【原作完結】僕の脊髄ぶっこ抜きアカデミア【オリジナルストーリー開始】 作:ぶっこ抜きデク
『那歩島』
沖縄県は八重山諸島に属し、最も南端にあり、台湾とインドネシアを近くに望む、田舎情緒溢れる島。綺麗な海と砂浜は、見事なもので、更には決して20度を下回らない熱帯気温から、年中海水浴が出来るため、国内で季節外れのバカンスにここを選ぶ旅行者も居る隠れ旅行地である。
今日も真夏日の中、この島に訪れた旅行者が海を楽しみ、そのお客様の為に屋台が、海の家が地元民達により開かれ、それが島の収入源の一つとなっている。
「ねーねー!俺らと一緒に遊ぼーよ!」
本島は真冬でありながら、この島の夏の如く開放的な雰囲気となれば、やはりこのような不埒な輩は何処にでも居る、ナンパからのワンナイト狙いの奴ら。二人のチャラ男は水着の女性二人に声をかけるが、女性達はそんな気分じゃないとあしらう。
「結構です……」
「「そんな事言わずにーー」」
危うい雰囲気を感じた女性達は逃げ、チャラ男二人は追いかけようとした瞬間ーー。
「「あだぁ!?」」
二人して、何かに足が引っ付いて顔面から床にダイブした。
「な、なんだこりゃあ!?」
「と、取れねぇーー!」
それぞれ左右片足の裏、チャラ男達は紫色の球体に足を取られ、粘着力に取れないと必死にもがく。一体誰が?そう思った水着姿の女性達に声がかかった。
「お怪我はありませんか、お嬢さん?」
背後の声に振り返る、そしてそこには白い歯を見せていい笑顔を見せる峰田実……いや!
『もぎたてヒーロー』グレープジュースの姿があった。
「ああ礼には及びませんよ、それよりどうです?これからオイラとあちらの岩礁でイけない遊びなんて……」
決まった、これは流石にいけるだろと、自身の活躍に顔も決まって二人の水着美女からお礼が……と考えていた峰田であったが。
「ありがとー!」
「助かりましたー!!」
水着女性二人は峰田の左右それぞれ通り過ぎて、たまたま砂浜のパトロールをしていた尾白猿夫、『武術ヒーロー』テイルマンにお礼を言いに行ったのだ。
「え!?い、いや!今のは俺では無くて……」
「やだかわいい、あっちの岩礁でイケナイ遊びなんてワイルド……」
「行きましょうよ、イケナイ遊びしたいなー?」
「い、いや駄目ですし言ったのは僕じゃ……」
二人して勘違いしながら、しかも峰田の台詞に乗り気で勘違いして、水着女性二人は尾白に赤らみ顔で、それぞれが両手にまとわりついて胸を当てて引っ張っていこうとするのを見て峰田は叫んだ。
「下ぁああああ!!視線、下ぁあああああ!!」
哀れ峰田、視界に入らなかったばかりに……背か?容姿か!?ふざけんな畜生と峰田の叫びは悲痛に響き渡った。
海である以上、溺れたりするのはよくある話で、知らぬ間に離岸流に流されてしまう者も居る。その為にライフセーバーが監視台にて見張っているものだ。監視台に座す障子目蔵こと『触手ヒーロー』テンタコルは、複製椀により作り出した腕の先に目玉をさらに作り出して、ビーチの隅々から海の異常を探す。
「蛙吹!山向こう70メートル!子どもが溺れている!!」
「ケロ!」
その一つの目玉が、離岸流に流される子供を捉え、複製椀の口から声をあげた。その声に答え、颯爽と海に飛び込むカエル顔の少女、蛙吹梅雨こと『梅雨入りヒーロー』フロッピーが、透き通る海をぐんぐんと泳いでいく。
「うおおぁああああああああ!」
さらに、手漕ぎ船のオールをガンガン漕いで救助にあたる者が一人。砂藤力道、『甘味ヒーロー』シュガーマンは波すら超えてなんのそのと溺れる子どもの元へ駆けつける!
「ママー!!ママ……」
大波に攫われて海中に引き摺り込まれた子どもは、蛙吹の長い舌によって確保され砂藤のボートに降ろされ、砂藤はしっかり子どもを抱え上げて声をかけた。
「だ……大丈夫かい……?」
その砂藤を見た子どもは……しばらく固まった末ーー。
「びぇえええええええーーーー!!」
「な、なぜ泣く!?」
泣かれた、めっちゃくちゃ泣き叫ばれた。何故だ、どうしてと息を切らす砂藤に対して、海面から顔を出した蛙吹は言った。
「顔が怖いのね……」
全速力でボートを漕いで息を切らした砂藤の顔が、あまりにも怖かったのであった。
『遊泳禁止!!遊泳禁止!!岩場の向こうは遊泳禁止!!』
「ここから先は危険だから、入らないでくださいね!!」
危険は未然に防ぐもの、岩礁のあたりの立ち入りを防ぐ為、個性であり相棒たるダークシャドウに叫ばせる常闇踏影こと『漆黒ヒーロー』ツクヨミと、自らの個性のテープを駆使して『立入禁止』の字を描く瀬呂範太こと『テーピンヒーロー』セロファンのパフォーマンスに、監修が拍手と歓声を送った。
「見せ物じゃねぇんだが……」
「ショートくん、また氷頼めるかな?」
その様子を見ていた轟焦凍こと、ヒーロー名『ショート』は、かき氷屋台を営むおじさんに声をかけられた。この常夏の島では、まだかき氷はよく売れる。
「あ、はい……どうぞ」
言われるがままに手を翳して、轟は氷柱を発生させた。
「のわぁあ!?大きすぎぃ!!」
「あ、すいません」
かき氷機に使える大きさじゃないというおじさんのツッコミに、轟は大きさを調整して氷塊をクーラーボックスに入れ込むのであった。
「うわぁ……ヒーローがいっぱい……」
ヒーロー達が沢山、ビーチに来ている。一人の帽子を被った少年はビーチを一望できる崖から、彼らが活動する姿に目を輝かせた。
「ふーん……」
「お姉ちゃん?」
対してもう一人、一緒に居た少女の反応は薄い。まるで値踏みするように見下ろしている様に、少年は声を掛けた。どうやら二人は姉弟らしい……。
「はい、雄英ヒーロー事務所です!はい……すぐに向かいます!」
電話が鳴り響く、それを取り応答するのは芦戸三奈、ヒーロー名『ピンキー』島民からの出動要請にハキハキと受け答えして要請を承った。
ここは、那歩島の宿泊施設『いおぎ荘』そして今は『雄英高校1-Aヒーロー事務所』である。ヒーロー公安委員会による『ヒーロー育成プロジェクト』として、そして二学期の期末試験の代替として、1ーA組はこの那歩島にてプロ同様のヒーロー活動を行っていた。
一週間の短い期間だが、現在二日目。こんな本島から離れた島でもヒーローは必要で、次々連絡が入っていた。
「上鳴、西地区の松田さん、またバッテリーが上がったって!」
「またかよ、あのおっさんいい加減買い換えろって……」
昨日もだったよなと、同じ理由での出動要請を聞いて、『スタンガンヒーロー』チャージズマこと、上鳴電気は立ち上がった。
「頑張れチャージズマ!!」
「「「ゴーゴー!!」」」
「ゴーゴー!」
それでもクラスメイト達の声援を受けて、チャージズマは現場へ向かった。
「ハァイ、こちら雄英ヒーロー事務所、なんでもキラキラに解決しちゃうよ?」
「迷い犬見つかった?お疲れ様、次はインコ探しだって」
「大丈夫、落ち着いて?まずは貴方の……」
「心配ありませんわ、はい!」
電話から次々とヒーローの要請がひっきりなしだ、こんな小さな島でも些細な事だろうと、ヒーローは求められているのだなと、『係長』のポップが置かれた机で緑谷は、完了した要請のレポートを次々パソコンに打ち込んでいた。
「商店街で迷子!手の空いてるヒーローは一緒に……」
麗日お茶子こと、ウラビティは今受けた要請に誰かと探して……寝転び観光ガイドを見ている爆豪へ目線を向けた瞬間ーー。
「断る」
「はやっ!?」
即座に断られて唖然とした。
「そういう事言うなって爆豪、麗日!俺が一緒に……」
なら俺が一緒に行くよと、切島鋭児郎、『剛健ヒーロー』烈怒頼雄斗が買ってたが、馬鹿かと爆豪が行くのを止めた。
「オメェの個性で迷子が探せるか!」
確かに、と立ち止まる切島。行くにしても考えろと、適材適所は必要だ。今現在この爆豪の出動は皆無なのだが……。
「迷子探しなら……うちの出番だね?」
ここは私の出番だろうと、椅子から立ち上がり耳たぶから伸びたイヤホンジャックを弄びながら、耳郎響香こと『ヒアヒーロー』イヤホン=ジャックが、出動を受けた。
「麗日さん、僕も行くよ、空を滑空して探せるからさ」
なら機動力で自分も必要だなと、一区切りついた緑谷出久……『イーヴルヒーロー』イズクは机の上に置いた帽子を被って一緒に行こうと、麗日と耳郎の出動について行く事にした。
外に出るや、ヒーロースーツの上から救助用浮き輪を体に通して、なんともファンシーな姿になるがこれは二人が掴めるようにする為。麗日が耳郎と自らに触れ、無重力を発動して緑谷の浮き輪に捕まる。
「ヒーロー事務所……」
「1年A組……」
「「「出動!!」」」
掛け声揃え、近場の電柱を引き寄せて、反動を使い空を舞う3人。そのままさらに次の電柱、自然木へ緑谷は引き寄せを使い、やがて空に舞い上がる。ヒーロースーツのコートが風を掴み変形し、滑空翼となり空を舞う。
雄英高校1-A組ヒーロー事務所、現在鋭意活動中!