【原作完結】僕の脊髄ぶっこ抜きアカデミア【オリジナルストーリー開始】 作:ぶっこ抜きデク
「ーーくくん!出久くん!!」
「がっ!?」
右の頬に叩き込まれた衝撃で、緑谷はようやく目を覚ました。独特な浮遊感は、彼女の個性によるものだろう。指の痛みと頬の痛み、それらを自覚してようやく緑谷は理解した。
「うら……らかさん……」
「もう大丈夫、心操くんの洗脳で収まった」
にっこりと笑う彼女は、余程緑谷を押さえつけるために必死だったらしい。あちこちに切り傷や、ヘルムもどこかに行ってしまって……多分体のどこかに当たったか、顔に打撲跡もできていた。
「なんともない?気分は?」
「あ……そ、そんな、ごめん麗日さん……」
着地しながら、ここまで自分を抑えるために必死にしがみついていたのかと理解した緑谷は泣きそうになった。
が、緑谷はそんな涙も引っ込む気配に振り向いた。
「まだ終わってないんだけど!!」
物間が奇襲をかけて来たのである!アクシデントがあったとは言え、終了のブザーも先生の中止勧告も無いと、その隙を物間は突いてきたのである!
裏拳気味に振るわれた物間の拳を屈んで回避した緑谷!その手を麗日が掴み、投げの体勢に入る!ガンヘッド事務所にて培った近接戦闘術『ガンヘッド・マーシャルアーツ』の投げに、物間は受け身を取り即座に離れた。
が……この男、先程のライン越えの煽りをこのまま許す筈が無かった!!
「Get!! over here!!(テメェ!!ちょっとこっち来いやぁ!!)」
「うぅああ!!?」
脊髄が引っ張られる感覚と共に、等速直線で物間は緑谷の目の前まで引っ張られ、逃がさんとばかりに目の前に立たされた瞬間ーー。
「ひっーー」
拳が迫る。
そして、物間は想像してしまった。まるで自分の顔面が、砕けたスイカの様にされる未来を!明らかに殺しにきている!!避けられない!!目を瞑り備えた物間だったがーー。
「え……あ……」
その拳は、鼻頭に触れる寸前で止められて、物間の頭髪が拳から生まれた風で背後にたなびいた。
物間はその場にへたり込み、呆然とするが……やがて実感してしまう。座った場所から広がる温もり……失禁という事実を。
「麗日さん、物間くんを頼むよ」
「え、えっと……大丈夫なん?」
「そいつにもう、戦う意志は無いから」
呆然とした物間を、麗日が触れて縄で拘束して浮かせながら引っ張り、自陣牢屋に移送する麗日。あれだけ喋っていた物間は、まるで意識を失った様に黙り、そのまま大人しく運ばれていくのだった。
「物間氏がやられた!!黒いのが暴れて作戦も台無しだ!!」
「心操くん大丈夫!?」
緑谷の暴走で作戦は台無し、その現地に庄田、柳、小大が合流し、心操の身を案じて声をかけた、
「物間を助けないと……」
麗日に連れて行かれる物間を見た小大が、牢屋に入れられる前に助けないとと向かおうとしたがーー。
「いや、ダメだ……助けてももう、物間は戦えない」
「えっ、まさか……怪我?」
心操の言葉に柳が、まさかさっきので怪我をしたからかと尋ねる。心操は首を横に振り、答えを返した。
「心を緑谷に折られた……!」
緑谷は、最後に当てなかった拳と、こちらを見下ろすB組、心操達を見上げて睨みつけた。
残り3人、もう姿を現したならば乱戦は必死!緑谷はそのまま、4人の立つ足場に自らを引き寄せて向かう!
「来る!!」
庄田の声に皆が反応して身構え、それぞれの攻撃手段を構える中、緑谷の背後に二つ!影が現れた!
「居たぁああああ!!」
「緑谷!!麗日!!無事!?」
峰田と芦戸が合流し、緑谷は来たかと頬を緩めた。
「麗日さんは物間を移送してる!!ここで勝負決めるよ……二人とも!!」
緑谷の号令が、最後の戦いの火蓋を切った。最早ここに作戦も策略もない、正面切ってのぶつかり合いが、今始まったのであった!