【原作完結】僕の脊髄ぶっこ抜きアカデミア【オリジナルストーリー開始】 作:ぶっこ抜きデク
雄英体育祭までの二週間……緑谷出久は考えていた……。
「プルスウルトラ……か……」
ラテン語で『更なる前進』を意味するその言葉は、雄英高校の標語である。担任の相澤先生から、緑谷には特に課題のように言われた言葉だ。
緑谷出久の個性は『脊髄ぶっこ抜き』その凶悪な、ヴィランとしか思えぬ能力は、相手の頭や首を掴めば即死に至る最強最悪の個性だ。敵を無条件に殺しきるにはこれ程凶悪な物は無い。
ただ、それだけ。その個性は決して人を救えない、何よりヒーローはまず、敵であれ不殺が条件とされている。蘇生ができようとも、一度殺しては意味ないのだ。
この能力を……さらにその先へ進めたらどうなるのかと考えた事もある。出久には、その恐怖心があった。もしも、もしもこの個性がさらに進んだ先にあるのが、更なる凶悪な力だった時……それを有した自分を皆はどう見るのかと。
ヴィラン襲撃事件で暴露と共に、皆の目の前で尽くを打ち倒し血の海を作ってしまった。それでも受け入れてくれた……けど、次はもう無いかもしれないと、ベッドで寝返りを打ち溜息を吐いた。
開かれた手は、世界を切り開く……そうして昔のヒーローは神様にじゃんけんで勝って世界を取り戻したのに、自分の手は開いても、拳を握っても、命を奪うしかできないなと自嘲する。
「本当限定的すぎるな、改めて考えても……」
どうして『脊髄』限定なのだろうか、それならもう、物体を引っ張る、引き抜くの方が応用が効くじゃないかと、無いものねだりをしそうになる。せめて体育祭で道具の持ち込みありならばと、いつものヒーロースーツの横に吊り下げた愛用の武器、錘付き鎖(本当は苦無だけど、銃刀法違反だから今は付け替えている)を見て思った。許されているのは個性を補助する為か、サポート科だけ自作品に限りOKなのだ。
「あー……喉乾いた」
勉強机に置いた、飲みかけの炭酸飲料が目に入る……それに寝ながら手を伸ばしてーー。
「げっおーばーひあー……」
憧れのヒーローの、必殺技の台詞をやる気なく言い放つ。外でこう叫びながら、重りを投げて巻きついたものを手繰り寄せる練習もしたっけと、億劫だからと引き寄せれるわけもないのにと思いながらまた寝返りを打つとーー。
バシャッ……と水の音がした、思わず出久は起き上がり振り返った。炭酸飲料のペットボトルが……端から離れて机の中心あたりにあった筈のペットボトルが……落ちていた。
雄英体育祭が、すぐそこに迫る中……緑谷出久は更なる一歩を踏み出そうとしていた。