【原作完結】僕の脊髄ぶっこ抜きアカデミア【オリジナルストーリー開始】 作:ぶっこ抜きデク
オープニング 空から私が来た!(出久同伴で)
『出久?その絵は?』
落書きノートと、色鉛筆。一つ取っては一つ色を刻み、線を引く。その絵を後ろから眺めて、男は出久に語りかけた。
『ぼくがね!ヒーローになったらきるスーツ!こっちがおんみつけいたい!こっちはれすきゅー!でね!とうさん!このスーツは、すごーいつよいヴィランがきたときのすーつ!』
様々なスーツ……あれもこれも、その時のためにと考えたスーツ。それを見た男は、その落書きノートを持って少年の手を引いた。
彼の部屋には様々な書物、パソコン……さらにはキャンバスから絵の具、イーゼルまで置かれた混雑した部屋だった。
『どれ、父さんがパソコンで出力してあげよう、イズクのスーツがもしもできたら、こんなふうになるって感じにな』
『いいの!?いそがしいのに……』
『いつかお前がヒーローになった時、お父さんがお前のデザインしたスーツを作ってあげるから、その練習だ』
この人は、そこまで仕事熱心ではなかったと母から聞いた。窓際だったとか、そんな感じの。
けど、個性が僕に表れて、ヒーローを目指したその日から変わったと。仕事を頑張りまくって、大きな案件もこなして、同僚から何があったのか聞かれても必死に、ひたすらに頑張ったと。
『父さんな、アメリカの大きな会社に来ないかって誘われたんだ、ヒーロースーツの会社、そのデザインにだ』
『出久とはなかなか会えなくなるけど、必ず連絡は欠かさない』
『そばに居れないけど、出久……頑張るんだぞ?』
『お前は必ず、ヒーローになれる』
空を舞う飛行機を見送って、十年近く、父は……アメリカで頑張っていた。
「少年、緑谷少年!」
「はっ!?」
寝てしまっていたらしい、緑谷は目を開けるとその視界には、鶏ガラの様な細身の男性がにこやかに笑って顔を覗いていた。
「疲れてたのかい?飛行機に慣れてない感じかな?」
「ああいえ……ちょっと思い出にふけてたら……」
思い出を懐かしんでいたら、寝てしまっていたらしい。目をこすり、眼下に浮かぶ人口島を見つめて呟いた。
「いやはや、しかし数奇な縁だねぇ?まさか緑谷少年の父親が、私の友人の仕事仲間とは……確かデザイナーと聞いたが」
「昔はそうでした……僕がヒーローになると決めた日に、父はヒーロースーツのデザインを専門とするようになったと母に聞いたんです」
父がどんな人かを、緑谷はオールマイトに語る。ただのデザイナーから、今はアメリカでヒーロースーツのデザインを専門でするようになったと。
「そしてI・アイランドの同伴にキミを誘おうとしたらまさか、招待状もすでに来ていたとは!何年ぶりと言ってたかな?」
「10年近いですね……僕のために、いつか自分のスーツを着てもらうと言って頑張ってるみたいです」
一度、オールマイトは緑谷の家を訪ねた事があった。彼の強さや狂気を知るために、そして彼は触れた。一人の、恐ろしい個性を持って生まれた息子の為に、狂気じみた愛情を向け、彼を守り育てて来たのが彼の両親であった……その父親との再会がまさかこの島、そして自身の友人と仕事仲間になっていたという数奇な運命をオールマイトは感じていた。
「さて……緑谷少年、そろそろ着陸するぞ!ヒーロースーツに着替えてきたまえ!」
そろそろ到着すると、オールマイトは体から煙を上げてマッスルフォームになって立ち上がり、緑谷も立ち上がる。
「はい!あれ……でもアナウンスがまだ……」
「なぁに、せっかくだからね!派手に島へ入ってやろうじゃないか!」
まだ着陸のアナウンスが無かったはずだがと、キョトンとする緑谷にオールマイトは親指を立ててそんな事を宣った。
「あの……オールマイト先生?」
「なんだね!緑谷少年!!」
飛行機の後部コンテナハッチが開き、ブザーが鳴り響く。強風がにこやかに腕を組むオールマイトと、漆黒のヒーロースーツに着替えた緑谷出久の体を叩いた。
「普通に着陸しましょうよ!!何でスカイダイビングなんですか!?僕ライセンスとか持ってないですよ!!」
「なぁに心配するな!私が持ってるからね!それにキミのスーツには翼があるし、パラシュートもあるんだろ!」
まさかのまさか、スカイダイビングで着陸する気らしい。いかに緑谷が、ヒーロースーツに内蔵された滑空翼で、ビルとビルの合間を飛行したとは言え、スカイダイビングは初めてであった。
「というわけで、行こうか緑谷少年!I・アイランドへ!!」
「待って!オールマイト!?僕は普通に降り」
赤のストップランプから青のゴーランプに切り替わり、添乗員たちが親指を立てて見送ると、オールマイトに手を引かれた緑谷は共に空へ飛び込んだ。
「I・アイランド!私が、来たぁあああああーー!」
「わぁあああああああーーー!!」
I・アイランド上空にて、二つの声が島中に響き渡った。
劇場版 僕の脊髄ぶっこ抜きアカデミア
〜二人の英雄〜