【原作完結】僕の脊髄ぶっこ抜きアカデミア【オリジナルストーリー開始】 作:ぶっこ抜きデク
『キミには約束をしてもらう、このオールマイトとの約束だ!破った場合は……キミのヒーローへの道を閉ざして……私も死ぬ!!』
懐かしい台詞が頭の中によぎった。緑谷は喫茶店の方に一度顔を向け、そして手を見た。
数年前に、オールマイトはこんな自分にも手を差し伸べてくれた、そして約束を破れば自害するとまで言ってのけた。自分は約束を全うしてみせた(オールマイトからの期間短縮もあったが)
だから緑谷は思ったのだ、今度は自分が、同じ様にするべきだと。
ヒーローは、ヴィランを倒すだけじゃあない。事故や災害から人を助け、悲鳴にいち早く駆けつける。そして……時には敵すらもその手を、拳を解いて手を差し伸べて引っ張って助けるのが、ヒーローなのだと。
オールマイトが自分を信じた様に、緑谷出久はジェントル・クリミナルにまだ残る『善性』を信じたくなった。
たったそれだけ、しかし数奇な縁だったから、まるで悪に堕ちた自分が現れたと感じたから、緑谷は最初こそ叩きのめして引き渡そうと考えはあったものの、拳を握るのをやめて、手を差し伸べる事に決めた。
もしも……これでジェントルが雄英に入って来たその時はと、ポケットのヒーロー活動仮免許を取り出して眺め、緑谷出久はそれをしまって雄英高校に戻った。
ーー9:17ーー
「随分遅かったじゃないか緑谷くん、何かあったのかい?」
「いやぁ……結構混んでた、ごめん」
体育館γステージ、緑谷は少し遅れたのを青山に咎められた。皆、いよいよ出番が迫るなか、一曲目の為のダンサー衣装へ緑谷は身を包み、姿見で異常はないかと確認、そして良しと頷いた。大元は八百万の個性で生み出したのを手直ししただけだが、出来栄えは自画自賛したくなるなと誇らしくなった。
「緊張いたしますわ……大丈夫でしょうか……」
「お客さんめっちゃ来てはる……」
ステージ袖から、もう集まり出したと観客の数に圧倒される麗日、本番も近づき緊張がピークに達する八百万……。
いよいよ本番が来た、もうあとはやり切るだけ、やり切ろうと足首や手首を回す。
「なぁ、なぁ!せっかくだからよ!円陣組もうぜ円陣!」
出番が近づく中、上鳴が待機していた全員にそう提案した。こんな一丸になっての行事だからこそ、円陣やってチームワークを更に高めようと言う。
「お!いいね!やろやろ!皆あつまろー!」
「おお!いいなやろうぜ!!演出組も!!」
それに芦戸が賛同して、切島もそうだやろうと一人一人が集まりだした。緑谷も集まった所で……爆豪だけが勝手にやれと外れている。
「ほら、かっちゃんもやろうよ」
「ああ?テメェらで勝手にやっとれや」
「まーったく!こんな時くらい合わせろよ!爆豪!」
「くーき読めよ爆豪!」
緑谷が促すも突っぱねた爆豪は、切島と上鳴により無理やり引っ張られ円陣に入らされた。そしてーー。
「あれ?号令誰がかけるの?」
号令、誰がするんだ?葉隠がそう尋ねた。
「言い出しっぺの法則なら……上鳴?」
「うぇええ俺ぇ!?何も思いつかねぇよ!」
「んだよー締まらねぇなぁ!」
耳郎に言い出しっぺがやるならと提案されたが、上鳴は何も思いつかねえよと驚き、峰田が文句を垂れる。そして上鳴の視線が……緑谷に向いた。
「こ、ここはほら!統括現場監督のA組総大将、緑谷がやってくれよ!!」
「え!?」
上鳴、まさかの押しつけ!
「成る程名案だ!じゃあ緑谷くん!音頭を一つ!」
「いよっ、待ってました総大将!」
「緑谷、やってくれ」
飯田が名案だと反論を許さない即決の賛同をして、切島と障子も頼むと煽る。A組の視線が緑谷に集まる中、緑谷は片足を出して前屈みの体育会系部活にありがちな体勢になれば、皆が続いた。
「一ヵ月と少し、皆で練習して……色々あったけど楽しかった……大変だった、そして今日……本番を迎える……観客の中には、好意を向ける人だけじゃないと思う」
緑谷の演説が始まる、この準備すらも思い出となり楽しかったと、今日も楽しめたらと願う、しかしそれだけではない事実もあると、観客の中にはA組に否定的な奴らも居ると緑谷は語った。
「値踏みに来た奴、ブーイングしに来た奴、嘲りに来た奴……それら全部ひっくるめて雄英全員……」
緑谷は、爆豪の方を見てその眼差しに気付いた爆豪はニヤリと笑った。今回だけは、気持ちは同じだと緑谷はその先を言った。
「雄英全員、音で殺す!!」
宣言した後、緑谷は息を思い切り吸って、叫んだ。
「ぶっっっ殺す!!」
その宣言に、A組は続いて叫んだ。
「「「「「YEAHAAAAAAAA!!!」」」」」
幕は、上がった。