【原作完結】僕の脊髄ぶっこ抜きアカデミア【オリジナルストーリー開始】 作:ぶっこ抜きデク
緑谷出久が、心操人使の洗脳にかかり、麗日のビンタにより目を覚ますまでの刹那の時間……深層世界に意識が飛んでいた。
『ここは……』
そこは、荒廃したビル群……知らない場所。周囲は火事に絶叫と、大災害に見舞われたような景色を見て、緑谷は気配に振り返った。
スーツ姿の、顔は陰で見えない。しかし気配と感覚で理解するーーこいつは!
『AFO……!!』
口元が影から現れてニタリと笑う。その瞬間!AFOは手をかざして、その黒い棘を指先から緑谷向けて放って来た!それを緑谷は臆する事なく掻い潜る!
枝分かれした棘が緑谷を追尾するが、それを打ち砕き、回避して、緑谷はそのままAFOの前に辿り着くや……その頭部を脊髄ごとぶっこ抜いた!!
血を吹き出す頭部を無くしたAFOが膝をついて倒れ、ぶっこ抜いた生首付き脊髄をコンクリートの地面に叩きつけ、容赦なく緑谷はAFOの頭部を蹴り砕けば、脳漿も頭蓋も飛散した。
『やっぱり、一度勝ってるやつは違うさ』
緑谷の背後から、声がかかった。振り返ればそこに居たのは……スキンヘッドに鍛え上げられた男が立っていた。確か、深層世界の『喫茶どんぶら』で、テーブル席に座っていた人だったか……。
『だからこそ言わせてもらう……なぁにやってんのさ!お前!!危うく乗っ取られてたさ!!あの玉無し金玉顔に!!』
『えぇっ!?』
そして、唐突に説教された。何をやらかしているのかと、となれば……と緑谷はそこまで察しが悪くはないので理解してしまう。
AFO因子かと、それが自分を乗っ取りにかかった。怒りに染まったのを隙にして……。
『すいません……』
緑谷は頭を下げた、危うく乗っ取られていたなんて……不甲斐ないとスキンヘッドの男に頭を下げると、彼は鼻から息を強く吐いて言った。
『本当に難儀な身体さ、だからこそ俺たちが馴染むし、時も満ちたわけなのかもしれないさ……っと、時間が無い、さっさと説明する』
スキンヘッドの男が、手のひらを差し出して見せる。そこから現れたのは……黒く緑かかった縄の様な、そんな物体が蠢いていた。
『お前さ、さっき相手を引き寄せようと、捕まえようと思ったんじゃあねぇか?』
『まぁ……僕の個性がそう深化してますから、引き寄せて二度と固形食を食べれない様にしてやろうと』
『おー怖い、おっかないさ……坊主と俺は似ている個性なのさ、見えるか見えないかの違いさ』
そう説明するスキンヘッドの男が話を続ける。
『こいつは黒鞭、似通った個性だから一番最初に発現したと思われる……が!お前の体に流れるAFO因子が、俺の個性を捻じ曲げている!坊主の個性の様に!』
緑谷は、さっきまで暴走した個性の有様を思い出して右手を見つめ、まさかと念じれば……右手の指先が弾け飛び、歪な帯が伸びるのをその目に焼き付ける。
『名付けるなら黒爪、俺の黒鞭にはない切れ味が加わり、しなやかさを失い鋭く、獰猛になっちまってる……欠片となって坊主に移った歴代OFAの個性もさ……』
そんな……緑谷は、欠片となって宿ったOFAすらも変異させている自らの中に流れるAFO因子の恐ろしさ、そしてそれが目の前で引き起こした現象に心が締め付けられた。
『気をしっかり持つさ!!』
『ふぇえ!?』
がしぃい!と、力強く大きな両手が緑谷の両肩を鷲掴みにして声を上げる。
『責任感じる必要ないさ!その沈んだ気持ち、マイナスな感情が!またあいつに呑まれる隙を作るのさ!!』
沈むな、気をしっかり持て、それが暴走の原因だとスキンヘッドの男が緑谷に発破をかける。落ち込むなと、挫けるなと、クヨクヨするなと熱意のこもった声だった。
『頑張るさ!頑張れば大概、なんとかなるさ!!一度勝てた坊主なら、個性を従わせれるさ!!』
胸を張り、数歩下がった瞬間……さっきまで着ていた筈の彼のヒーロースーツは……何故か学ランへと変わっていた。
それどころか……背後にずらりと並び後ろに手を組む、喫茶どんぶらに居た歴代継承者達が全員仁王立ちしていた。
『いざ行け!!最後の継承者!!俺たち歴代がついてるぞ!!ワン・フォー・オールを完遂させるのは……お前だ!!』
太鼓が鳴り響く、暗い世界が明るくなっていく。呼びかけてくれる声が聞こえる……。
行こう……さっさと目を覚まして。緑谷出久は、太鼓とエールを背に、深層世界から飛び出した。