【原作完結】僕の脊髄ぶっこ抜きアカデミア【オリジナルストーリー開始】 作:ぶっこ抜きデク
シャウト共に始まり、ギターを掻き鳴らす。リズムを刻みヘッドバンキングまでしながら前奏を奏でる様に、思わず上鳴や耳郎まで続いた。
先程までの演出マシマシな一曲目と違い、シンプルなライトだけで演出を組み合わせていく、赤と緑、青のライトを切り替えるだけ。しかし、この力強い歌声に余計な演出は必要無かった。
緑谷が歌ったのは、あるヒーローの歌、ある細胞によって身勝手に化け物にされ、それでも信念を持ちそれぞれの大切な物を守ろうとしたヒーロー達の歌。ライトの3色は、そのヒーローのカラーだった。
生まれたことが罪であり罰と、月並みながら、歌詞がまるで自分の事を歌っているようだと思ってならなかった。そして何より、自暴自棄になりこのまま堕ちていくしかないのかめしれないと悲観した。
それでも、ただこのまま堕ちて朽ちて死ぬのは嫌だとは思っていた。
『死んでる様に生きたくない』と。
その個性で、やがて行き着く先は破滅かもしれない、まともな人生なんて送れないかもしれない。それでも、抱えて生きていく。最後まで戦い、因果も断ち切って進んでいくと、力強く緑谷は歌った。
観客達も、歌詞を聴いて理解する者も居れば、知らず知らずその声量と熱に絆されて腕を上げる者と様々だ。その最後列で、担任の相澤と警備を抜け出して最初からちょっとだけ聴きにきたプレゼント・マイクは、ステージへ釘付けになっていた。
「あいつ……こんな力強く歌うんだな」
「あの根暗な脊髄ぶっこ抜き少年が、数ヶ月通って随分と変わったじゃないの……さいっこうないい笑顔してんじゃない……」
最初に試験で映像で見たときは、なんとも暗い少年だろうかと思った。USJで惨劇を見せた時は、なんとも悲しい顔を見せていた、ヒーローになりたい癖に笑顔がままならなかった子が、皆を前に力強く楽しく歌って観客を沸かせていた。
「さっさと警備に戻れよマイク、どやされんぞ」
「始末書覚悟で最後まで聞いてくよイレイザー……いや!こりゃ前に行って腕上げなきゃダメでしょ!」
職務放棄までして、プレゼント・マイクは生徒達に混じりオーディエンスとして腕を上げた。相変わらずの騒がし好きがと、相澤は壁にもたれかかり最後の最後まで、緑谷の歌う様を見守った。
やがて、最後のワンフレーズを緑谷が叫び終え、A組のライブは終了し、大歓声に包まれた。
もう風も冷たい冬も近いこの日に、汗だくになるくらいに叫び歌って見せた緑谷は、しばらく恍惚と呆然のない混ぜに居たが、ゆっくりと深々頭を下げて観客に礼をした。
自ずと、ダンス隊から演出隊、バンド隊もそれぞれ楽器を置いて、ステージに集まる。それをして当たり前だとばかりに、皆が手を繋いで一列になった。爆豪は上鳴と切島に無理矢理連行されたが、全員一列となり、皆で繋いだ手を上げ、そして一礼して、ステージの幕は閉まって行った。
こうして……雄英文化祭の1年A組のライブは大成功で幕を下ろしたのだった。