【原作完結】僕の脊髄ぶっこ抜きアカデミア【オリジナルストーリー開始】 作:ぶっこ抜きデク
それから……文化祭は夕方まで続いて警報も鳴らず無事に終わったのであった。夕暮れの雄英高校、その正門まで緑谷と通形は、相澤先生と共にエリちゃんを送り届けた、ここからは病院まで相澤先生が送って行く。
「ありがとうエリちゃん、僕も今日は楽しかったよ」
「うん……」
そんなエリちゃんが浮かない顔をしていた、疲れたのだろうか?色々あってキャパシティを超えて整理がつかない?いや違う、緑谷は覚えている、彼女が何かを求めて来ていたのを理解していた。
「エリちゃん……探していたのはこれかな?」
緑谷は、そんな彼女へ自然な笑顔である物を差し出した。割り箸に突き刺さって、真紅の大きな球体……それは。
「りんご飴!え?売ってた!?探したよ俺!!」
そう、りんご飴。一日探したけどどこにも無かったよと通形がびっくりして、一体どこにと尋ねられて緑谷は答えた。
「プログラムを探して見当たらなかったんで……クラスメイトの砂藤くんが周りの飴と食紅を、そして常闇くんからはりんごを分けてもらったんです。
手渡されたりんご飴を見て、上側の固まった飴にエリちゃんが歯を立て噛み砕く。口に真紅の飴をつけて目を細めて、その甘露に彼女は笑った。
「さらに……あまい……!」
その笑顔につられて、緑谷も笑った。そうか……ヒーローは、この笑顔を守る為に頑張るのかもしれないと、緑谷はエリちゃんに言う。
「また、作るからね?」
「うん!ありがとう!」
「そろそろ時間だ、またすぐに会える……」
約束して、そして別れが来た。またすぐに……色々ありそうだからいつになるやら、それでもその時が来たら、またりんご飴を作ってやろうと、緑谷は相澤先生に連れられて病院へ戻るエリちゃんに手を振って見送った。
「よかったね、エリちゃんが笑ってくれてさ」
「ええ……本当に……もう、あの子が悲しみや苦しみに顔を歪めて欲しくないですよ」
ミリオと並んで背中が消えるまで、緑谷は彼女を見送る。そして背中を伸ばして一息を吐き、つぶやいた。
「僕も……彼女に笑顔を貰えましたよ、少しはまともに笑える様に、なったかな?」
彼女が笑ったから、僕も笑顔ができる様になった……忘れた笑顔を取り戻したのかもしれないと緑谷はそう言って、最後の片付けの為に学内へミリオと戻るのであった。
ーー数日後ーー
ジェントル・クリミナルは裁判を待つ為、留置所に拘留されていた。未遂もあるが重ねた罪は多く、懲役は免れないだろう……裁判の日を待っていた。
あの日、自分の頭蓋を軋むほど掴んだ少年が、自首を勧めてジェントルは、喫茶店で警察が来るのをラブラバと待った。そして、尋ねて来た警察へ自首をしたいと伝えた。
少しは有名だったらしい、なんの風の吹き回しか、何かの動画の企画かと疑問をぶつけられたが、本当にただの自首と言い、ジェントルは逮捕、連行された。
ラブラバは……自分が洗脳した年端もいかない無関係な女性と伝えたが、ラブラバ自身が協力者であると宣い彼女も連行された。
稀代の大悪党を目指したヒーロー落伍者の最後は、少年に諭されての自首で捕まるという結末となった。
これから自分は、何年も牢に入り罪を償う。当たり前だ、罪人だから……留置所の檻で裁判を待ち、何日経ったかはわからない……どれくらい経ったか分からない最中、刑事が檻を開けて来た。
いよいよその日だと思ったが……刑事から出て来た言葉にジェントルは呆けた。
「面会だ、あんたに会いたいらしい」
「はぁ……」
自分に会いに来る人間?誰が居るんだ……リスナーのファンなんてラブラバ目当てくらいだろう、まさか勘当した両親か?いや、連絡なんてもうしてないし、生死も分からない……ともかくジェントルは刑事や巡査達に手錠をつけられ連れられ、面会室に通された。
強化アクリルの仕切り、その先で待っていた面会人に、ジェントルは驚いた。
「やぁ、ジェントル」
「キミは……!」
自分を捕まえ、自首を促した本人、緑谷出久がそこに座っていた。
「な、なぜ……こんなところに!?」
「何故って……面会しに来たんです、当たり前じゃないですか?」
何故ここに?面会以外何があると、ジェントルの問いかけに緑谷は何を当たり前な話をと返す。雄英からこの留置所は結構な距離だ、片手間に訪ねられる場所では無い。つまり、この子は態々外出届、下手したら休学届まで出して自分への面会の為に訪ねて来た事がジェントルには想像できた。
「ちゃんと……自首してくれてよかったです……」
「はは……いや、その為にわざわざ私に?」
「はい、信じて良かった」
アクリル越しに笑う少年に、ジェントルは気恥ずかしくなった。そうも真正面から、信じて良かったと気持ちを伝えに面会しに来るなぞ想像も付かなかったから。
「僕が言えた事じゃあないですけど……どれぐらいかは分かりませんが……おつとめ、大変ですけど頑張ってください……」
「そうだね……決して短くないだろうが、ちゃんと償ってくるよ少年……」
「これから、ラブラバさんにも会って来ますが……何かお伝えしましょうか?」
「いや……出てから私が自ら伝えるよ、それは私がやらなきゃならないから」
ただ少し、話しただけの、ヴィランとヒーローの卵。しかし二人は面会時間の許す限り語り合う、数奇な縁で出会った二人の時間は短く、後少しで終わる間際、ジェントルは尋ねた。
「少年……もし……私がキミの手を振り払って……雄英に来てたら……どうした?」
仮に、もしも、私が信頼を裏切っていたらどうしたか?それを聞いた緑谷ははを見せて笑って答えた。
「仮免許を返納して、雄英を自首退学してました……そんな事も見抜けない奴が、ヒーローなんてなれませんから」
キミは、そこまで覚悟して私を信じてくれたのかと、ジェントルはそれを聞いて、頭を下げた。ズボンに涙が落ちて、跡を刻む中、緑谷はいよいよ面会時間終了の間際、ジェントルと約束した。
「出所したら、またあの喫茶店で紅茶を飲みましょうよ……僕、迎えに行きますから、約束です」
「ああ……ああ……!」
面会時間は終わって、警察に緑谷は誘導されて扉は閉められた。
ヴィランが恐れるヒーローの卵から、こうまで信じられて慈悲までかけられたジェントルは、必ず、何年掛かっても罪を償い彼と再会すると決意するのであった。
だがしかし、ジェントルは知らない……。
そんな彼と数ヶ月も経たずに会合し……彼を助ける為にその力を使う事など、全く思ってもいなかったのだった。
次回予告
ヒーロービルボードチャートJPが発表される最中、僕こと緑谷出久もその会場に来ていた。
というのも、タカカズさんから見に行かないか?と招待されてホイホイついて来てしまったのだ。その後、No.1になったエンデヴァーの祝宴を開くというホークスから、僕とタカカズさんも招待される。現地でホークスに招待された常闇くん、僕が行くならとエンデヴァーに付き添う轟くんと九州に来たわけだけど……僕たちはそこで脳無の襲撃を受けてしまう。
USJや保須と明らかに違う言葉を発する新型脳無に苦戦するエンデヴァーとホークス、そしてヒーロー達をよそに、もう一体の新型脳無が市民に襲いかかる…… その力の前にヒーローも、タカカズさんも、常闇くんも轟くんも倒れていく。
四の五の言ってられない、みんなを守る為僕は再び変身に踏み切った。
次回、僕の脊髄ぶっこ抜きアカデミア
「その名は、イーヴルヒーロー・イズク」
さらに向こうへ、プルス・ウルトラ!