【原作完結】僕の脊髄ぶっこ抜きアカデミア【オリジナルストーリー開始】 作:ぶっこ抜きデク
窓辺から見えるI・アイランドの光は、まだ仕事に明け暮れているのか、それともこの夜でも遊ぶ場所があるのか、輝きを失わない。
明日には退院して、帰国までは色々と見て回れる。それが終わったらいよいよ夏休み……林間合宿かと出久は過密スケジュールを思い出した。
さっさと寝てしまうかと、病室の電気を消そうとした出久だったが、こんな夜更けにノックが鳴り響く。
検査がまだあったか?出久はそのノックに応えた。
「どうぞ」
ドアがスライドする、そこには……メリッサが居た。
「メリッサさ……」
「呼び捨て忘れた?」
「あ、はい、メリッサ……」
「よろしい、お見舞いに来たの……いい?」
むっとしたメリッサは、呼び捨てされてにっこり笑って、入っていいかと問われて、断るわけもなくそのまま中に入れた。
カシュン
「え?」
中に入れた瞬間、メリッサは中からドアの鍵を後ろ手に閉じた。頬を赤くして、振り返った出久にメリッサはそのまま身体を寄せていく。
危機感は感じた、多分今、檻の中に閉じ込められたなぁと。かと言って抗える意思を出久は持ち得なかった。
緑谷出久は、好意を向けられると優柔不断で、甘えがちになる傾向がある。それは昔、親以外からの愛情も、女性からの恋慕も向けられなかった為、それに対してガードや断りの術を経験してなかったから。
だから……そのままメリッサに抱きしめられたら、その分抱きしめ返して彼女の温かみに溺れてしまうのであった。メリッサは出久をそのままベッドに押し倒し、身体を預け囁いた。
「イズク……ここに来ない?ここで、ヒーローにならない?」
昼間、父からも言われた。I・アイランドのヒーロースクールへの転校。両親と共に暮らして、そして親同士の口から始まった婚約者である彼女の近くに住んで、ヒーローを目指す……悪い事は無い、友達と別れる事になってしまうけど。
「親同士が決めた戯言だけどね、たった一日だけどね……私、イズクが好きになった……吊り橋効果もそこにはあるけど、今もイズクの事考えてる」
なんともストレートな告白に、イズクは体に熱が灯った。自分を、好いてくれる女性がこの世に居たんだなと……諦めすら感じていた事態に心臓が跳ね上がる。
「イズク……大好き、私の恋人になって?本当のフィアンセにして……ヒーローになったら私と結婚して?私に貴方の子を産ませて……一緒のお墓に入って?」
そこまで言わせるくらい彼女は、自分を好いてくれるのか……身体を持ち上げ見下ろすメリッサの潤んだ瞳に、イズクは身体を起こして……言った。
「メリッサ……ありがとう、けどごめん……まだこんな子どもな僕じゃあ、メリッサの想いを受け止められない」
そのあまりに強い愛を、子どもの自分では受け止められないと出久は待ったをかけた。
「僕……よく分かってないんだ、親からしか愛を貰えなくて、今の雄英のクラスメイトと仲良くできたのが初めてで、女性にここまで言われるのも初めてだから……こんなまだ、何も知らないのに受け止めて責任を取れなくなって、メリッサを悲しませるのは、ダメと思う……」
愛に依存しかける出久……しかし、根底には昔から考えている事もあった。個性差別故に『自分と付き合う女性が、同じ被害にあうのでは?』と。そして『愛情への応え方』を知らないと。
「だから、応えれないから、その……ごめん」
応えれる程、僕の情緒も心も育ってないから、だから断らせてほしいと出久は謝った。泣かれてどうしてとか、色々言われる覚悟をした出久だったが、メリッサは抱きしめる力を強めた。
「いいよ、たとえ出久が他の子を好きになっても、誰と愛を確かめても、最後に私の隣に居てくれたらそれで……」
そこまで……と出久はメリッサを抱きしめ返して、それから……どれくらいか知らないが、二人は抱きしめあった。兎も角出久は、メリッサの気が済むまで身体を寄せ合って、満足した彼女が病室を開けて出ていくまで、二人きりで居たのは確かであった。