【原作完結】僕の脊髄ぶっこ抜きアカデミア【オリジナルストーリー開始】 作:ぶっこ抜きデク
飯田と轟の起点によって、閉じ込められるのを回避した一同が入ったのは、植物が生い茂る巨大な空間だった。
「ここはーー」
「植物プラントよ!個性の影響を受けた植物を研究ーー」
「待って!」
メリッサがこの植物プラントの説明をしながら走る最中、耳郎が待ったをかけた。
「あれ見て、エレベーターが上がってきてる!」
真正面のエレベーターを指差し、それが上がってきているのを示した。
「ヴィランが追ってきたんじゃ!?」
「隠れてやり過ごそう」
やはり先程のドアを開けた際に、人員をこちらの捕縛に割いてきたようだ。緑谷は皆に隠れるよう指示して、全員近場の植物の影へと移動して、エレベーターから出てくる者達をやり過ごすことにした。
「あのエレベーター使って、最上階に行けねぇかなぁ」
上鳴の言葉に、それは確かにと皆が思ったが、それをメリッサが申し訳無さそうに否定した。
「無理よ、エレベーターは認証を受けてる人間しか操作はできないし……シェルター並みに頑丈に作られているから、破壊もできない」
それは流石にできないらしい、緑谷はならばと目を細めて呟いた。
「……なら、背後から奇襲して認証キーを奪おうか、ぶっこ抜いて」
スニークキルで認証キーを奪うかと、緑谷は右手をわきわきさせたがーー。
「認証はカードキーじゃなくて顔認証なのよ、それに奪ったとして見つかったら、止められて閉じ込められるわ」
「檻にされるわけか……」
「使わせろよ文明の利器……!」
カードキー式でない顔認証、つまりヴィランは既に自分達に権限を移しているだろうし、仮にぶっこ抜きから認証をして動かしてもあちらが止めたら、シェルター並みの密室に閉じ込められると、緑谷を諭した。
文句を峰田が呟いた瞬間ーーエレベーターの到着を報せる音が響いた。
二重のシャッターが開き、背の高い男と寸胴型の男が出てきた。軍人のような、特殊部隊じみた服装……パーティ会場に居たヴィラン達であった。
「ガキはこの中に居るらしい……」
「面倒な所に入りやがって……」
ブツクサと文句を言い合いながら、隠れているこちらに向かってくるヴィラン達に、一同は息を殺した。こっちに来るな……気づいてくれるな……あっちに行け……来るならぶっこ抜いて殺す……1名だけアンブッシュ狙いが居る中、ヴィランは声を上げる。
「見つけたぞ、クソガキどもぉ!!」
見つかったか、やむを得まい。緑谷は殺意を滲ませ狙いを定め飛びかかろうとしたが……ヴィラン達が自分達の隠れている茂みではなく、全く別の方向を向いて叫んでいたのを見て……その先に居た人物に驚愕した。
「あぁん!?いまなんつったてめぇ!!」
そこに居たのは、爆豪勝己と切島鋭児郎の二人だった。飯田が電話して応答がなかったから、パーティに来ていなかったと思っていた緑谷は今何故ここにいるのかと口があんぐりとあいてしまった。
「お前らここで何をしている?」
「そんなの俺が聞きてぇわ」
クソガキ呼ばわりされて喧嘩腰で迫る爆豪に、切島が待ったをかけてなだめた。
「待て待て!ここは俺に任せろって!な?あのー俺ら道に迷ってしまって……レセプション会場ってどこに行けば……」
道に迷ってこんな場所に来てたまるか……と、言いたいが集合時間にロビーへ来なかったあたり、切島くんならマジに迷いこむミラクルを起こしたかもしれんと緑谷は思った。
だが、ヴィランがそんな戯言を聞いて信じるはずも無くーー。
「見え透いた嘘ついてんじゃあねぇぞ!!」
背の高いヴィランが、水掻きのついた手を振るい、空気の弾丸らしきものを投げ飛ばした。
「ちぃい!!」
刹那ーー轟の氷塊が切島への攻撃を防ぐように現れた。尻餅をついて驚く切島、轟を見て気付いた爆豪は何故お前らがここにと驚きの表情を浮かべた。
「轟!?」
ようやく我に返り、顔を向けて叫ぶ切島を他所に轟は地面に手を置いて言った。
「俺たちで時間を稼ぐ!上に行く道を探せ」
「轟くん!」
「轟さん!!」
「ここを片付けたらすぐに追いかける!!」
冷気が地面を走り、緑谷達の足元に広がるや氷柱がぐんぐんと伸びて地面から離れて上の連絡橋へ伸びていく、有無を言わせない早く行けと言葉を交わすまも無く押し上げられ、連絡橋の目の前に到達して一同は氷柱から降りた。
シャッターが閉まっているのは上の階も同じ。飯田が即座にエンジンを起動して蹴り壊したが……廊下のシャッターは封鎖されていた。
「こっちもダメか!」
「おいおいどうすんだよ、俺たち完全に袋の鼠じゃねぇか!」
「ここまでかよぉ!」
万事休すか……何か出られる場所はと緑谷は辺りを見回す中、ふと上に四角形のハッチが目に入った。
「メリッサ!あのハッチから中には入れない!?」
緑谷が指差した場所を皆が凝視した、その先にあるハッチを見てメリッサは呟く。
「日照システムのメンテナンスルーム……その非常用ハッチね?」
この植物プラントの日照システム、そのメンテナンスルームから出るための非常用ハッチらしい。それを見た飯田は、おお!と歓喜に声をあげた。
「あの構造なら非常用の梯子があるのでは!?」
光明が見えてきたぞと皆の顔に笑みが浮かんだが……。
「たしかに……手動のハシゴがあるけど……中からしか開けることができないわ……」
「ここまで来たのにぃ!」
こちら側から開ける事ができないと聞いて、麗日が悔しそうに唸る。その時ーー。
「まだ可能性はありますわ」
廊下側に出ていた八百万が、斜め上を見ながら胸元に手を当てて何かを作り出し……それを天井向けて投げつけた。一同も廊下側に出て、天井に張り付いた八百万の作り出したらしい爆弾が起爆し、また違うハッチをこじ開けたのを見たのであった。
「通風口の隙間から外に出て、外壁を伝って上の階に!」
「そうか!上にも同じ物があれば!」
「中に入れるわ!」
通気ダクトからタワーの外に出て、上の階からさらに通気ダクトより再侵入!そしてメンテナンスルームに入れば非常用の梯子を下ろせる!
光明がくっきり差し込んだ事に喜ぶメリッサや麗日だがーー。
「けど、あんな狭い通風口に入って…外壁を行くにはーー」
「どきな緑谷、ここはおいらの出番だぜ」
足を伸ばして準備運動した峰田が、しゅるりとキメ顔でネクタイを解いてから頭のもぎもぎを取って壁に張り付いた。
「さっき……おいらがヘマしてヴィランに気付かれちまった、責任は取る……だから、おいらのカッコいい所しっかり見といてくれよ、緑谷」
先程の不用意に開けた扉の件を、余程気にしていたらしい。親指を立ててあとは任せとけと……膝ガッタガタに震わせながら壁を峰田はよじ登っていく!
「峰田くん……」
「うぉお!?な、なんか峰田がカッケーんだけど……」
一体どうしちまったんだよ!上鳴も唸りを上げるその背中と共に、峰田は通風口に消えていった。
男峰田、決死の数百メートル外壁クライミング……緑谷はそのまま峰田のネクタイを拾い上げて通風口に敬礼して見送ったのであった。
「峰田くん、きみは男だよ……膝をガタガタにするくらい怖いのに……」
「ああ、俺も彼を見直したよ……」
飯田も、釣られて敬礼しながら呟く、そして緑谷はそのままさらに呟いた。
「だが峰田くん……カッコよかったけど……チャック全開だったぞ!!」
その指摘に、緑谷以外は全員ずっこけたのであった。