【原作完結】僕の脊髄ぶっこ抜きアカデミア【オリジナルストーリー開始】 作:ぶっこ抜きデク
文化祭の出し物会議延長戦に出れなかった緑谷は……後日さらに諸用で病院に来ていた。その隣には、インターンで世話になった通形ミリオが、リボンをあしらえた果物の籠を携えていた。
「ミリオ先輩……僕も本当に行って大丈夫なんですかね?」
自分も来ていいのか心配している緑谷に、ミリオは笑って何をいうかと肩を叩いた。
「会いたいってあの子が言ってるんだからさ、自信持てよ出久!」
「は、はい」
「受付済ませたから行くぞ二人とも」
相澤先生も引率できており、二人を案内して、入院病棟へ3人は向かった。エレベーターで上がり、聞いた個人病室へと向かう。既に、検診と経過観察も兼ねてか医者と看護師が病室の前に立っていた。
医者と看護師が頷き、ドアから離れた。入っていいという事だろう、緑谷は病室のドアを開けた。
「あ……」
そこに居た、緑谷が……いや、イズクが、ルミリオンが助けた女の子。
「エリちゃん……」
死穢八斎會事件の被害者、壊理。彼女と事件以来二人は対面したのだった。
「会いに来れなくて、ごめんね?」
「フルーツの盛り合わせ、よかったら食べて?」
ミリオがエリに優しくフルーツ籠を渡した。
「好きなフルーツある?当ててあげよっか、桃でしょ?ピーチっぽいもんね!」
根拠なく、笑いながら好きなフルーツを当てに行くミリオに、カゴを手にしたエリはしばらく黙ってフルーツを見ながら呟いた。
「……りんご」
「だと思ったよねー!じゃありんご剥こう!」
違った、しかし僕もそう思ったんだと即座に笑顔で切り返して早速りんごを剥こうと提案した。通形先輩は凄い、底抜けの明るさが無いとこうも失敗を切り返すのは中々キツイ。自分にはできない事だと緑谷は思いながら、ならばせめてとやれる事をと籠からりんごを取り、エリに見せた。
「僕が剥きますよ、うさぎ……がいいかな?エリちゃん?」
「……白鳥」
「白鳥!?」
無茶振りされた!?というか食べ辛くないかそれ!もしかしてエリちゃんめちゃくちゃ元気だったりする!?しかしヒーローイズク、言われたからにはやってやると果物ナイフを取りだした。
「頑張れイズク!エリちゃんが見てるぞ!!」
「任せてください……刃物の扱いは慣れてはいますから!」
ミリオからの応援も受けた緑谷は……見事りんごで白鳥を作り上げたのだった。
代わりに左手に絆創膏を7〜8枚医者に都合してもらった。
その二人を病室の入り口で待つ相澤先生は、昨晩緑谷と補習で交わした話を思い出した。
『エリちゃんが、緑谷ちゃんに会いたがってる?』
『ああ、厳密に言ったら緑谷と通形、二人に会いたいと、要望を口にしたのは入院生活が始まって以来初めての事だ』
補習授業の終わりの間際、相澤先生が話した事に、常闇以外の死穢八斎會事件に立ち会っていた四人は、エリちゃんの近況と要望を聞いた。
直接彼女を助けたのは通形ミリオと緑谷出久、その二人にまた会いたいのだと彼女は言ったらしい。
しかし……緑谷の顔は浮かない表情だった。
『あまり、会いたくなさそうだな、緑谷……』
『彼女には、助けたとはいえ……手を振り払ったし、色々と醜い姿を晒したので……ミリオ先輩だけの方が』
緑谷も、会いたいと言われて嬉しくは思ったが、自分に資格があるのかと気にしていた。助けたのは助けたが、その時見せた醜い……変身した姿を見た彼女は、会って色々思い出すのではと。
『それを見ても、お前に会いたいからエリちゃんは名前を口にしたと思う……会いに行ってやれ、俺も引率で行く』
『けど……』
二の足を踏む緑谷に、切島が大丈夫だと背中を押すように言った。
『会いに行ってやれよ緑谷、呼ばれるって事はそれだけ会いたいんだろうぜ?』
『大丈夫、怖がらんよエリちゃんは……顔、見せてあげよ?』
麗日からも、会うべきだと諭された緑谷は、ミリオと共に彼女と久々の面会に至ったのであった。