【原作完結】僕の脊髄ぶっこ抜きアカデミア【オリジナルストーリー開始】 作:ぶっこ抜きデク
≪繰り返します、I・アイランドは、現時刻をもって厳重警戒モードに移行します≫
≪I・エキスポ内に爆発物が仕掛けられたと言う情報を入手しました≫
≪最寄の避難施設への避難へ、ご協力ください≫
≪なお、今から10分後に外出している場合、警備ロボットにより捕縛されますので、ご注意ください≫
アナウンスが鳴り響く、エントランスに集まっていた緑谷達も、窓や入り口にシャッターが自動的に落ちて行く様を見るしかできず、どう言う事かと見回した。
「ど、どうなってんだいきなり!厳重警戒モード!?」
「携帯が、さっきまで繋がってたのに圏外になってやがる」
慌てた峰田がアナウンスをなぞるように叫び、轟もふとスマホを取り出せば、電波も遮断されたらしい圏外になっていることを確認する。耳郎はエレベーターのボタンを押してみるが、反応は無かった。
「エレベーターも反応無いよ」
「マジかよ!?」
いよいよもって何があったのか恐怖心に駆られ慌てる峰田。だがメリッサは、この厳重警戒モードが発動した事を訝しんだ。
「……爆発物が設置されただけで、警備システムが厳戒モードになるなんて……明らかにおかしい挙動だわ」
「そうなんですか?」
緑谷からすれば、爆発物が仕掛けられているのに?と言う感覚からの疑問だったが、これにはメリッサが疑問を晴らした。
「今の放送、島全体へのアナウンスなのよ……まず避難区画指定があって、その辺りを封鎖なら分かる、仮にここに……セントラルタワーに仕掛けられたならば、そこから離れるのと区画封鎖のアナウンスになるわ……これは大津波やテロでもあった、となった場合ならこのモードになって島全体にアナウンスされるのよ」
そもそも、島全体へのアナウンスがおかしいと言う。まずその爆発物や事件の区画から逃げるようにアナウンスが入ると、これはまるで島全体の、『I・アイランド全体の有事』でもなければ放送されないとメリッサが説明した。
つまり今、余程の有事になった訳かと緑谷は、まず会うべき人が居るなと飯田に話しかけた。
「飯田くん、パーティ会場に行こう」
「何故だい?」
「会場には、オールマイトが来てるんだ」
「オールマイトが!?」
麗日が確認するようにその名前を呼んだ。オールマイトがここに居る、それだけで皆安堵が顔に浮かんだ。
「何だ‥…それなら心配いらねぇな……」
むしろ、だからこそ心配なのだがと緑谷はメリッサに向き直り尋ねる。
「メリッサ、どうにかパーティ会場まで行けませんか?」
その質問にメリッサが指差して見せた先を、皆が向けばそこには重々しい扉があった。
「非常階段を使えば、パーティ会場の近くへは行けると思うけど……」
「案内、お願いします」
緑谷達は、メリッサと共に非常階段の扉に向かったーーのだが……その時、麗日と八百万はある事に気付いて緑谷に囁いた。
「出久くん、メリッサさんは呼び捨てなんやね?」
「私たちは苗字でさん付けですのに……」
ビクン!と、身体を震わせて、確かにと、呼び捨てをしてくれとメリッサから言われたからそうなってしまったが、ここでさん付けに戻すのは何か違わないかとなった緑谷。
「今はそんな事言ってる場合じゃない、オールマイトの、パーティ会場の様子を早く確認しよう!」
飯田が痴話喧嘩はまた後だとフォローしてくれた、が……そこでまた亀裂が入って、今後の動きに支障が出てもとなった緑谷は、赤くなりながら二人へ言った。
「お茶子、百、早く行こう」
「「はい、出久」」
これでいいか?と恥じらい顔の緑谷を見た二人は、にっこり笑って頷いたのだった。それを見た轟は、緑谷の肩を軽く叩いて言った。
「ま、あれだ……うちも個性婚とかだったりするから、慎重にな?」
「キミが言うと本当に洒落にならないからやめよう?」
個性婚被害者による、今後の身の振り方の警告に緑谷は洒落にならないとは口に出したが、実際その通りなため深く刻み込む事になった。
パーティ会場には、アサルトライフルを所持した仮面をつけた、さながら特殊部隊の装いをした者達に占拠されていた。
オールマイトも、招待されたヒーロー達も、青く発光する縄状の捕縛装置に拘束されていた。赤い髪に仮面を付けた、白いコートの男が拳銃を捕縛したオールマイトに向けながら言う。
「抵抗はするなよ、したら招待客から死んでいく事になる」
「SHIT!!」
ここまで完璧に掌握されるとは!何があった、警備システムをどうやってこいつらは掻い潜った!?そんな最中……オールマイトがふとデイヴの方に行くと……信じられない物を見た。
「サム……これはどう言う事だ?」
デイヴが銃を向けられていた、しかも……向けていた相手は、再会の時に彼の助手だと、今先程の会話の中でも相棒だと言っていた男……。
「付いてきてもらいますよデイヴ……撃たれたくなければ、ね?」
愛称はサム、デイヴの助手サミュエル・エイヴラハムが、ニタリと笑って拳銃を向けていた。
「キミが手引きしたのか、これは……」
「はい、そうですとも」
「理由を話してくれ……あまりに唐突で、僕には理解が及ばない」
自身の助手が、共に研究をしていたキミが何故、こんな凶行をとデイヴは信じたくもなければ理解もできないと尋ねた。しかしサムはため息を吐いた。
「偉大なる世界の発明家様は……凡人の心は理解できないらしい……」
「おい依頼主、デヴィットをさっさと連れて行くぞ」
赤髪の、此度の騒動を実行したヴィランの親玉がサムに話しかけた。それを聞いてサムは、傍の酒が注がれたグラスを取り飲み干してから、デイヴの背中側に回り込んで銃口を押し付ける。
「屋上に来てもらいます、増幅装置の封印は私には解けませんからね」
狙いはそれか、しかし今は抵抗したら自分はともかく参加者が危ないと、デイヴは壇上のオールマイトに目配せした。どうにかするから、人命重視で抵抗はしないでくれと。
サミュエルとヴィランの親玉に連れられ、デイヴはパーティ会場から退出した。
「ふー……I・アイランドの警備ってのもあっけねぇなぁ?」
セントラルタワー2階、男子トイレ。此度の占拠で、ヴィランの一人がタバコに火をつけていた。最近は喫煙に厳しい、I・アイランドも喫煙スペースしか吸えないと、警報を切られた今ならどこでも吸えるなとタバコを燻らせる襲撃メンバーの一人は、仕事の合間の一服を楽しむ。
そうしていたら、背後の個室トイレから水を流す音が聞こえた。ああ、客の一人かと一服を邪魔されたとヴィランは傍のマシンガンを携えて、扉に向けて行った。
「よーし動くな、鍵開けて手を上げろ?死にたくねぇだろ?」
その声に、カシャンとトイレのロックが開く。お利口だなと笑って、ドアがゆっくり開いた瞬間ーー。
ヴィランの視界は蒼の炎に包まれた。
「ぎゃああああああ!?」
一瞬ではあった、しかしすごい熱量だった。強酸性の薬品がかかったような熱と共にヴィランは引き金を引いたが、その銃口は真上に向けられスプリンクラーへ命中し、水を撒き散らした。
「ノックくらいしてくれないか?」
ヴィランが最後に聞いた言葉が、それだった。その言葉を最後に、ヴィランは顎を打ち抜かれ意識を手放した。