【原作完結】僕の脊髄ぶっこ抜きアカデミア【オリジナルストーリー開始】 作:ぶっこ抜きデク
雄英体育祭まで二週間前ーー下校時間の事。
「何ごとだぁ‼︎⁉︎」
麗日お茶子は教室の出入り口を阻む群衆の多さに、普段口から出ないような言い方で驚いた。
「出れねーじゃん!何しに来たんだよ」
帰ろうとした峰田はどいて欲しいと困っていた、何故こんなに人が集まっているのかと。
「敵情視察だろザコ、敵の襲撃を耐え抜いた連中だもんな、体育祭前に見ときてぇもんな」
そんな理由も分からんのかと、同じく帰ろうとしていた爆豪が峰田に、群衆に吐き捨てる。
「意味ねェからどけ、モブ共」
「知らない人の事とりあえずモブって言うのはやめなよ‼︎」
失礼すぎるだろと注意をする飯田、そして雑魚と呼ばれ、この口ぶり何よと峰田は、震えながら爆豪へ指差しつつ近くにいた緑谷に顔を向けた。
緑谷はよしよしと峰田の頭を撫でたが即座に離れられしゅんと落ち込み、轟はその肩を優しく叩いてあげた。
「どんなもんかと見に来たが……ずいぶん偉そうだなぁ?」
群衆の中から声が上がる、声を上げたらしい1人が掻き分けて、爆豪の前に現れた。紫の髪で気怠げに眠たそうな少年であった。
「ヒーロー科に在籍する奴は皆こんななのかい?こういうの見ちゃうと……ちょっと幻滅するなぁ……」
「ああ!?」
明らかな挑発を孕んだ問いかけに爆豪が凄む、しかし恐れも、怯えもせず紫髪の少年は真っ直ぐ爆轟から視線を外さなかった。
「普通科とか他の科ってヒーロー科落ちたから入った奴、けっこういるんだ……知ってた?」
それは知っている。聞いていた緑谷は、ヒーロー科一本で願書を出したが、そんなふうにこの雄英に入った者達を知っていた。
「体育祭のリザルトによっちゃヒーロー科編入も検討してくれるんだって、その逆もまたしかりらしいよ……」
つまりは、胡座描いて満足してるやつより見込みがあればその席を奪えるのだ、さながら蠱毒だなと緑谷はこの状態を例える言葉が浮かぶ。
「敵情視察?少なくとも俺は……調子乗ってっと足元ごっそり掬っちゃうぞっつー、宣戦布告しに来たつもり」
ぞくりと、緑谷の体が震えた……そしてゆっくり爆豪の横に立ち、肩に手を回した。
「いいなぁ、宣戦布告だよかっちゃん……楽しくなって来たじゃない」
「離せやクソヴィラン」
突如現れた乱入者……その姿を見て、誰かが言った。
「み…緑谷出久か!?一年最凶!ヴィラン殺しの緑谷!!」
その声を上げた瞬間……群衆が数歩入り口から下がったーー紫髪1人を除いて。それを見て爆豪が舌打ちをして、肩を組む緑谷の腕を外した。
「ハナからテメェらモブなんざ眼中に無ぇんだよ、俺が一番になる、このクソヴィランをボコにしてなぁ」
紫髪に、下がった一年をモブと言い切り、ついでに緑谷へ宣戦布告する爆豪に、緑谷は屈託ない笑顔で言う。
「うん!楽しみにしてる!僕も頑張るからさ」
本心である、それだからこそ爆豪は舌打ちしたが……。
「緑谷出久……聞いてるよ、ヴィラン襲撃の一番の活躍者……キミの個性も」
紫髪の少年は、緑谷を睨みつけていた。それも緑谷は真正面から受け止める。
「お前みたいな奴が……お前みたいな個性が……何で受かってヒーロー科にーー」
「やめとけや、テメェ……死にてぇのか?」
それを言ったらお終いだぞと、爆豪が遮れば、既に右手を紫髪に緑谷は伸ばしかけて……引っ込めた。教室の中のクラスメイト達も、この数秒間は肝を冷やした。
緑谷の個性を知っている者は、未だに少ない……主に挙げるならば、1-A全員、雄英教師陣くらいだろう。後は、余程勉強好きで、興味があり調べて辿り着いた、とかならばあり得る話だ。
「気に入らないならかかっておいで、かっちゃんはいつもそうしてるからさ?体育祭でね……心操人使くん?」
「ーーー!?」
冷たい、ヒーローとは程遠い冷酷な眼差しに、紫髪の少年……心操人使の名前を呼んだ。
「んだてめぇ、名前知ってたのかぁ?」
「この前やっと、一年の全員の個性を覚えたんだ」
「ヒーローナードの頭脳派クソヴィランがぁ……」
2人がそうして、開いた道を並んで帰りだしたーー皆はそれを呼び止め虚勢を張る事もできず、見送るしか無かった。
「って!?何ついてきてんだぁ!クソヴィラン!!」
「えーー!一緒に帰る流れだったじゃない、かっちゃん!帰りにマック寄ろうよ!」
「テメェとなんざまっぴらごめんだクソがぁ!!」