【原作完結】僕の脊髄ぶっこ抜きアカデミア【オリジナルストーリー開始】 作:ぶっこ抜きデク
「いやー!キミが先導してくれたおかげでスムーズに事が運んだよ!おかげで待ち合わせに余裕ができた!」
唐突に始まってしまったオールマイトのサイン&握手会をこなし、I・アイランド内の公園に移動した緑谷出久とオールマイトは、一息ついていた。
「世界中どこでも、貴方の名声や活躍は轟いているんですね……あ、唇拭わないとパパラッチに撮影されますよ」
「おっとすまない、ウエットティッシュまで……」
眼鏡を外して荷物の中にしまう緑谷は、流石平和の象徴だとウェットティッシュを取り出してオールマイトに渡せば、それを使いオールマイトは女性ファンのつけた口紅を拭いていく。
熱烈なファンはそこまでやるかとびっくりしたが、それを拒まないのもヒーローとしてのファンサービスなのやもしれない。
ウェットティッシュも回収した緑谷が、ふとオールマイトの言葉に気付いた。
「そう言えば、待ち合わせって……誰かと会うんですか?」
「ああ、久しぶりに古くからの親友と再会したいと思ったからなんだ、悪いが少し付き合って貰えるかい?」
「親友……ええ勿論!」
オールマイトの親友がここに滞在していて、久々の再会も兼ねて彼はここに来たらしい。一体誰なのだろうかと、ここが待ち合わせであるならば、やがて来るだろう人物を待つと、その声はすぐ聞こえた。
「おじさまーー!」
みょいん、みょいん、そんなファンシーな音が聞こえて来そうな、奇妙な形のホッピングで、金の長髪に眼鏡をかけて少女が、公園までの階段すら器用に降りて来たーーのだが。
「きゃああ!?」
着地点を誤ったらしい、階段の角にホッピングの足が擦れる形となり、バネは真横に力を加え、女性がロケットのように射出された形に宙へ放り出された。
「メリッサ!!」
名前を叫んで、彼女を助けようとしたオールマイトだがーー。
「Get Over Here!!」
「わぁあ!?」
少しだけ、というのも『あんなもので階段降りたらアクシデントが起こる』と、身構えていた緑谷が、個性による引き寄せで、彼女を抱えて助けたのだった。
『期末試験で見せた、補助道具無しの引き寄せ……さらに練度を上げたか緑谷少年!!』
彼の引き寄せの力は『脊髄ぶっこ抜き』から派生した物、前までは鎖やグラップルガンが無ければ鼻血を流すくらいに負荷が掛かるのが、また少し成長して行えるようになったのかと、オールマイトは感心する。
「大丈夫……ですか?」
「ええ、ありがとう……あの……」
「あ!?す、すいません!!」
お姫様抱っこの形のままで、怪我はないかと女性に尋ねた緑谷は、あっけに取られた彼女から、下ろして欲しいと態度から見えて赤くなりながら優しくゆっくり地面に下ろした。
「いやはや見事、流石私の後継者!そして……メリッサ!久しぶりだね、大きくなって!!」
「ええ!マイトおじ様も久しぶり!!来てくださって嬉しい!!」
二人して抱き合って、恋人のようにクルクル回りだした。何となくだが、緑谷は察して少し二人の世界にしてあげるべきかと、二、三歩離れた所でーー。
「メリッサさん、先に行きすぎですよ……こっちは歩きだからちょっとは……」
その声を聞いて、緑谷は階段を見上げた。
聞き間違える筈が無い……電話越しにしか聞けなかったその声、そして太陽の逆光に隠れた姿が、ゆっくり階段を降りてようやくその男も、出久の姿と顔を見て目を見開く。
「出久……か?」
オールマイトも、金髪の女性も自分達の世界から帰って来て、少年と男の姿に気付く。似通った緑かかった癖のある髪の毛、顔立ちも、似ている部分がある。違うとすれば、逞しくがっしりした少年に対して、頼りなくも背は高い大人の男性。
黒のヒーロースーツと同じ、黒の開襟シャツは、海外のプログラマーに居そうな男に、緑谷出久は泣きそうになりながら声を上げた。
「父……さん……!」
その声を聞いた、緑谷出久の父、緑谷久はゆっくりと近づいて……彼の頭に手を置いて撫でてあげた。
「会いたかったよ出久、ごめんな?何年も会ってやれなくて……」
久々の親子の再会に、オールマイトはその様子を見守る。彼が、出久の父親緑谷久かと……くたびれた、疲れ切った様子はあるが、その目の輝きは何と鋭い事……意思ある瞳は、まるで時折出久が見せる狂気の眼光と同じだと、二人の親子のつながりを理解した。
「ヒサシおじさまの息子さん?って事は、彼がイズク?」
どうやら彼女も、緑谷出久の事は聞いていたらしい。オールマイトは紹介も兼ねて彼女に、話す事にするのであった。