【原作完結】僕の脊髄ぶっこ抜きアカデミア【オリジナルストーリー開始】 作:ぶっこ抜きデク
「心操のやつ、緑谷といい勝負してるぞ!?と言うかもう互いに作戦無しの実力対決だ!!」
「緑谷さんが何やらアクシデントがあって、互いに作戦も何も御破算となってしまいましたわね……何もなければいいのですが」
モニターに映る緑谷と心操の、互いの武器を操る戦いを見て切島が唸った。あの緑谷と互角にやり合っていると、その実力を練り上げて来た努力が垣間見えると興奮して握る拳に力が入る。八百万はそれこそ、緑谷の暴走を心配したが、教師陣が止めに行って介入が無い事から続行するのだろうと理解したが、やはり心配になった。
だが、B組側は……全員ドン引きで顔が引き攣っていた。
「いや……物間……駄目だよ流石に、今の煽り方は」
「流石に擁護できないと言うか……個性差別に足突っ込んでるよ」
「緑谷氏、よく止めましたな……殴りたかったでしょうに……」
拳藤、骨抜、宍田がそう呟く程に、今回の物間の煽りはラインを越えた発言であった。彼の性格と、個性の扱い方や戦い方からその戦法を取るのはクラスメイトとして理解はしているが……いくら何でもヒーローになるならば、触れてはならない事があろうにと、物間の倫理皆無な緑谷への煽りに引いていた。
「チッ、見当たらねぇ……」
そうして各々乱戦が始まったモニターを前にしている中、爆豪はスマホを授業中ながら弄くり回しており、上鳴がそれを見て何をしているのかと覗きながら注意した。
「おいおい、授業中だぞ爆豪……何してんの?」
「あぁ?火葬場と葬儀会館探してんだよ……クソヴィランがこの後モノマネ野郎処刑するだろうから……最寄りが無ぇ……」
「やめたげて!?洒落になってないから!!」
『火葬場 最寄り 学生料金』とスマホへ打ち込む爆豪に、冗談でもやめてあげろと上鳴が止める中、いよいよ最後の試合に決着が着こうとしていた。
「人は僕を動ける恵体と呼ぶ!!」
「おごぉおお!?」
緑谷と心操がタイマンのマッチアップを組む中、峰田と芦戸は、庄田、柳、小大相手に二人で戦っていた。
庄田の大地震わす震脚と共に放たれた中段突きが腹部に突き刺さり、峰田の小さな身体がくの字に折れ曲がり吹き飛ばされる。
「ファイア!!」
「ぐぇ!?」
さらに追撃!!庄田のツインインパクトでさらに強力な衝撃を受けて思い切り吹き飛ばされた峰田は、意識も途切れ途切れの中、吹き飛ばされた先の柱に叩きつけられた。
が、まるで柱がバネ材質であったかのように、峰田は柱にぶつかり別方向へと弾んだ。
「も、もぎもぎは……オイラに対してはくっつかず……トランポリンの様に弾む、さっきまでのは適当に投げたわけじゃあない!」
「な、何!?」
「これって!」
峰田が弾む!弾みまくる!!そしてどんどん加速していく!!気付けば庄田、小大、柳は……峰田の高速移動する箱の中に閉じ込められていた!
「まずいわ、こんな速度で当たったらいくらなんでもーーきゃぁあ!!」
柳が捉えきれないとあちこちを見ていると、パァン!と小気味いい音と共に嬌声をあげてお尻を押さえた。
「柳さん!?」
赤面してお尻を押さえた柳に、何があったと庄田が叫ぶ、峰田は跳ね回りながらこの技の名を叫んだ!
「これぞ必殺!!跳峰田〜セクシャルスクエア〜だ!!そらそら触っちゃうぞ触っちゃうぞ!!」
「最低……ああっ!?」
さらに小大の近くを通り過ぎた瞬間またスパァン!と音が鳴って崩れ落ちて彼女もお尻を押さえる。それ、もうヴィランの技だろ!と庄田は峰田の跳ねてスピードを上げる様に対して、次は自分かと身構えた。
「もらったぁあああ!!」
軌道を転じて庄田の背後を取る峰田!しかし、ゆらりとその奇襲を避けて、峰田のヒーロースーツを見事に掴んで動きを止めた!
「な!?」
「お痛が過ぎますよ」
先程は跳ねさせてしまった、ならば跳ねさせないと庄田は峰田を地面に叩きつけるように、一撃を腹部に放った瞬間叫んだ!
「瞬間衝撃!!二の打ち要らず!!ファイアァアア!!」
「ぐぇごぉおお!!」
拳撃で一撃を加えた衝撃を、瞬時に解放して時間差無しのツインインパクトで峰田の腹を殴り抜いた庄田、峰田はそのまま庄田が立っていたタンクにめりこんで意識を手放した。
「隙あり!!」
峰田を無力化した刹那、背後からの声に振り返る庄田!芦戸が殴りかかろうとしていたのを見て、ここからなら迎撃してカウンターも間に合うと迎え撃つ!
が、芦戸はピタリ!といきなり静止した。
「え……」
庄田からすれば、何故いきなり固まったのかとなった瞬間。芦戸は両手を合わせて庄田に向けて来たのだ、フェイント!この土壇場で!?掛かってしまったと庄田がバックステップで即座に離れようとしたのを見た芦戸は、ニヤリと笑って狙いを少し下げた。
「足元注意!」
「しまっ!?」
酸が放たれたのは庄田の足元!つるりと足を取られてそのまま庄田はタンクから真っ逆様に落ちていく!
「ウラビティ!!」
「まかせて!!」
そしてここで、ウラビティこと麗日が合流!落ちた庄田に怪我をさせないため、庄田の身体に触れて無重力にて無力化し、事無きを得たのであった。
先程、芦戸が止まったのはフェイントでは無かった。庄田の背後から、麗日が物間を運び終えて合流して来たのを見た芦戸が、殴り倒すより捕まえるべきと切り替えたのだ。それが奇しくもフェイントとなってしまったのだ。
「芦戸さん!あとは!?」
庄田を捕まえこれで二人、残りはと芦戸に尋ねた麗日は、近くで赤くなってうずくまってる二人を見て、既に無力化したようだった。
「もう終わった、あとで謝んなきゃいけないけど……」
「え、何があったん……」
「峰田がね……」
何したんだ一体……汗を垂らす麗日は、緑谷はどうしたのかと辺りを見回すなか、上の方で緑谷と心操二人がまだ戦っている事に気づいた。
「麗日、緑谷には悪いけど、さっさと運んで勝ちを決めてしまおう」
男同士の戦いはまあ分かるが、これは授業であくまで試合。物間は入れられ、ここに3人が無力化されたなら、さっさと勝ちを決めてしまおうと芦戸の提案に、麗日は頷いた。
「よくもまぁ……ここまで」
緑谷は、ゼェゼェ息を切らす心操を見て呟いた。相澤先生こと、イレイザーヘッドの操縛布による絡め手を使って、自分に食らい付いて来る普通科の彼が、ここに来るまでどれだけ努力して来たのかが分かる。
緑谷自身、訓練は訓練でと全力をセーブして学ぶ為にと授業を真面目に受けているが……気を抜いたら即座に押し切られ絡み取られるなとヒリついていた。
対して心操からすれば、まだ息を切らしていない、しかも自身の全てを受けようと全て後手に回って戦っている緑谷に対して絶望を感じていた。さっきから分かっているが……実力差は凄まじく開いている。
むしろ、操縛布を絡まされながらも自分に合わせて戦っている緑谷に諦観すら湧き出て来た。これがヒーロー科、これが雄英……数ヶ月のなんと大きい事かと心操は笑い、叫んだ。
「緑谷ぁあああああ!!」
操縛布を周囲の配管に巻き付けて、自身の体重を掛けながら心操は背後の断崖を跳んだ。ギリギリと音を立てて外れ、配管が抜けて連鎖的に周囲の障害物が崩落していく!
せめて一太刀!!これでお前を閉じ込める!!配管が落ちゆく中、緑谷は指先に意識を集中させた。
『個性を従わせろ』
深層景色の、OFA継承者はそう言った。
『理解』ではなく『従属』
自らの個性と向き合い、理解して共に歩む事が個性訓練の当たり前である。
しかし緑谷は違う……因子に捻じ曲げられた個性は、いずれ自らに牙を向ける猛獣なのだ。だから彼は言った、従えろと。お前と、個性の関係は『主従』でなければ扱えない。
飼い慣らせ、そして使役しろ!!
緑谷の緑色の虹彩が赤く染まり、両手の指先が弾けるや、再び黒き爪が現れて配管を串刺しにして止めた!
「ま……いっかい……指が弾けるのかよ、痛いな……」
そして、黒爪はそのまま暴れる事は無く緑谷の指に戻る。緑谷はそのまま心操が飛び降りた断崖を追う様に飛び降り、鎖を振るって腕ごと胴体に絡ませながら捕縛し、壁に黒爪を突き立て落下速度を殺しながら地面に着地した。
「なんだよ……結局捕まっちまった」
捕まった心操が、最後も結局捕まって力を見せつけられたと愚痴を吐くが、緑谷は溜息を吐いて言葉を返す。
「こっちからすれば、使わされたって感じなんだけどなぁ……いや見事、危なかった」
「リップサービスはやめてくれないか、緑谷」
「受け取りなよ、事実なんだから」
捕まえたのと同時に、終了のブザーが鳴り響く。第五試合は、A組全員生還(峰田気絶)、4人確保により、『ルールとポイント上は完全勝利』という結果に終わった。