※この作品はR-18です。

【原作完結】僕の脊髄ぶっこ抜きアカデミア【オリジナルストーリー開始】   作:ぶっこ抜きデク

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248話 漆黒の鎧、再び

『ナイスガイヒーロー・タカカズ』

 

 青いツナギをヒーロースーツとした、むらっけあるバイセクシャルの色男なヒーロー。

 

 その個性は『バキューム』

 

 背部にある『ディメンジョン♂ホール』という吸引口から、あらゆるものを吸引し、未知のエリア♂『ディメンジョン♂エリア』に吸収する個性。

 

 この特殊空間は、タカカズの人体内にあるのではなく『別次元の空間』であるため、吸引したものはどうなるかまでは分からない。分かることは一つ、この空間に飲み込まれてしまったが最後、二度と現世に戻る事も、取り出すこともできない。

 

 タカカズは、その個性で災害時の瓦礫撤去や危険物質の処分で活躍するヒーローである。時にはヴィランの仕掛けた時限爆弾を、時には核廃棄物を、その個性で吸い込み処理して来た。便利ながら、危険な個性であった。

 

 故に、タカカズは戦闘においてこの個性を使う事を自ら封じている、さらに言えばタカカズ自身、この様な戦闘の現場でもまず前線に出る事はない。

 

 自身の役回りは、救助と危険物処理だとタカカズは理解している。

 

 だが……それだけをやってヒーローを名乗っていいわけではないとタカカズは分かっている。

 

 ヒーローとは、無力な一般人を敵より守る盾でなくてはならない。時として拳を握り戦わなければならないのがヒーロー……この場に居る自分もまたその一人であるならば、その責務を果たさねばならない。

 

 激突したボンネットに捕まる蜘蛛型脳無が、ドハッテンのフロントガラスに足を突き刺せば、ガラスを砕きタカカズの頬を掠めた。

 

「ライフル弾すら傷一つつかない防弾ガラスを割るとは、やってくれるじゃあないの!」

 

 急ブレーキを掛けて、慣性の法則から蜘蛛型ヴィランが道路に転がるもすぐに立て直したのを見て、タカカズはキーシリンダーに差し込んだ鍵を、イグニッションから更に先へ捻り込んだ。

 

「ドハッテン!!トランスフォォォーーム!!」

 

 その叫びと共に、深青色のスポーツカーが音を上げて形を変えていく。

 

 車の形はやがて足を、腕をはやして頭部を形成し、蜘蛛型脳無へ向かった。

 

 

 

『ドハッテン、レスキューローダー』

 

 

 

 タカカズが作り上げたヒーローモービル、ドハッテンの『災害救助活動形態』である。

 

 本来は災害における瓦礫の破砕、運搬、救助者の安全確保を目的とした形態だが、質量兵器としては単純な強化型個性との戦闘も可能なパワードアーマーであった。

 

 内部モニターから、蜘蛛型脳無を確認して早速突進してタカカズは取っ組み合った。助走をつけた突貫だったが、やはり足腰と改造された化け物の力、押し込んだのは数メートルですぐに止められた。

 

 分かってる、それだけこの脳無の強さは規格外だ。このドハッテンの馬力でも流石に勝ちに行くのは難しい。

 

 

 

 だが、時間稼ぎはできる。

 

 

 

「さぁ脳無、時間一杯、俺と戦(や)らないか?」

 

 取っ組み合いから離れたドハッテンを纏うタカカズは、そのまま金属の拳を蜘蛛型脳無に振り下ろした。

 

 

 

 地元のヒーロー達が戦っている、逃げる一般市民を守るため、行かせないとその身を盾に脳無を遮る。

 

「っしゃああ!!」

 

 露出した脳髄を鷲掴みにし、脳無の脊髄をぶっこ抜きして叩きつけ、脊髄を踏み折り再起不能にした緑谷は、次だとあたりを見回す。

 

 が……やはり地力や才能となれば、自分よりも二人が上に居ると緑谷は、脳無を氷の牢屋に閉じ込めた轟と、叩きのめし痙攣する脳無の前に立つ常闇を見た。

 

「此処らの脳無はとりあえず撃退できたみたいだな」

 

「あぁ……他の場所でもまだ暴れているみたいだ、すぐにーー」

 

 此処はもう大丈夫だ、他のまだ交戦中のヒーローへ加勢に行こうとした矢先……空が異様な明るさに染まった。

 

 さらには、熱風が皆の身体を叩く様な勢いで起こる。空を見上げれば巨大な火柱が放たれ、やがて消えた。

 

 上空に浮かぶエンデヴァーが、勝負を決めたらしい。あんな大火力、底知れない炎を3人は見上げ、あちらも終わったかとなった刹那……。

 

 エンデヴァーに伸びた触腕が、頭部へ命中して、そのままゆっくりと瓦礫へ落下していった。

 

「な……なにやってんだよ、親父!!」

 

 憎んだとはいえ、父親、ナンバーワンヒーローが、白煙か蒸気か知らない何かをあげて墜落する様に、轟は叫んだ。

 

 それと同時だった、緑谷達の近くで、喧しい音が鳴り響いたのは。何かが思い切り衝突した音……近くのビル壁が崩落する中見えた、青色の見知ったボディが、これが一体何からこの姿になったのか緑谷に理解させる。

 

「な、んとも……うまく行かないね……はは……」

 

「タカカズさん!」

 

 機体の節々にケーブルが露出し、火花や放電が起こっている、その中に血まみれになった、ナイスガイヒーロータカカズを見て、緑谷は叫んでその下へ走った。

 

「轟!こっちにーー」

 

 茫然自失になるのも無理はない、常闇が声をかけたその瞬間、二人の前には既に、蜘蛛型脳無がその足を振り抜こうとしていた。

 

「!?ダークシャーー」

 

 無慈悲にも、その巨躯な足は二人を薙ぎ払い、近場の建物へ叩きつけた。幸いだったのは、ダークシャドウの防御が間に合った事、しかしその衝撃により意識は二人して断ち切られた。

 

 その一瞬の油断で……緑谷以外は全滅してしまったのであった。

 

 その光景を見た緑谷出久は……頭の中で怒りの琴線が切れた音を確かに聞いた。沸々と、怒りが湧き上がってくる。よくも……轟くんを、常闇くんを……タカカズさんを……!そして何より、今の自分の判断ミスが許せないと怒りが湧き上がる。

 

「こ、れで……にく、にく、食える、うまそ………」

 

 そして、そんな緑谷を居ないと、無視してこの場を去ろうとした蜘蛛型脳無に、緑谷は……キレた。

 

「お前……お前ぇぇえええええ!!」

 

 こっちを見ろとばかりに叫びを上げ、緑谷は蜘蛛型脳無へ向かい、こちらを見た瞬間……腹部に浮かび上がった感覚から、緑谷は叫んだ。

 

「変身!!」

 

 走りながら、そのヒーロースーツごと身体を覆い尽くす黒色の触手が緑谷を包み込み、蠢く漆黒の鎧を作り上げるや緑谷は、猛獣の様に飛び跳ねて蜘蛛型脳無の顔面を殴り抜いた。




ドハッテン・レスキューローダーフォーム

タカカズの愛車である、ヒーローモービル『ドハッテン』のパワーローダー形態。本来は災害時における瓦礫の撤去や破砕、被災者救護の為の形態で戦闘用ではないが、強化型個性を相手にしても張り合える馬力を有している。

が、ハイエンドを相手には出力不足だったらしい時間稼ぎをメインに対峙したが、それでも相手が悪かった。

イメージとしては『コックピットがあるトランスフォーマー』変形の際は何イグニッションキーを更に捻りこむ。
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