【原作完結】僕の脊髄ぶっこ抜きアカデミア【オリジナルストーリー開始】 作:ぶっこ抜きデク
「んーー……お見事!トップに立ったね出久くん!」
「おっと、鼻血出てるな……やはりまだ反動が強いみたいだな」
「ありあほ、いいはふん(ありがとう、飯田くん)*
帰って来た出久を麗日と飯田が労い、個性使用の反動で鼻血を垂らしているのを見た飯田がポケットティッシュを差し出した。
「ふー……これあれだね、個性の差と試行回数がモロに出る、かっちゃんがやった場所と同じ場所に出たし……次かっちゃんやったら塗り替えられる」
飯田からのポケットティッシュを鼻に詰めながら、やはりまだまだ補助ガジェット無しの引き寄せは反動が凄まじいと緑谷は語る。さらに言えば、アトラクション故に敵配置は同じで、効率重視を突き詰めればタイムはさらに早くなれるだろうと分析し、次爆豪がやり直したら簡単に自分のタイムなんて塗り替えられると語るや、爆豪は苛立って叫んだ。
「だぁああ!余裕かテメェ!?見とれや、10秒の壁今すぐ切ったらーー」
1秒超えた程度で余裕を見せやがって、なら再挑戦して10秒切ってやると豪語した矢先。アトラクションにまた振動が起こり、ステージ側に目を向ければ。
『きゃあああ!?凄い凄い凄い!13秒!!さらにトップを塗り替えたーー!!』
緑谷出久の天下は、即座に終わった。そしてステージを覆い尽くす氷塊を見て、緑谷は呟く。
「あー……やっぱり面制圧出来る個性有利だな……轟くんも来てたのか」
そのステージに立つ、轟焦凍の姿を見て呆気なく自分の記録を塗り替えられた様には苦笑するしかなかった。
「いや、よくやったな出久……ここまで成長していたなんて……間近で見れなかったのが悔しいよ」
「わっ……」
くしくしと頭を父親に撫でられ、緑谷は落ち着いたが。そこにメリッサが来ると、その顔を覗き込んだ。
「個性の使用による脳への負担による出血……充血も酷いし……けど、ここまで負担が掛かるなんて……まるで訓練をサボっていきなり使ったみたい」
「あ、あのーー」
目を覗き込まれたその距離は、まるで口付けでもしてしまいそうな距離でーーこんなに恥ずかしさも無く異性に顔を近付かせるのは外人特有なんだろうかと身を委ねていた緑谷だったが。
「い、出久くんはつい最近できるようになったから!負担が強いんやと思うよ!」
「そうです!ようやくプルスウルトラして手にした応用ですから?これから負担も軽減されていくと思いますわ!」
早速の不可侵条約が破棄手前の行為に、麗日と八百万が割って入った。そこからはあかんよ?駄目ですわ!と出久とメリッサの間に割って入った直後ーー。
「お前ら!ちょっと助けてくれ!爆豪が轟にくってかかってんだ!」
「このままだと雄英の恥部がI・アイランドに晒されてしまう!爆豪くんを止めるの手伝ってくれ!」
また事態が悪化する、どうやら爆豪がさらに順位を塗り替えた轟へターゲットを変えたらしい。ああもう!と八百万に麗日までステージに向かい……ポツンと出久と久、メリッサが残った。
「出久……学校、楽しいか?」
「え?あーーうん、楽しいよ、皆……優しくてさ、こんなどうしようも無い個性の僕を、受け入れてくれたし」
「ヒサシさんから聞いた……個性で大変だったって……皆いい人なんだね、イズクのクラスメイト」
昔の中学時代なんて、比べられ無いくらいに毎日が楽しかった。それを父親に伝えながら、眼下でわちゃわちゃする見慣れた光景を緑谷は微笑んで。メリッサも、彼は余程クラスメイトが好きなんだなと笑う。血も止まったからとそろそろ爆豪を止めに入る事にして、欄干からまた飛び降りた。
「かっちゃん、いい加減にしないと脊髄ぶっこ抜くよ!!」
ーーその頃、デヴィット・シールドのラボーー
「ふむ……やはりAFOとのの戦いから、個性数値は下がりっぱなしだね、トシ?」
「それ程の戦いだったのさ……まぁ、それでもまだ戦える、衰えはしたけどね」
ラボ内の個性数値や肉体の状態を測る装置から出て来た痩せ身のオールマイトに、デイヴは画面を見せながら衰えは来ていると語った。それに対して、やはりAFOとの戦いはそれだけ熾烈だったのだとオールマイト……八木俊典は語る。
その言葉に対してデイヴは、一つ溜め息を吐くとオールマイトに尋ねた。
「引退は……考えてないのかい?」
オールマイトは驚いた、まさかのセリフだったからだ。
「びっくりした……キミからまさか、そんな台詞が出るとは……いつまで戦えるんだとか、私がなんとかするとか……そのあたりが出てくるかと」
旧来の友人からは、考えられなかった労わりと心配。デイヴは苦笑しながら、オールマイトに言う。
「私だって考えを改める事はあるさ……何よりキミのその怪我だ、はっきり言えば……今からでもストップを掛けたいくらいには……僕たちはキミに頼りすぎたから」
友人の心配と変わり様に、ハッと気づいた。
「彼と出会ってからか?」
「ああ、ヒサシに言われた……オールマイトに、トシに全て任せきりにするのかと」
彼が変わった理由、それが緑谷出久の父、緑谷久との出会いだとデイヴは語る。
「彼とは、スターのヒーロースーツコンペで出会ってね、彼のデザインをスターが選んで材質や機能を私が落とし込んで、その時からの付き合いさ」
スターとは、現在全米No.1ヒーローとして活躍する『スターアンドストライプ』の略称だった。そのスーツデザインをしたのが彼だった。彼はアメリカに、流星の如く現れたデザイナーで、それ以降このアメリカヒーロー界隈に知らない者は居ない程。あらゆるヒーロースーツ、ガジェット、ビークルを手がけた名デザイナーとして名を馳せていた。
「ヒサシは言ってた……世界はオールマイトに頼りすぎた、と。キミの事をけなしていたりするわけじゃあないが、せめてその隣に並び立つヒーローが10人は居るべきだったと語っていた、そうすれば世界はもっとマシになっていただろうと」
オールマイトが緑谷久と出会って数分程度、その瞳には息子と同じ狂気と意思が宿っていたのは見てわかった。科学者の楽園I・アイランドのラボに、ただ一人かもしれない芸術家は、デイヴの心を変える何かを見せたらしい。
「彼と出会ってから私も、考えを改めた……キミが安心して引退できるように、たとえAFOが再び現れようと、それに変わる巨悪が来ても、キミ無しで平和を守れるようにしようとね」
デイヴは笑って、オールマイトの診断結果を映す画面から、ある別の画面に切り替える。それを見たオールマイトは、思わず目を見開いた。