ってやった拳銃の引き金を指にかけたら間違い無く誤射しかねないくらいにと、気をつけて緑谷は懐に収めた。

 

「じゃあ、降りましょうかルミリオン、エリちゃん」

 

「そうしよう、まずは病院に行こう」

 

 エリちゃんの手を引いて、ルミリオンが歩く。イズクは……流石に血液感染が危ないなとやめておいた。ボタンくらいは押そうかと先に行ってエレベーターのボタンを押した。

 

 血濡れたヒーローと、傷を負ったヒーロー、そして助けた女の子3人がエレベーターに乗る。

 

「……ごめんエリちゃん、やっぱり臭いかな、ルミリオン?次の階で歩きで僕は降りますよ」

 

 今更ながら血の臭いが酷いと自分も理解して、この密室はダメだなと、次の階のボタンを押そうとした緑谷だったが、血濡れた白いコートを引っ張って、エリは緑谷を見上げ首を横に振った。

 

「いや、ルミリオンもイズクも、そばに居て……」

 

「居てやりなよ、キミも……彼女にとってはヒーローなんだ、そんな血濡れ姿でもね?」

 

 もう押してしまい、屋上の下の階で止まったエレベーターのドアが開いた。緑谷は……目頭を押さえながらエリに言った。

 

「ごめんね、エリちゃん……あの時手を、振り払って……」

 

 ずっと謝りたかった。あの日、手を振り払った時からずっと……ようやくだった、そして助けた彼女から不安だからそばにと言われた緑谷の胸は、凄まじい多幸感に満たされた。

 

「泣くなよイズク……ヒーローは笑おうぜ、助けたのにさ?」

 

「はい……ルミリオン先輩……」

 

 仮免だけど……ヒーローになって良かったと、肩を叩かれながらエレベーターのドアは閉まり、3人は一階へ到着した。

 

「はーいエリちゃん、ちょーっとこの光景は見せれないから、手で目隠しするねー?」

 

 惨劇のブラッドバスなフロアとなった一階は流石に見せられないと、ルミリオンが手で優しくエリちゃんの目をガードして、ガニ股横歩きでエレベーターを出た。

 

 イズクも出たその先には、あらゆる臓器を散らされて、なお息がある玄野と、その傍にて這いながら近づいている。

 

「落としといてなんだけどさ、生きてて良かったよオーバーホール……けど、あんたの負けだ、もう大人しくしときなよ?」

 

 明らかに死んだと、殺しちゃったと逮捕覚悟の過剰攻撃だったが、這うくらいにはまだ息があるのかと、緑谷はオーバーホールに近づいて見下ろした。

 

「ま……だ……負けては……俺は……八斎……かいを……」

 

 執念が、この男を動かしているのが分かる。しかし、もう無理だろその肉体ではと、流石に降参しときなと諭す。

 

「やめなよオーバーホール、もうあんたに戦う力は無い、個性だって……」

 

 個性は奪った拳銃に込められた弾丸で破壊して、もうただの無個性のチンピラでしかないだろうと……ふと、緑谷は悪寒が身体を包んだ。

 

 何か……忘れてないか?重要な見落としをしていないかと、緑谷は治崎の周り……正確には若頭補佐、玄野の周囲の変わりように気付いた。

 

『玄野の、クロノスタシスの臓器……どこ行った?』

 

 そこから、玄野の話が蘇りーー緑谷は声を上げた!!

 

「ルミリオン走って!!緊急退避!!ここからすぐ出よう!!」

 

「な、何!?どうしたのさ!?」

 

「エリちゃんを担いで!!はやーーく!!」

 

 今の自分やルミリオンでは『逃げ』しか打てないと、即座に走り出すイズクにルミリオンはエリを抱き抱えて廃ビル入り口に走る!!その背後で、オーバーホール治崎廻は、ペストマスクを外して口からアンプルの破片を吐き出し、傍の玄野へ言った。

 

「俺の理想の為、玄野ぉ!俺の一部になってもらうぞ!!」

 

 かざした手が、玄野に触れて肉体が破裂する!そして治崎の腕に纏わりつき、その異形の肉塊が……さらに奥へ、集めたチンピラ達の居るホールへ伸びていく!

 

 チンピラ達が次々破裂し、肉片はその肉塊に取り込まれて同化していくその様を、振り向いて見てしまった緑谷は叫んだ。

 

「最悪だ!!持ってた!!ああそうだよなぁ!!自分が撃たれた時の為に、なんて当たり前に考えるよなぁ!!」

 

 入り口から飛び出て、それでも走った二人は振動する廃ビルを見上げーーそして、ビルまでもが肉塊に包まれていく光景に絶句する。

 

 治崎は隠し持っていた。

 

『個性を破壊する弾丸』の対策として。

 

『個性を治す薬品』を。

 

 そしてついに、オーバーホールの真の力をイズクとルミリオンは目の当たりにするのだった。

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