※この作品はR-18です。

【原作完結】僕の脊髄ぶっこ抜きアカデミア【オリジナルストーリー開始】   作:ぶっこ抜きデク

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24話 友達ができました

部屋で1人、緑谷出久は体育座りでベッドに座っていた。ズル休みだった、ヴィラン襲撃事件から振替休日があり、さらにその翌日も休んでいたのだ。

 

 机の上には『退学届』と刻まれた白い封筒が置いてあった。

 

 明日……これを提出しようと決めた。皆の前で、あれだけのことをやらかした。相澤先生、オールマイト先生との約束も破った以上……ヒーローになる資格は僕には無いから。

 

 今何時だろうか、朝ごはんも食べてない、トレーニングも今日はしてない、このまま死んでもいいかもしれないなと考えながら、そのまま布団に蹲る。

 

 そして……ダメだなと感じた。明日に明日に伸ばしそうだ、今日渡しに行こう、そうしようと、緑谷は雄英の制服に着替えた。

 

 これが……最後に袖を通す事になるから、きちっと着ていこう。

 

 

 

 いつもは、ランニングがてらに歩いて登校するが、電車を使って雄英に向かう。電車通学なんて初めてだなと、移ろう景色を見ていれば駅に着いた。

 

 今何時限目だろうか、数学の教科書を確認して……辞めるから必要なかろうに入れている事にため息を吐いた。

 

 上鳴達と行ったカラオケを通りかかった……帰りたくなって来た。いや帰るなと、いやでも足を動かす。厳重な正門とガラス張りの校舎が見えて来た。

 

 さぁ、終わらせよう……今日でヒーローの夢をさっぱり諦めようと、校舎の中に入り、職員室に向かおうとして。

 

「重役出勤だな、緑谷」

 

「えーーあーー相澤先生……怪我はーー」

 

「俺のことは気にするな、お前も戦って疲れて寝坊したか?」

 

 担任の相澤先生に会ってしまった、痛々しい程に包帯ぐるぐる巻きで、まだ全快なんて程遠いのに、歩いて教職についている。ヒーロー魂というやつなのだろうか。

 

「先生……あの、僕……」

 

「悪の個性を宿しながらーー」

 

「へーー」

 

「正義を成す男か、かっこいい口上だな……温めてたか?」

 

「えっと……」

 

「こう考えてたんだろ、自分はどうなってもいいから、それでも皆を助けたいんだと……例え……敵を殺して殺人者になっても……」

 

「…………」

 

「献身や自己犠牲も行きすぎると、壊れるのはお前だ……お前は壊れかけてたのに……もっと仲間を頼れ、お前の仲間は……やわじゃ無い」

 

 そうだけ伝えて、職員室に入って行った。退学届を渡しそびれてしまった、まぁ、皆に別れの挨拶をしてからでもいいかもしれない。

 

 1-Aに向かう、扉の前に立って、開けようか迷う。開けなければならない、でも怖い。開けた先の自分を見る目が……恐怖や嘲り、憎しみの目に染まったクラスメイトが居たらと足が竦んでいると。

 

「邪魔だクソヴィラン!さっさと入れや!!」

 

「あだぁあ!?」

 

 背中を蹴り込まれ、引き戸を薙ぎ倒して無理矢理教室に叩き込まれた。

 

「あ!?」

 

「来た、緑谷くん!!」

 

 その倒れた体を踏みつけながら、爆豪は自分の席に座り舌打ちをした。そして緑谷ははっとして立とうとした。

 

「緑谷くん、やっぱり怪我してたの?遅れて来たから心配したよ」

 

「よっ!1-A最強がご帰還だ!やっぱりヴィランとの戦いは疲れたか?」

 

「おはよう緑谷くん、遅刻は感心しないぞ、寝坊したのかね?」

 

 どうして……皆普通に接している。

 

 どうして……一昨日の景色が無かったみたいに言える。

 

 緑谷は歯を食いしばり、そして叫んだ。

 

「どうして!!僕は、僕はあんな風に!暴力を振り翳して!!人を殺して傷つけたのに……怖いだろうが!!気持ち悪いだろうが!!こんな個性の奴!!」

 

 全てを吐き出した、あれだけの所業をやらかして何故普通に接してくれるのだと。こんなどうしようも無い奴、さっさと排斥するのが普通だろうと。

 

「緑谷くん……今まで、辛かったよね」

 

 手を伸ばして、頬に触れたのは、麗日お茶子だった。

 

「個性のいじめってつらいし、思いがけない力で友達や他人を傷つける事もあるよね、私の個性も……色々しないと大変だから分かる」

 

 個性のいじめ、偏見、差別の痛みは知っている。それが人を殺す個性ならなおさらだと、その痛みの辛さを知っていると麗日は諭した。

 

「貴方の悲壮な覚悟で、個性を使って皆にバレるのが嫌で、それでも私や峰田ちゃん、先生を助ける為にと、それでも体も血に染めて戦った貴方を……私は決して貶めない、そして気づいてあげれなくて、笑ってごめんなさい」

 

 バスで笑ってしまった自分を、痛みを冗談だと言ってしまった事を許して欲しい。自らも同じ目線まで腰を下げて蛙吹は謝罪した。

 

「個性で事故って人殺すって偶に聞くけどさ、生まれた時から人殺し言われたらそら荒れるしキチーよな……笑っちまってごめん」

 

「分かり合える人も、理解してくれる人も居なくて辛かったでしょうに……」

 

「キミはそれを抱えてなお、正しくあろうとして抗って来たんだな、わかってやれなくてすまない」

 

 その言葉を、どれだけ欲しかったか。誰もが後ろ指を刺した、嘲った、恐怖した。それでも必死に正しくあろうとして、諦めかけていた。だけど諦められなくて……必死に立ち上がったけど疲れて、でも立ち上がって。

 

 誰かの優しい言葉が欲しくて、ほしくて!

 

 緑谷出久は泣いた、今まで見せていた涙を流すだけではない、子供のように鳴き声をあげて泣いた。理解者も、仲間も居なくて、孤独であろうと突き進むしかないと思っていた。

 

 けれど違った、こんなに暖かい、こんな自分でも受け入れてくれる人が、こんなにも居たんだとひたすらに泣いた。

 

 そして、ようやく泣き止んだ緑谷出久は……カバンから退学届を取り出して、それを皆の前で破り捨てた。

 

「ごめんみんな……僕、なるから……立派なヒーローに……」

 

「うん、なろう、一緒に頑張ろう緑谷くん」

 

「なれるって!出久ならさ!なんせ、最強の個性持ちだからな!」

 

「待った、まだ最強は決まってない、雄英体育祭がまだあるからな」

 

 退学まで考えていた仲間が戻って来た事に、その決意表明に皆が歓喜した。しかしーー。

 

「けっ、御涙頂戴ってか?馬鹿馬鹿しい……よかったなぁクソヴィラン、傷の舐め合いできる友達ができてよぉ」

 

「爆豪くん!全くキミは……」

 

 ああ、キミだけは変わらない。だからこそ嬉しくもある、緑谷は皆を掻き分けて、ゆっくりと彼に近づいていく。

 

「勘違いすんじゃあねぇぞクソヴィラン、このクラス最強は、このーー」

 

「かっちゃん」

 

 そして、彼の頭に右手が置かれた。言葉が止まった。

 

「久々に……行っとこうか?」

 

「いや、あの緑谷さん?僕らもう高校生ですから、そんな事で人を脅しあげるのはいけない事だとーー」

 

「ちょっと、地獄の閻魔様に裁判受けてこい」

 

 皮膚が裂ける、筋繊維が引きちぎれる、血が溢れ出しやがてーー断末魔と恐怖の叫びが、雄英高校に響き渡った。

 

 

 

僕の脊髄ぶっこぬきアカデミア 

 

第一期  完

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