【原作完結】僕の脊髄ぶっこ抜きアカデミア【オリジナルストーリー開始】 作:ぶっこ抜きデク
白鳥に切ったリンゴをもそもそ少しずつ食べるエリを、ミリオと出久はながめた。絆創膏の甲斐があったか、食欲はあるのか、完食してけぷっと可愛らしい吐息を彼女はして、二人に向き直る。
「ごめんなさい……私のせいで、二人に、いろんな人に怪我をさせて」
謝罪が出てきた……それを聞いた二人は何とも胸が痛んだ。相澤先生から伝えられていた話の通りだ、治崎の洗脳で彼女はあらゆる事に自責を募らせてしまう。
年端も行かない女の子が……『助けてくれてありがとう』より『迷惑かけてごめんなさい』が先に出る目の前の惨状に、今や肉塊となってタルタロスにて永劫の苦しみを味わっている治崎へ、緑谷は怒りがまた込み上げてきた。
もっと苦しませるべきだった……とは流石に口にせず、そして何言えばいいのかと彼女に掛ける言葉も見つからないと、押し黙る中……ルミリオンは優しく笑ってエリの頭を撫でた。
「謝る必要ないよエリちゃん、こんな時はね助けてくれてありがとう、でいいんだよ?笑いながらね?」
助けてくれたら、ありがとうだとミリオの言葉に……エリは口元を動かす。そして、自らのほっぺたをつねり上げた。
「ふい、ういい……」
ほっぺたを弄って、引き上げて、そんな事をしばらくして彼女はしゅんとなって俯いた。
「ごめんなさい、笑顔ってどうやればいいのか……」
「えりちゃん……」
嗚呼、本当に……治崎はなんて事をし腐りやがったのかと緑谷はズボンを握りしめた。こんな女の子の笑顔を、あいつは奪って傷つけて、あんな弾丸まで作り上げた。やっぱり殺しとくべきだったかなと腹の底から色々込み上げる中、ふと気付かされる。
自分も、そうだなと。
仮免の時に言われた『笑顔を頑張れ』と。この子は……抗えなかった自分だと重ね合わせた。だから、緑谷は今できる精一杯の笑顔を作り、エリに語った。
「無理、しなくていいんだよエリちゃん」
「無理を?」
「うん、ゆっくりでいい……これからさ、いっぱい楽しい事をして、美味しいもの食べて、お友達とか作ってさ?そうしたら自然と、いつの間にか笑顔はできるよ」
自分だってそうだった、雄英に来るまで笑えなかった。いや、笑えた時は精々ヴィランへ見せる狂笑で、楽しい笑顔ができたのはつい最近だ。
だからゆっくりでいい、この子はまだまだ時間がある、取り返せるから焦る必要は無いと緑谷なりに元気つけた。
「楽しい事……あるのかな、これから……」
潤んだ目で、将来の展望が見えず泣きそうになるエリ。その時……緑谷は思いついて、入り口に立つ相澤先生の方に向いた。
「あの……文化祭って関係者だけですよね?」
「ああ……今回は外部からの招待や客は入れないのが原則だ」
「エリちゃんを……文化祭に招待とかできませんか?」
緑谷の提案に、相澤の瞼が少し開いて成る程と呟いた。
「イズク!それは名案だね!!」
そしてミリオも、頭に電球が浮かんで明かりが灯り、そして弾け飛んだ。
「ミリオ先輩!閃きマークの電球が弾けてガラス片が!」
「あっ!いけない!ほうきほうき!!」
「文化祭?」
ガラス片を二人で片付ける中で、エリは何やら話が進んでいる事と、彼らが言った文化祭という単語は何を意味するのかと尋ねた。
「文化祭はね、俺たちの学校で行われるお祭りさ!学校中の人が学校中の人に楽しんでもらうために出し物や食べ物を出したり……」
ミリオの説明に頷くエリ、そして祭りといえばとミリオはハッと思いつく!
「あ!りんご!りんご飴とか出るかも!りんごをあろう事か、さらに甘くしちゃったスイーツさ!」
「りんご飴……!」
エリちゃんの口から、涎が垂れた。もうりんご飴を楽しむ気満々である。
「分かった……俺からも校長にかけあってみる」
ここまで食いつくなら最善を尽くしたいなと、相澤先生もスマホを取り出した。
「なら俺たちも、校長に働きかけよう!イズク!」
「勿論、手伝いますよミリオ先輩!」
こうして、エリちゃん文化祭招致の為に、ルミリオンとイズクは再びチームアップを決めたのであった。