【原作完結】僕の脊髄ぶっこ抜きアカデミア【オリジナルストーリー開始】 作:ぶっこ抜きデク
ここのイングリッシュブレックファーストは、トーストは焼いておらず何と揚げていた。
故に、噛みつけばザクザクとした音が何とも食欲を掻き立てる、朝からここまで重たいのが食べれるのが若人の特権やもしれないと、本日2回目のゴールドティップスインペリアルが注がれたティーカップを前にして、ジェントルは眼前の緑谷には目を合わせれずに居た。
ラブラバも同じである、最後の一雫が入ったティーカップを、知ってか知らずか渡して来たのは、人生最後の1杯を味わえという意味合いなのかと、震えながらティーカップを見つめていた。
対する緑谷、揚げられたトーストの一枚を食べ終え紅茶で油を流し落とす様に飲み、二人を見つめている。
「どうした、飲みなよ?」
「あ、はい……」
「いただきます」
俺の淹れた紅茶をまさか飲まない訳ねぇよなぁ?そう言っている風にしか聞こえない、二人してこぼさぬ様にと一口を飲み、カップを置いた。
「それで……何しようとしてたのか聞いていいかな?」
何故ここで、あんな変装してふらついていた?動画で社会全体に警鐘を鳴らすと吐かしていた程の事をやらかそうとしていたなら、只事じゃなかろうと尋問は始まった。
「ええっと……下見というか、まだ何もしてないというか」
ジェントルが、まるでまだ言い逃れて騙せるかの様な口ぶりだったので、緑谷は真顔でメニューブックを取り出して、語り出した。
「ここってさ、ハンバーグも美味しいんだ、数量限定の特別な肉を使うんだけど……」
「え?」
この子は、何を言い出しているのだろうか?そんなメニューは無かった様な気がする、裏メニューなのかと呑気に相槌をしたジェントルに緑谷は冷たい眼差しでさらに語る。
「その特別な肉ってさ……人肉なんだって……ここで僕があんたらの脊髄ぶっこ抜いて、店主に売り渡して作ってもらおうかな?」
「ひ!?」
「あ、あははは、冗談はやめなよ少年?」
ラブラバが小さく悲鳴をあげる、それはいくら何でも冗談をとジェントルが語る中、緑谷は耳に手を当てて、老店主が居るだろう厨房への入り口を目で示した。
自分達以外、誰もいない、音楽は流れていたがジェントルは聞いてしまった。しゅらん、しゅらん、という金属の音……ジェントルは歯を震えさせ、ラブラバは目が潤みはじめ泣きそうだ。
「言葉を……間違えるなよ?ジェントル・クリミナル……何をしていた?何を……する気だった?」
本気だ、本気で自分達を殺して禁忌の人肉料理の材料にする気だと眼差しでジェントルは理解した。次はない、間違えるな、今お前は間違えたのだとその瞳が語っていた。
「ゆ、雄英に……侵入しようと……」
「何故?」
「このヴィラン隆盛の時期に、文化祭を強行する呑気な雄英に侵入して、警鐘を鳴らそうと……」
それを聞いた緑谷は……一口また紅茶を飲んでからトマトのソテーを一切れフォークで刺して口に運んだ。もし、入られてたら警報が鳴って文化祭は中止だった、幸運だったやもしれないと緑谷はこの奇妙な会合に驚いた。
「今日の雄英文化祭……身内だけの祭りなんだけどさ、警報鳴ったら誤報だろうが即終了なのは知ってたの?」
「それは……知らなかった……」
この事実が漏れて、それを狙って来たかと思ったがそうではないらしい。これは嘘をついていると見えなかった緑谷は、警鐘を鳴らす……動画のネタにしか考えてなかった程度と理解した。
入って何かするで無し『雄英に侵入した』それだけでジェントルからすればネタになるし大金星となるわけだ。そして……企てる以上それが可能なのだろうと、緑谷の視線がラブラバに向いた。
「はっきり言うけど、雄英の警備は今年のいざこざで厳重と思ってる、それも掻い潜れるくらいの用意をしていると見た……何かあるだろ、ラブラバさん?」
「……」
「見せろ、仕事道具」
「は、はいぃい!!」
ラブラバが殺気に怯えてノートパソコンを慌てて取り出した。自ら開いて、電源を入れて画面を立ち上げる。見てもわかる訳があるまいと、ラブラバが差し出すや、緑谷はキーボードをスタスタ打ち込みノートパソコンの内部データを探し出した。
「……セキュリティ解除のプログラムか?成る程、雄英のデータネットワークに外部から侵入してセキュリティを無効化する気だったか……うっわ、凄いなこれ、個人で組めるのかこんなの……」
「あ、貴方分かるの?」
「多少は……」
ラブラバからすれば、自身のプログラムを一発で理解した事に舌を巻くしかなかった。緑谷はノートパソコンを閉じて、それをラブラバに返却した。
それから、スクランブルエッグをトーストに乗せて食べ切り、ふうと一息吐いて、二人に言った。
「ほんっとに……くだらない事しようとしてくれたね、なぁ?たかが動画のネタでここまでする?もっとマシな事に使えばまともに生活できるじゃないか」
弾性の個性、さらにはプログラミングの才能……これでやっているのが迷惑動画の投稿とはくだらない事をとこき下ろした。
「それは……キミの様に人生の成功を約束された者の言葉だろうに!」
これにはジェントルも、怯えを飛び越え怒りが湧き出て来た、こちらがどうしてこんな事を始めたのか知らない癖にと吐こうとした瞬間ーー緑谷の右手がジェントルとラブラバの頸部を鷲掴みにした。
「がぁあ!?」
「ぐぎゅぅ!?」
「いつ、反論を許した?ねぇ僕は喋れって言ったかな?あんたらの過去に何かあってヴィランになりましたなんて知ったこっちゃないんだよ」
ギリギリと、指が皮膚に沈み込む、呼吸を阻害されてひたすら二人はその手から逃げようとしたが敵わず、ただ空気を求めて必死に緑谷の手を離そうともがく。
「今のあんた達は、犯罪を犯そうとしたヴィランでしかないんだよ、僕の言ってる事分かるかな?なぁ……なぁ!?」
二人していよいよ失神間際にまでなった所で、緑谷は二人の頸部から手を離した。咳き込む二人を見下ろし、緑谷は舌打ちをしてから紅茶を飲み干しつつ……足を組み替えながら二人に言った。
「まぁでも、警察が来るまでの暇つぶしだ……聞かせなよ、ジェントル・クリミナルとラブラバが何故、ヴィランになったのか……」