【原作完結】僕の脊髄ぶっこ抜きアカデミア【オリジナルストーリー開始】 作:ぶっこ抜きデク
その爆破と衝撃の正体は、あるアトラクションから発せられていた。山岳地帯を模したステージの周囲を滝が囲み、中央ステージのコンパニオンがマイクに向かい叫ぶ。
『クリアタイム38秒!第8位です!!』
投影ビジョンの映像に映された土煙が晴れ、切島鋭児郎の姿を見た緑谷は、ああやはり来ていたかと呟いた。
「切島くん……」
「イズク、あの人も?」
「あ、はい、クラスメイトです……」
雄英の一年A組が次々と現れて、日常と変わらぬ景色に変わって行く。
『さぁ、次のチャレンジャーはーー?』
アトラクションの次の挑戦者をアナウンスするコンパニオンの声と共に、入場して来た少年を見て、まぁ来てない訳ないわなと緑谷は苦笑した。
「やっぱり来てたか、かっちゃん!」
爆豪勝己がステージに現れて、膝を曲げて飛び出す体勢を取った。
『それでは、ヴィランアタック!レディーー……ゴーー!』
スタートの合図と共に現れた、仮想敵ヴィランのロボット。それに向かって凶悪な笑みを向けた爆豪が、手のひらからの爆発で飛翔し、1機、2機と素早く爆破解体していく!
「死ねぇぇえええ!!」
最後の6機目を爆散させ、そのままスタート地点に着地帰還した爆豪。ヒーローの癖に『死ね』とはこれ如何にと、台詞に目をパチクリさせる緑谷を他所に。コンパニオンがクリアタイムを高らかに叫んだ。
『これは凄い!クリアタイム15秒!トップです!!』
まばらながら見ている客も、感嘆を漏らす単独トップタイム。さも当然だと悠々と戻って行く爆豪を見下ろす中、切島が出久に気付いて爆豪に言った。
「あれ?あそこに居るの緑谷じゃね!」
切島の示す声に爆豪が観客席へ目線を向け、出久はやぁと呑気に手を上げたのを見て、即座に爆破で飛翔して欄干に手をかけ近寄り、睨みつけて来た。
「やぁかっちゃん、まさかこんな場所で出会うとは」
「何でテメェがここに居るんだぁ!?クソヴィラン!!」
「父さんがI・アイランドで働いていてプレオープン招待状送られたから来たんだよ」
いなす様にこの場に居る理由を語る出久に、まだ食ってかかろうとした爆豪。しかしーー。
「相変わらず元気そうだね、勝己くん?」
「!?」
その背後で、腕組み優しく笑う緑谷出久の父、久を見つけて……爆豪は舌打ちして大人しくなった。
「あの子、イズクと仲悪いの?」
「えーと、喧嘩する程ってやつというか?」
「因縁があるんです」
唐突に出久へ突っかかって来た爆豪が、何故こうも出久に吠えたのか理由を尋ねれば、耳郎と麗日が、因縁の深い二人なんですと説明し、八百万が欄干に近づき下のステージに居る切島に声をかけた。
「切島さん達もエキスポへ招待受けたんですの?」
「いや!招待されたのは雄英体育祭で優勝した爆豪!俺はその付き添い!何?これから皆であれ、挑戦するの?」
体育祭優勝の景品か、豪華だなと思いながら……付き添いに誘うのは切島くんなのかと、二人の仲が意外にいい事を緑谷は改めて知った。自分も、雄英に来てから飯田、砂藤、峰田、障子と様々なクラスメイトと仲良くなれたが、彼も切島や上鳴、あと瀬呂とつるむくらいに仲良くなってたなと思い出す。
そして、切島は出久達クラスメイトに、この『ヴィランアタック』へ挑戦しに来たのかと聞いて、その爆破や振動が気になってたまたまと言おうとしたのだが……。
「やるだけ無駄だ!俺の方が上だって決まってんだからな!!」
「あ?」
緑谷出久、期末試験の爆豪の弱音以降から早くも、カチンと頭に来てそのまま欄干を飛び越え、前転して着地するやステージに入場した。
「言ったなエセヒーロー?吠え面かかせてやる……」
「うぉお!?緑谷どうした!何かやる気だな、珍しく?」
降りて来た出久が、普段は爆豪の挑発を受け流してなぁなぁにする流れが、今日に限って乗っかっていやにやる気を見せる様子に、一体どうした?と横切った際に切島が言った。
「あー……もしかして……」
耳郎は即座に理解した、多分彼の父親が見てるからだ。居なければまだいつも通り聞き流していたが……話を先程から聞いて10年近く出会えなかった親に、成長を見せたいのもあるからだと。
「けど、イズクの個性は人間にしか使えない……脊髄ぶっこ抜きだから、機械相手は……」
だがしかし、出久の個性はあくまで『対人』にしか使えない、このアトラクションのターゲットは機械だから、無個性でぶつかるのかとメリッサは心配になった。
「大丈夫ですよメリッサさん、出久くんは雄英に入って成長してますから!」
「さっき助けられた事、思い出してください」
心配いらない、メリッサに麗日と八百万はそう言った。
『さて、飛び入りで参加したチャレンジャー!どんな記録を出してくれるのでしょうか!』
コンパニオンの実況を聞いた出久は、先程の爆豪が叩き出したタイム、そこからエネミーの配置と辿ったルートを思い出しながら、屈伸や伸脚で身体を解して準備した。
そして一つ息を吸い……ちょっと大人気なく本気になって紫色の闘気を滲み出させた。
『ヴィランアタック!レディ……ゴー!!』
フライングギリギリを疑いそうなスタートダッシュ!出久は早速、そびえる崖に自らの個性を使い、まるで誰かに引っ張られて無理矢理引き上げられたかのように飛翔する。
「やっぱり、かっちゃんの時と同じ配置!ならばぁ!!」
予測は当たる、アトラクションだからランダム配置じゃあないと、6機の仮想ヴィランメカを上空から確認した出久は、自由落下しながら叫んだ!
「Come Here!!」
一機のメカを引き寄せ、その軌道をまた別のメカへと切り替えて、ぶつけて一気に二機撃破する!それを、また別の機体に使っては当てて四機を破壊!そして最後の二機も、引き寄せて叩きつけてから、スタリとスタート地点に緑谷は着地した。
「……まだ、道具無しは鼻血出るなぁ」
目の充血と共に、たらりと鼻の両穴から血を流して。まだまだ鎖やグラップルガンも無しに引き寄せは負担があるなと、親指で血を拭いながら緑谷は呟いた。
『す、凄い!14秒!!記録を塗り替えて飛び入りの子がトップに立ったぁあ!!』
「おお!?爆豪の記録を1秒超えたぁ!!」
「っざっけんなよくそヴィランがぁああ!?」
しかし有言実行!見事に吠え面を爆豪にかかせてやったと、叫ぶ爆豪に緑谷はあっかんべーと舌を出して瞼を引き下げた顔を見せてやった。
「出久……体育祭の動画を見たが、そうかこんなにも……」
「まさか物を引き寄せるまでできるなんて……最初のジャンプはその応用になるのかな?」
父からすれば、あの人を殺すだけしかできない個性がここまで応用と深化しているのを、生の間近で見ればそれだけで感涙だった。メリッサも話だけしか聞いておらず、引き寄せに関しては初めて見た為に驚かされ、出会いで助けてくれた力はこれかと納得した。
名前 緑谷久
Cv. 関俊彦(ラウ・ル・クルーゼや無惨様の人)
職業:ヒーロースーツ、及びガジェット、モービルデザイナー。
身長:183cm
体重:65kg(痩せ過ぎ)
出身:鹿児島県(オリジナル設定)
性格:大人しい外面に狂気の内面。
個性:火炎放射
緑谷出久の父親であり、デザイナー。出久が生まれる前は若いくせして窓際勤務のしがない男だったが、出久が生まれて個性差別により父性が目覚め、自ら親戚と縁を切り妻たる引子と一人息子の出久の為仕事に奔走し、世界でも名の知れたデザイナーとなった。
普段でこそ温厚だが、息子や妻の事になれば、たとえヴィランだろうがランカーヒーローだろうが立ちはだかりその身を挺する狂気を秘めており、その目や心は息子へ確かに受け継がれている。
息子を置いてアメリカ、さらにはI・アイランド勤務になって会えなくなった事により距離感が測れなくなってしまっている。曰く『俺には与える事しかできない、一緒にいてやる事が必要だった』と、度々自責に苛まれている。
個性は『火炎放射』
小火程度の火を吐ける……だけでなく、摂取したアルコールを燃料にできる体質で、飲んだ酒を燃料にして火力を上げる事ができる。しかし、その体質により『燃料を火にして出さず溜め込むと、着火して中から爆散する』という死と隣り合わせの体質故、酒は飲めるが火にして出さなければならない為、飲み会は断っていた。
さらに、アルコール濃度によってその火力や温度も変わり、スピリタス(アルコール96%)を飲んで火にした場合は青色の炎を吐き、その温度はエンデヴァーを凌駕する温度となる。
過去、この事でしがない若手の時代に上司にスピリタスをアルハラの悪ノリで飲まされ、回避行動で火を吐いて上司を燃やして二度と病院から出れない火傷にしてしまった過去がある。
必殺技は『燎原火』
自ら飲んだアルコールを燃料にして相手を燃やし尽くす火炎放射。実は、スキットルボトルでアルコールを常備しており、中にはエバクリア(アメリカの安酒、スピリタスの次にアルコール濃度が高い95%)が入っている。いざという時の護身用との事。