【原作完結】僕の脊髄ぶっこ抜きアカデミア【オリジナルストーリー開始】 作:ぶっこ抜きデク
「もー、パパにおじ様ったら……あくまで酒の席で決めた戯言、自由になさいって言ってたじゃない」
いつの間にか婚約者が居た緑谷出久、しかしその相手のメリッサは、戯れが過ぎると父デヴィットと久にそう釘を刺した。
「しかし私は構わないよメリッサ、お父さんの子とは言え研究三昧、アカデミーでそんな話も聞かないから心配なんだ」
「イズクにも、好きな人が居たらどうするの?困るじゃない」
親子で自由があるだろと語りあう最中、出久当人は父に確認した。
「酒の席の戯言って?」
それに対して久は、隠す事でも無しと粛々と息子の出久に語った。
「私がアメリカで、スター・アンド・ストライプのスーツコンペで彼と出会い、制作チーム入りした時にな?互いに息子と娘が居て、それぞれヒーローとサポートを目指すならどうだと決めたんだ……まぁあくまで話だけ、意思はお前たちにと条件付きだが……」
あ、あくまで意思尊重してくれるんだ良かったと緑谷は胸を撫で下ろした。というか今、さらっと現在アメリカNo.1の名前まで出なかったかと父親が遥か遠くまで行ってしまった感覚を緑谷は覚えたのだった。
「緑谷少年……」
が、この男は、オールマイトはニヨニヨ笑って緑谷を見下ろしてこう言ったのである。
「私、神父役か新郎友人席に座っていいかな!」
「古傷、この辺りだったっけなー?」
「あだだだだ!それは反則だ!!」
もう、このお茶目なヒーローったら気が早いと左脇腹を人差し指でぐりぐりしてやった。無論優しく、痛みは与えないように。やめてくれよと笑みを崩さず痛がるオールマイトに、デイヴははっとして緑谷に言った。
「オールマイトとは久々の再会だ、すまないが積もる話をさせてくれないか?」
「あ、はい、そうですよね?数年ぶりならば」
そのデイヴの頼みは最もだと、緑谷は頷いた。
「メリッサ、未来の旦那様にI・エキスポを案内してあげなさい」
「もーパパったら!さ、行きましょうイズク?」
「あ、ちょっと」
頬を膨らませて、これ以上出久を揶揄うなと釘を刺し、即座に出久の手を掴んで引っ張り、二人は研究室から出て行った。
「……デイヴ、俺も席を外したらいいか?」
「ああ、頼む、二人についてやってくれ、サムも休んでくれ」
「何だサム、居たのか?」
「ええ最初から……」
デイヴは久に、出久とメリッサを見るよう頼み。一切話に入れなかった助手のサムにも、退室を促した。やがて、二人だけとなった部屋で……オールマイトの身体から煙が上がるや、その筋骨隆々姿は、鶏ガラ痩身に萎んでいった。
「ふー……ありがとうデイヴ、ちょっと休める」
トゥルーフォーム、オールマイトの個性OFAを解除した姿で、近場の椅子に座り体を預けて天井へ顔を向け、彼は一息吐いた。
「メールで話は聞いたが、6年前に大怪我を戦いの最中に負ったと……そんな姿になろうとは……」
「まぁ、姿をキープするなら数時間はね……全力で戦える限界は……どんどん短くなって今は3分が限度だろうか…….」
平和の象徴の衰えつつある姿、決して見られるわけにはいくまい。かつての友の姿に、デイヴは表情に影を落とすのだった。
「本当に困っちゃうよね、大人って勝手というかさ……気にしないでね?えっと、どう呼べばいいかな?」
「じゃあ……イズクで構いませんよ、メリッサさん」
二人は研究室から出てI・エキスポに向かっていた。お互い、親が勝手に決めた婚約者と聞いたがあくまで戯言で気にするなとメリッサに言われ、緑谷は頷いた。あまりに唐突だよと、苦笑した緑谷に名前の呼び方を尋ねられた緑谷は、呼び捨てで構わないと答えた。
「うーん……なら、私も呼び捨てにしていいよイズク?」
「え、いや……でも年上ですよね?」
「気兼ねするのは無しにしましょう、はい練習、イズク?」
「め、メリッサ……」
互いに仲良くなるため、気兼ねの無い呼び方をしようと言われ、慣れないながらに呼び捨てにした出久へ、メリッサがよろしいと頷く。
「仲良くはなってくれたみたいだな」
そんな二人の背後から、久が関心関心と頷きながら現れた。
「父さん……いくら何でも勝手すぎるよ……」
ちょっとこの話は擁護できないと困る息子に、父たる久は頭を掻いてそうだなと同意した。
「そうだな、気持ちがあるからな二人の……あくまで親の話、好きにしてくれて構わんから、お前やメリッサさんの気持ちが一番大事だから」
「気にしないでくださいおじさま、あ!けど将来二人とも、誰も相手がいなかったら結婚しちゃう?イズク?」
「ええ!?い、いや……そういうのは、お互いよく知り合ってる必要とか、段階が……」
案外乗り気なのか!?この人、それとも年下を揶揄ってるのか!?くすくす笑ってこちらを見るメリッサに、出久は顔を赤らめた。
「ふむ、お守りはは必要なさそうだな、あとは若い二人でーー」
悪ノリして、本当はパビリオンの案内をするつもりだったらしいが、邪魔になりかねないなと、そそくさ退散しようとした久。しかし、それをメリッサが止めた。
「待っておじさま、パビリオンにイズクへ見せたい物があるんじゃあないの?楽しみにしてたって」
「見せたい物?」
メリッサの言葉に久の足が止まった。
「そうだった……なら二人の邪魔をしないように案内させてもらうよ」