【原作完結】僕の脊髄ぶっこ抜きアカデミア【オリジナルストーリー開始】 作:ぶっこ抜きデク
その日……二人のヴィランが、死の淵に立たされていた。
一人は外見は老紳士の男、名前はジェントル・クリミナル……現代の義賊を自称する動画投稿者。なお白髪は自前であり、立派な髭も自前だが……まだ30代の男盛り。
そしてもう一人、少女の名前はラブ・ラバ。彼の動画編集や、PC関係でのサポートを買って出たジェントルのファンガール。ただし、その幼女じみた低身長な見た目に反して年齢は21歳と若き女性であった。
二人は……ある喫茶店の席に座らされ、冷や汗をかいて震えながら、対面に座す雄英高校の学生を前にして……恐怖によって釘付けにされていた。
「どうぞぉ、ブレックファーストセットとティーセットですぅ」
「ありがとうございます」
店主である老人がブレックファーストセットとして、ティーポットとティーカップが三つ、そして料理が乗った皿を少年の前に置いた。皿は二つ、トーストが乗った皿と、もう一つにはソーセージにスクランブルエッグ、ベークドビーンズにマッシュルームにトマトのソテー……所謂イングリッシュブレックファーストというやつである。
ティーカップに、少年が紅茶を注いでいく、最後の一雫まで注いで、それを二人の前に差し出した。彼もまた、一息吐いてティーカップを口元へ運び、芳香を楽しみながら……二人に言う。
「で?弁明はある?」
細目から放たれる、ツンドラ並みの冷ややかな眼差しと、あまりに恐ろしい殺意を孕んだその一言が、二人の心臓を鷲掴みして実感させられる。
『言葉を間違えたら、殺される』と。
「えっと……」
「あ、あの……」
「は?」
「「すいませんでしたぁ!!」」
二人して、命乞いを込めた謝罪を行なった、死にたくない一心で。二人のヴィランの命は今……対面に座す緑髪の雄英高校生徒、緑谷出久が握っていた。
どうして、こんな事になったのかと言うとーー少々時間は遡る。
「えー……文化祭があります」
「「「がっぽぉおおおい!!」」」
学校っぽいの来た、A組の掛け声である。
この雄英高校にも、体育祭に並んで文化祭がある。そして体育祭が『ヒーロー科の祭典』なら文化祭は『ヒーロー科以外の祭典』となろう。
このヴィラン隆盛の時期に気楽ではとなるが、じゃあやらないというわけにはいかない。その為、一部の関係者と学内でという規模縮小で文化祭が行われる事になった。
その原因はやはり……このクラスだろう。USJヴィラン襲撃に林間合宿襲撃による全寮制導入……ヒーロー科以外からの不満は募っている。
さて、そうして1ーAも決まりとして出し物を出す事となったわけだが……ヒーローを目指す雄英の選ばれた生徒だろうが高校生、やはりこのイベントは主役で無かろうと興奮するわけで。
「ここからはA組委員長!飯田天哉が進行を務めさせてもらう!!やりたい事がある者は挙手を!!」
はい!はいはいはいはい!!皆あれしたいこれしたいと意見を出す為に手を上げ始めた。
「では上鳴くん!」
「メイド喫茶にしようぜ!!」
上鳴がトップバッターに提案したのは、メイド喫茶!女子たちがメイド服を着てお出迎え!願望ダダ漏れかつ、チャラい上鳴にしては意外な意見が飛び出て来た。
「メイド……奉仕か!悪くない!!」
飯田も真面目に受け止める中、ふと緑谷は手を上げた。
「む!なんだね緑谷くん!」
「あの、メイド喫茶って、男子はどうするのかな……もしかして、着るの?僕らも?」
その発言、質問に上鳴がえ!?と驚いた。そして上鳴の妄想した、A組女子メイド姿が侵食され……。
『おかえりなさいませぇ!お嬢様ぁ!!』
『ちっ!さっさと席につきやがりくださいクソ主人よぉ!』
『本日のメニューはシュガーウーマンのギガトンパフェです!』
『燃え燃え鬼油ん!』
肉体派A組男子のメイド姿を妄想してしまった。
「い、いや緑谷?男子は執事姿で……」
そこは逆の執事を着るんだよと上鳴が、この流れまずいぞと諭す中、耳郎がニヤニヤ笑って緑谷の発言をフォローした。
「へぇ、いいじゃん!男女逆転コスプレ喫茶!」
「男はメイド、女は執事かぁ……」
「ケロ……面白そうね」
葉隠に蛙吹まで面白そうだと、上鳴の提案メイド喫茶が、男女逆転コスプレ喫茶になってしまった。迂闊な発言をしてしまった緑谷は、諦めたように前の席の爆豪の肩を叩いて言った。
「仕方ない、かっちゃん……着ようか、メイド服」
「着るわきゃねぇだろ!まだ決まっとらんわぁ!!」
「まだ意見が出揃ってないからな!どんどん案をだしてくれ!」
あくまでまだ案を出しただけだ!飯田に諭された緑谷は安心して手を下ろした。
「ぬるいわ上鳴!」
次に手を挙げたのは峰田、血走った目で勢いよく立ち上がる!
「峰田くん!」
「学内ソーp」
A組の教室で鳴る冷たい駆動音、それは『全自動ミンチマシーン(八百万作)』の音だった。蛙吹は足首を拘束した峰田を釣り上げる綱を持ちながら、緑谷に尋ねた。
「離していいかしら」
「ご自由に」
「ごめんなさい!すいません!!ライン超えましたぁ!!」
「峰田くんいい加減捕まるか除籍だよ、今のは……A組の出し物を人肉ハンバーグ屋にしたいの峰田くんはさぁ?ここを仮面ライダーアマゾンズにしたいの?」
擁護できねぇぞ今の案はと、ライン超えした峰田に緑谷は冷たい怒りを込めた言葉で諭した。