【原作完結】僕の脊髄ぶっこ抜きアカデミア【オリジナルストーリー開始】 作:ぶっこ抜きデク
I・アイランドのセントラルタワー占拠事件は、こうして幕を下ろした。
首謀者たるウォルフラム、以下10数名のヴィラン達は無論逮捕された。ウォルフラムに至っては赤い髪の毛が一気に白髪へ脱色し、涎を垂らしてあーあーと唸るしかできない程に精神が崩壊していた。
やはり試作品そのままは危ないな、デイヴとメリッサはそう思った。個性増幅装置は壊れたが、完璧に、跡形もなく壊したらしい。
ヴィランをI・アイランドへ引き入れた、デイヴの側近で研究の相棒たるサミュエル・エイヴラハムことサムは、病院に搬送、治療後に逮捕される予定だ。実質の首謀者たる彼が背負う損害賠償額は、人生何周したら支払えるのか分からないくらいらしい。
あと、出久がメリッサの部屋で見つけた小型カメラをデイヴに見せて解析したら……メリッサの盗撮だったのが分かった。
これに関しての犯人もサムであった、所謂……歪んだ愛というやつらしい、浴室からトイレ、様々な場所から同じようなカメラが見つかった。外観こそ粗悪だったが、中身は高性能なあたり、見つかった際に自分ではないと思わせる為だったらしい。
デイヴはそりゃもう怒りに怒り、この件も立件し訴える気でいるらしい。が、メリッサにはこの事を話さないと彼は言った、彼女のトラウマになれば大事だからと。
I・エキスポも本オープンは延期となってしまった。しかし、I・アイランド自体はまだ観光できる場所はいくらでもあると、メリッサが雄英生を案内する事となった。
だが……緑谷出久はーー。
「止血したからいいじゃないですか、オールマイト」
「キミねぇ、45口径肩に叩き込まれてたんだよ?あと少しズレていたら大出血だったのが奇跡だったんだ、いくら止血したからってまた血が出たらどうする気だ?」
絶賛治療中だった。
なにしろ、肩に銃弾叩き込まれたから。I・アイランドの医療技術で大事無しだが、あと少しズレたらまぁ死んでたらしい。オールマイトに諭されて、メリッサやみんなとI・アイランド観光はお預けとなった。
「はー……みんな楽しんでるだろうなぁ、オールマイトはなんでピンピンしてるんですか?」
「あっはっはっは!そりゃキミ、結構ボロボロに見えてもキミほど重傷は無かったからさ!けどこの下は包帯と湿布だらごぱぁ!」
「血液感染とかあるんで、吐血しないでください」
明らかに自分よりボコボコにされてたよな、この人と思いながらマッスルフォームを維持して吐血するオールマイトに突っ込む出久。衰えてまだ、この人は象徴だなと、そのタフさには驚くしかない。
「さて、私は事情聴取もあるから失礼するよ、抜け出したらダメだぞ緑谷少年?」
「しませんよそんな事」
「本当に?なんだか私、緑谷少年が抜け出してから、新技で失神させてベッドに叩き込む夢を見た様な気がしたのだけど?」
「時系列上後のメタい話はやめません?」
おお、メタいメタい。そりゃこの後の話だなと第四の壁越えそうなオールマイトに待ったをかけると、オールマイトはでは!と手を挙げて病室から退出した。
ふー、と一息を吐いてベッドに体を預けた緑谷出久だったが、すぐに病室の扉がノックされた。
「どうぞー」
生返事で入室を許し、扉が開いた先には……父親の久が立っていた。
「父さん!」
「具合はどうだ……」
「もう塞がってる、明日には退院だよ、凄いよねI・アイランドの医療技術って」
まぁ、雄英にはリカバリーガールが居るけどとは言わずに、それでも銃創が無くなるくらいに綺麗に治療してくれるあたり、医療関係も凄いと実感してしまう。久は傍の椅子を引き出して座り、申し訳なさそうな顔をしていた。
「その……あれだ……こんな事になってすまない、逆恨みを買っていたとは……」
「いや、父さん謝る必要は無いから……」
「あと、エルクレス……あの場でお前を戦わせるのは……違ったとも思えてな」
父親、久は一夜明けて色々省みることばかりだったと息子の出久に謝りっぱなしだった。あの場はそもそも、親として止めるべきだったともいい出したが、出久は笑って諭した。
「ヒーローになる人間が、銃弾程度で膝折れないよ父さん……」
「そうか……」
気を遣われてしまったなと、久は苦笑する中、出久はふと父親が脇に挟んでいる書類に目が行った。
「それは?」
それは何だろうか、尋ねた出久に久は、見せるべきか迷いつつも少ししてその書類を出久へ渡した。その書類はパンフレットで、英語ではあるが『アイランド・ヒーロースクール』と書かれていた。
「このI・アイランドにも……ヒーロー学校があるんだ、世界中からここに集まってヒーロー候補が学んでいる……もし、良かったら……転校とか、嫌か?父さんと暮らしながら……ここで、母さんも呼んで……」
父からの話は、転校の誘いだった。今まで共にいる時間が無かったから、母もI・アイランドに呼んでここで、一緒に暮らさないかと。
「り、留学も受けている……無理にしなくていいが……お前には友達も雄英に居るしな……まぁ、万が一気が向いたらで……じゃあ」
「あ、うん……」
まだ距離感が掴めないと、どうも会話が続かない父親は、それだけ行って帰って行った。退院したら、I・アイランドをまた案内して貰おう、一杯話そうと出久は決めた。
それからしばらくは、窓辺の景色を眺めていた出久だったが、またドアがノックされた。
「どうぞ」
許可を出してドアはスライドして開き、そこに居た人物に出久は驚いた。
「んだよ、くたばってねぇのかクソヴィラン」
「かっちゃん!」
爆豪勝己が、舌打ちしながら菓子の入った袋を携えてどかりと許しも聞かずに椅子に座った。
「メリッサさんや皆と観光に行ったんじゃあないの?」
「騒がしいから一人で見てぇとこだけ見て、テメェのくたばった様見にきたんだよ、生きてたみてぇだがな」
「後少し軌道が違ったら死んでたらしいよ?」
「はっ、そりゃ残念だわ」
悪態しか吐かないが、それでも心配してくれているのは感じていると、出久は笑った。それに対して舌打ちした爆豪は、棚に置かれたこのI・アイランドのヒーロースクールのパンフレットが目に入って手に取り開いた。
「……転校するんか?親父さんとこに」
「誘われたけど……ちょっと迷った」
「行け、帰ってくんな、テメェが雄英から居なくなったらちったぁ平和にならぁ」
「酷いなぁ……僕の居ない雄英でトップ取れたら嬉しい?」
「テメェなんざより半分野郎のが目の敵だボケ、体育祭で負け腐りよって……」
まだ根に持ってるのか……いずれ衝突しそうだなぁとは思って眺めていたら、やがて読み終えて爆豪は立ち上がる。
「くたばっちゃいねぇみたいだから帰るわ、転校するなら教えろや」
「お見舞いありがとう、かっちゃん」
「見舞いじゃあねえよ、クソヴィラン」
見舞いの礼を言ったが、悪態で返されて爆豪は帰って行った。爆豪が去った後、お菓子の袋を開けてみれば、色々と入っており吟味したのが伺えた。
「見舞いに来たぞ緑谷ぁーー!」
「お見舞いのグッズを受け取れー!」
「全員静かに、病院だぞ!彼は撃たれたんだから傷に……」
「あんたもうるさいから声下げよう、飯田」
爆豪が去ってから、A組の面々がお土産を持ってお見舞いに来た。グッズの雪崩だ!と上鳴や峰田から降り注ぎ、飯田が注意したが、その声もうるさいと耳郎が突っ込む。
「撃たれたって大丈夫かよ緑谷、これ……流石に自作できないから良さげなケーキ買ってきたぞ」
「名誉の負傷……よくぞ生きて帰ってくれた同胞よ」
「あははは、どうもありがとう」
砂藤は流石にここでは自作スイーツは作れなかったからと、良さげな店から見舞いのスイーツが渡されて、本当に心配したと常闇は泣きそうになっていた。
「本当は皆と一緒に行きたかったけど、それはできなかったから残念だよ」
「明日には退院だろ?I・エキスポも明日に改めてオープンらしいから一緒に行こうぜ緑谷!」
「そーそー!うちらまだ滞在するし!」
「俺らはまたアルバイトだなぁ……」
「しかたねぇよ、俺らで選んだ事だしよ」
瀬呂や芦戸も退院したら改めてオープンするI・エキスポを回ろうと提案してきた。本当に、変わらない日常がここに送られて来たみたいで、出久は騒がしい病室の中で微笑みを浮かべる。峰田や上鳴はまたアルバイトが始まるんだなと肩を落とす中ーー蛙吹が尋ねた。
「ところで緑谷ちゃん……メリッサさんとは婚約者って、あれ本当なのかしら?」
蛙吹梅雨……彼女は気になる事はずばっと聞く女の子である。このことを知るのはプレオープン組だけだが、この場でそれを聞くか蛙吹さんと、緑谷は流石に苦笑いした。
「えーー!?あの綺麗な人が!緑谷くんの婚約者ぁ!?」
そんな話を聞いたら女子陣はやはり黙ってはいられない、葉隠が身振り手振りで詳しく話を聞きたいと驚き声を上げた。
「何それ!?緑谷、詳しく話を聞かせて貰っていいかな!」
芦戸もマジかとベッドに体を乗り出して尋ねて来た。
「緑谷くん、お幸せにね!式場の装飾やライトアップは僕に任せておくれ!」
青山くん、まだ決まってないから、気が早すぎるとやいのやいのと騒がしいお見舞いの時間は過ぎて行った。