【原作完結】僕の脊髄ぶっこ抜きアカデミア【オリジナルストーリー開始】 作:ぶっこ抜きデク
「デクくん見て見て!この多目的ビーグル!飛行はもとより水中行動も可能なの!」
「すごい!う、宇宙は?変形とかしますか!?」
「まだ宇宙は無理かなぁ……あ、でも変形してその環境に対応するのはいいかも!この潜水スーツは深海7000mにまで耐えられるのよ!」
「そんな深いところまで!?」
「で、こっちのゴーグルはーー?」
「うぉおおすごい!何個もの映像が同時に!?」
「あっはっはっはっ!何でもかんでも驚くから紹介のしがいがあるなぁ、イズクくんは!」
パビリオンの一つで、最新ガジェットを見たり体験したりして、まるで遊園地に来た幼児のように緑谷は年甲斐も無くはしゃいで目を輝かせていた。それを見て、本当に紹介しがいがあると笑うメリッサと、郷愁に駆られる久は……遊園地とか、あまり連れて行ってやれなかったなと昔を思い出した。
「あー……その、何だイズク……よかったら、本オープンしたらチケットいつでも送ろうか?」
「え!?いいの父さん!!あ、でも……ちゃんと働いて買わないといけないよね?」
「いやいやお前、遠慮するな……これくらいしかお前にはしてやれないからさ、甘えていいんだぞ?」
ああいかん、離れていたから接し方の距離が難しいなと、バイトしてしっかり正規手順を踏もうと立派に自立しようとする息子に久は、甘えてほしいのだがと頭を掻く。
そんなもどかしい二人に、メリッサは声をあげてあるブースを指差した。
「あ、ほらイズクくん!これ、私のパパと貴方のパパの合作よ!」
指差した先、鎮座していた物を見た瞬間、緑谷出久は目を見開いた。
「こ、これって……」
忘れるはずがあろうか……それを見た緑谷は言葉を失った。重厚な、鋼鉄で模ったそれは最早スーツでは無く『鎧』まるで、今にも動き出しそうな荘厳ささえ感じるそのスーツは……緑谷が昔、落書き帳に色鉛筆で描いた『めちゃくちゃ強いヴィラン用スーツ』に似ていた。いや、そのものだった。
「対災害救急スーツ、名はエルクレス……ヒーローが間に合わない、ヒーローが助けに来れない様な状況でも、普通の人間が身につければヒーローと同じ力を宿し、ヒーローの様に人を助けられる……そんなガジェットさ」
目の前のパワードスーツを誇らしげに見上げて、息子に紹介した。
「これ、父さんが作ったの?」
「ガワのデザインはな?中の機構やシステムはデイヴさ、これさえ着れたら……誰でもヒーローになって救助ができる、たとえ無個性でも、そんなコンセプトとお前の落書きがここに今実物となってあるわけだ……」
もしもヒーローが間に合わない時に、ヒーローが居ない時にこれがあれば、誰でもヒーローとして活動して災害救助ができると説明した久に、出久の瞳はキラキラに光っていた。何よりも、昔の落書きをベースにしてくれるなんてと、崩れ落ちた。
「ど、どうした出久!?具合、悪くなったか!?」
「もう僕、父さん母さんにどうやって恩返ししたらいいか分かんないよ……」
自分は今、世界で一番幸せかもしれないと目頭が熱くなった。こんなのダメだよ、父親が自分の落書きから、世界有数の科学者とガチのパワードスーツ作るとかヒーロー好きじゃ無くてもめちゃくちゃ嬉しいに決まってる。
「いや、俺は……お前がヒーローになる様に頑張ってるならそれで……そ、そうだ!出久、これ着てみるか!な!?」
泣きそうになる我が子に、どうしたものかと慌てた久が、突飛もないことを言い出した。
「え!?いやいや流石にダメでしょ!?展示品だよ!!」
「何を言うか俺はデザイナーだ、権限くらいある!ど、どうだったかなメリッサさん!?確か起動キーあったと思うんだが」
「ごめんなさいヒサシおじさん……流石にそれはダメみたい、試作品で安全面がまだ試験中だから」
流石にとバツ印を作ったメリッサに、ヒサシはがくりと項垂れた。
「役立たずですまん、出久」
「お腹いっぱいだよ父さん……そっか、すごいね父さんは」
父がこんな場所で活躍している事実に、自分もと緑谷は拳を握りしめた。
「いつか……このスーツが似合う様なヒーローになってさ、その時は改めてデザインしてよ?そう、オールマイトが認めてくれるくらいの、ね?」
鎮座するエルクレススーツの前で、決意する出久に、メリッサは笑って尋ねた。
「そういえばイズクくん、マイトおじ様が後継者って言ってたくらいだから、期待されてるんだね?」
「あ、いや……後継者にはなりませんよ?そう言われても恥じないヒーローにはならないとと……あはははは」
「そうなんだ、じゃあ本気にしちゃおうかなぁ、フィアンセ?こんばんどぉーー?」
「や、やだなぁメリッサさんたら、冗談はだめですよぉ」
照れながら笑う出久に、ならば先に手を出してしまおうかと揶揄うメリッサに、冗談をと返す。
しかしーー。
「楽しそうやね?デクくん?」
その声が、聞こえた瞬間口から心臓が飛び出してしまいそうになって、緑谷出久は即座に振り向いた。
な、何故ここにキミが!?それ程の衝撃が緑谷にふりかかったのだ!!
「う、麗日さん!?何故ここに!?」
「楽しそうやねぇ?私が居ながら?」
2回言った!細目が怖い!!え、何で!?どうして!?出久は恐慌状態に陥りかけた中ーー。
「こほん……とっても、楽しそうでしたわ?そちらの方、フィアンセなんですって?」
「隅におけないねぇ、緑谷も」
「八百万さん!?それにーー耳郎さんまで!?」
何故A組女子がここに3人も!?え、もしかして修学旅行って今日だったかな!?しおり持ってないよ僕!!と、この状況で、何故か自分に敵意を向ける麗日と八百万に、久は……衝撃の一言を投げ入れた。
「イズク、まさかガールフレンドが居たのか、何故言わなかった?」
「い、いや!父さん!ふたりはその、クラスメイトで……」
「初めまして、出久くんのガールフレンドの麗日お茶子です、炊事洗濯家事は一通りこなせます、出久くんのお義父さん」
「同じく出久くんの、ガールフレンドの、八百万百ですわお義父様、まだ家事は修行中ですが、I・アイランドに出資もさせていただいております」
「あー……ごめん緑谷、まさか婚約者がいたなんて知らなくって、あ、うちはクラスメイトの耳郎です」
「あ、どうもみなさまご丁寧に、父の久と申します、しがないヒーロースーツとガジェットのデザイナーを仕事にしております」
呑気に、うちの息子モテるんだなと麗日と八百万に挨拶を返す久と、マジで聞いてすまないと緑谷に謝る耳郎。
「えーっと、麗日さんに八百万さん?あの、婚約者はあくまで親同士が勝手に……」
そう、あくまで親同士がと説明する出久に、悪い笑みを浮かべたメリッサは、麗日と八百万向けて言い放った。
「初めまして麗日さん、八百万さん、イズクの婚約者の、メリッサ・シールドです!」
「ちょっ!?」
やっぱりこの人、楽しんでないかこの状況!?そんな事を言ってしまえば、二人はにっこり笑って緑谷の方へ向いた。
「お話しよっかぁ、イズクくん」
「しっかり説明して貰いますわ、緑谷さん」
「あんたも大変だね……緑谷」
収拾がつかなくなると思った緑谷は、とりあえずカフェに行こうと皆を引き連れる事にした。その様子に父、久は……。
『女の子から奇襲攻撃で刺されていたうちの息子が、女の子の友達がこんなにできるなんて……』
と、息子の成長に感激していたのだった。