※この作品はR-18です。

【原作完結】僕の脊髄ぶっこ抜きアカデミア【オリジナルストーリー開始】   作:ぶっこ抜きデク

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scene22 取り返せ!博士!!

「かぱぁああ〜……!?」

 

 どこかしこでも、斯様な話は出てくるが……成人男性の頭部は大凡、5〜7Kgである。大概はボウリング玉に例えられる事が多いが……それを思い切り叩きつけられたサムの顔面は、そりゃあもう酷い有様だった。

 

 鼻はぺしゃんこ、歯は上下合わせて十数本がへし折れて仰向けに倒れ伏したのだった。弁舌の雰囲気をたったの一投にて破壊して、メリッサとデイヴは親子共々あんぐりと口を開けて現状に硬直した。

 

 ふー、ふー、とここまで駆け上がって来た疲れや、せっかくのパーティがこんな有様の苛立ちだとか、様々な物をない混ぜにした緑谷出久はスタスタ歩いて、倒れたサムの襟首を掴み立たせて。

 

「お前のっせいでぇ!!」

 

 顔面を殴り抜いた、後頭部が床に叩きつけられ勢いで足が跳ね上がる勢いの一撃。さらにネクタイを引っ掴み立たせて拳を握りしめーー。

 

「楽しみだったパーティがこんな有様でぇ!!」

 

「がばぁあ!?」

 

 二発目、サムの肉体が心身宙返りして宙を舞いうつ伏せに倒れ伏す。そのまま近寄り、右足を振りかぶりーー。

 

「友達もメリッサも怖い思いしたんだぞぉ!!」

 

 サッカーボールの様に顔面を蹴り抜く!嫌な鈍い音と共にサムの体が血液を散らして転がって壁に叩きつけられた。

 

「その理由がぁ!父さんや僕への逆恨みだと!?ふざけるのもぉ!!大概にしろぉおおおーー!」

 

 最後とばかりにサムを個性で引き寄せ、背後からがっしりホールドし、出久は思いっきりブリッジしてサムを背後に叩きつけた。

 

 凄まじい音が鳴り響く。

 

 余りの勢いに、サムの頭部は脳天が平たくされ、ピーンと頭部だけで直立し床に突き刺さったとすら思えるくらいに綺麗な脳天逆立ちで気絶していた。

 

「ふー、ふー、ふー……」

 

 感情や怒り全てをぶつけた攻撃、サムから腕を解いて立ち上がった出久は、そのまま……サムが持っていたジュラルミンに歩いて行った。

 

 それを無造作に蹴り開けて、中身を見下ろした。頭に嵌め込む様な物と、カートリッジらしき物……こんな物の為にこいつは、ヴィランはとジュラルミンを閉じた。

 

「メリッサ、デイヴさん……さっさと警備システムを取り戻しましょう、これももう元居た場所にーー」

 

「それはダメだな、ヒーロー気取り」

 

 緑谷出久の失態、それは首魁のヴィランがまだ居るのに気を抜いてしまった事。気付いたその時には、室内の手すりがちぎれ、変形して即席の拘束具を作り出して出久を壁に打ち付け捕縛したのだった。

 

「イズク!!」

 

「イズクくん!?」

 

『金属を操る個性か!?』

 

 ギチギチと締め付けられ、拘束から抜け出せずジタバタするしかない出久。そこに駆け寄るメリッサ。入り口には、此度サムが招き入れたヴィランの親玉たる鉄仮面の男ウォルフラムと、その配下たるスコープを移植した白髪のヴィランが立っていた。

 

「……おいおい、本当にこれがヒーローのやる事か?頭蓋が砕けてるじゃねえか……」

 

 直立したサムを指で押して倒し、脳天から広がる血を眺めながら拘束した出久を見たウォルフラムは、銃をデイヴに突きつけてジュラルミンに近づいた。

 

「妙な真似はするなよこっちはこれさえ手に入れば用はない、穏便に行こうぜ博士」

 

「やめろ!!それを持っていく事はーー」

 

 口答えすら許さぬ、全てを言い切る前に引き金は引かれてデイヴは肩を撃ち貫かれた!

 

「ぐぁあーー」

 

「パパァ!?」

 

 階段を転げ落ちて鮮血の血溜まりを作るデイヴ、それを見た出久は怒りの琴線が切れて、腕を拘束した金属の拘束を力任せに引きちぎった。

 

「おいおい……個性使ってなくてそれか、末恐ろしいなぁ!」

 

「んぐぅう!?」

 

 それが余計に、ウォルフラムからの拘束を強めた。階段から落ちたデイヴを見下ろした。

 

「丁度いい……こいつの量産の為にアンタも連れていくか、おい、連れて行け」

 

 落ちた時に気を失ったか、デイヴ博士は引きずられ始めた。どうする!?ここから、どうすればと出久が動けぬままとなった最中ーー。

 

「くぅう!!」

 

メリッサが動いた!入り口に戻り、警備システムを取り返しに!捕まったヒーローやオールマイトを解き放てばと考えての行動!

 

「追え、逃すな!」

 

「はい!」

 

 配下のヴィランに追わせようと指示するウォルフラム。出久は、どうにか金属の拘束を解こうとするがウォルフラムの集中によってか、全く力が緩まない様に歯噛みした。

 

 畜生!こんなのダメだろ!!指でもなんでも、動かせ緑谷出久!!自らに言い聞かせて拘束具の金属に対して引き寄せを使おうとした最中。

 

「ぐぁああ!!」

 

 メリッサを追う配下のヴィランが、銃声と共に崩れ落ちた。

 

「行きなさいメリッサ!俺が食い止める!」

 

 そこに現れたのは……緑谷久であった!久はサブマシンガンのマガジンを交換して、ウォルフラムに向けた。

 

「誰だ……お前は?」

 

「ただのデザイナーだ!」

 

「なら死んでおけ!!」

 

 その一瞬!父親が現れた刹那、ウォルフラムの個性の力が緩んだのを体感した出久は、脳の負担も構わず拘束具を引く力と、自らの引く力を同じ方向に向け、拘束具を引きちぎった!

 

「やぁらせるかぁあああ!!」

 

「なにっ!!」

 

 拘束を外した出久は、そのままウォルフラムに一撃をお見舞いする為振りかぶった!しかし、金属操作の個性か床から壁がせり上がり出久の拳を阻んだ!

 

「父さん!こっちに!」

 

「むおぉお!?」

 

 ならばと、父親を守る為出久は久を引き寄せて背後に着地させた。タタラを踏みながらなんとか着地した久は、ふうと一つ息を吐いた。

 

「どうしてここに……」

 

「麗日さんに移動させて貰った……心配でな……」

 

「僕は父さんが心配だよ……そんな物まで持って来て……」

 

 ここにまで追って来た理由はそれか、ヒーローでもないただのデザイナーなのに……昔から守られてばかりだな自分はと少し笑みを浮かべた。

 

「父さん……僕が囮になるから、デイヴさんを……撃たれてるから」

 

「サムは?」

 

「首謀者だった、あっち側」

 

「そうか……」

 

 二人して、立ち上がって頷き、壁の先で佇むウォルフラムに向かって出久は突貫し、同時に久は撃たれて気を失ったデイヴの元に走った!

 

「調子に乗るーー」

 

「Get Over Here!!」

 

「なにっ!?」

 

 ウォルフラムの脊髄が、言い表せない力で引っ張られふわりと宙に浮かび上がる!出久の個性『脊髄ぶっこ抜き』より派生した『引き寄せ』は、脊髄に近しい程、より強力に作用する!

 

「はぁああああ!!」

 

「ちぃい!!」

 

 宙に浮いたウォルフラムに、緑谷の右足が叩き込まれ、そのまま床にウォルフラムは叩きつけられた!が、携えた拳銃を顔面に向けて引き金を引いた!

 

「くっ!?」

 

「避けんじゃあねえよ!当たらねぇだろうがよぉ!」

 

 連続で引き金を引いたウォルフラムに、さしもの出久も避けに専念するしかなく、バク転や側宙で弾の軌道から何とか身体を外していった。

 

 そして、抜け目なくデイヴの方に向かった久にも顔を向け床に手を振れれば、金属の柱が久の行手を阻んだ。

 

「くっ……」

 

 そのまま柱が、デイヴの体とジュラルミンを押し上げるや自らの方に誘導して二つとも掴み上げると、ウォルフラムはジュラルミンを掴みデイヴを肩に抱える様にキャッチした。

 

「もう目的は達したのでな、ずらからせてもらう!」

 

「待て!!」

 

 追い縋ろうとする出久だが、更に床から金属の柱が向かって来て、追うことすら許さぬと行手を阻んだ。

 

<<I・アイランドの警備システムは通常モードになりました>>

 

 それと同時に……警備システムが取り戻された事を報せるアナウンスが響き渡る……。

 

「待てぇヴィラン!博士を、返せぇえ!!」

 

背中を見せ、デイヴ博士と目当ての品を携えたウォルフラムに、出久は柱を飛び越え、追いかけた。

 

 息子は更に奥へ向かった、対して父の久は、自身のできる事はこれまでかと、サブマシンガンを放り投げた。

 

 後は……息子を信じる他ないと久は見送る中、ふと荒れた部屋の血溜まりから何かが光っているのを見つけた。

 

「これは……たしか……」

 

 それはUSBメモリだった……久は、まさかと担がれ連れ去られたデイヴと、それを追う出久が向かった扉を見て、すぐに部屋から出ていき走った。

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