【原作完結】僕の脊髄ぶっこ抜きアカデミア【オリジナルストーリー開始】 作:ぶっこ抜きデク
ヒーロー公安委員会……ホークスは公安委員長と職員より呼び出され、今回のヴィラン連合による『何か』の輸送と『ある事件』に関しての報告、考察を行っていた。画面には日本列島の写真、その各地に伸びた線の先には、様々なヒーローの顔写真が括り付けられていた。
「先週から継続的に発生している、ヒーロー暴行事件……被害者は全員意識不明、しかも個性を消失……死柄木一派は、指定ヴィラン団体が密造した個性を消す針を入手している……」
先週からの事……全国各地でヒーローが襲撃を受けていた。そして、そのヒーローの個性が、消失していたのである。
公安職員の壮年の男より、此度の事件とヴィラン連合の関与はどうなのだと尋ねられた。死柄木は……以前死穢八斎會に身を寄せ、その恩から小間使いのように働いていた。
その治崎が開発していたのが『個性破壊薬』であった、その個性破壊薬の件でガサ入れが入り死穢八斎會は抵抗……若頭、ヴィラン名『オーバーホール』こと治崎廻は配下の組員と抵抗したが、最後は自らが開発した個性増幅の違法薬品の副作用により、人間ですらない肉塊と成り果て、今はタルタロスに生命維持装置を繋げられ生き地獄を味合わされながら拘束されていた。
「彼らが針の量産に成功した……という情報は?」
「いいえ、聞いていません」
その治崎を移送の際、ヴィラン連合がこの車両を襲撃し個性破壊弾を手に入れたのはホークスも知っている。まさかそれを量産しはじめたのかと公安委員長から尋ねられたが、ホークスは否定した。
「なら調べろ、奴らの内定を続けてーー」
「個性を奪われたとは考えられませんか?」
「なにーー?」
公安職員からの催促に対し、ホークスは違う可能性も指摘した。『個性を奪われたかもしれない』と。
「被害者はヒーローですから……失った個性は当然、使える物ばかりです、もし容疑者があのAFOと同じ、個性を奪う個性を持っているとしたらーー」
あり得ない話では無い、ここまで襲撃されたヒーロー達は、中々の強個性を持っているのが分かる。そして……今の死柄木達には、死穢八斎會から奪った個性破壊薬を量産できる財力も、生産体制も無い。
ならば、奪ったという線が強いというホークスの意見に公安委員長はそんな事が……と第二のAFOが生まれたという予想に唖然が呟きとして出てしまった。
「まぁどちらにせよ、死柄木絡みです、両方の線で追ってみますよ」
あくまで予想の一つ、まだ確定では無い。だからこそこの目と羽で調べてくるとホークスは、会議室から出ていった。
ーー某所、プレハブ小屋……ヴィラン連合は此度の仕事に関して死柄木に内容を尋ねていた。
「結局積荷は何処に行ったんでしょう?ヒーロー側は回収してないんですよね?」
「ああ、そいつは確定情報だ」
トガヒミコの質問に、荼毘はトゥワイスの分身に運ばせた積荷はヒーローも回収していないのは確定している、とだけ答えた。
「結局さ、積荷の中身はなんだったわけ?」
我々は一体『何』を運ばされたのか、それはやはり気になる物。Mr.コンプレスに尋ねられた死柄木は少しの静寂の後言った。
「ドクター曰く……知る必要は無いそうだ」
「知る必要が無い……」
マグネが反芻するように呟き、そうかなら仕方ないとそれ以上は聞かないと頷いた。が、スピナーは文句をこぼす。
「なんだそりゃ……」
「配送だけさせて、後は黙りか!?」
「ますます気になりますねぇ……」
「まぁまぁ、所謂極秘任務というやつでしょ?忘れちゃいましょ、それがいいわ」
トゥワイスもトガも気になると溢すのを、マグネは諌めた。こう言った物を掘り起こすと面倒だ、忘れてしまうのが一番だとマグネは切り替える。
「兎に角忘れろ……いいな?」
「了解!やなこった!!」
トゥワイスの返事をスルーした死柄木は、プレハブ小屋から出た。
手首の一つを顔に嵌めながら、ドクターの言葉をおもいだす。
『死柄木弔……あれに触れてはならない、忘れる事だ』
そう言われたら、逆に気になるのも仕方がない事で、死柄木はプレハブから離れて闇夜に消えていった。
ーー同刻、九州地方ーー
夜の九州の都会、建物の光と星空に暗雲が立ち込めていた。一台の軽トラックが横転し、茶髪の男はうつ伏せに倒れて、それを見下ろすは銀髪に黒のマスクと灰色のスーツを着た男が、目を赤く光らせて左手を上げる。
まるで世界を自分が従えたような素振りで、男は左手を振り下ろした瞬間、雷鳴が轟き落雷を起こし、ビルが幾つも崩れはじめた。
さらに右手、左手と指揮者の如く動かして道路に、建物に落雷し、火災が、停電が一気に広がり大災害を引き起こした。
「遂に手に入れたか……!」
「これで実現する……」
「私たちの望み……新世界が!」
狼頭の男、キメラが歓喜に拳を固め、赤い布を身体中に巻いた男も、赤髪のセクシーな美女も、彼の立ち姿に遂にと声を上げた。
銀髪の男、ナインは、遂に今この時から全てが始まると、さながら自分が神か教祖にでもなったように両手を広げたーーその次の瞬間だった。
「ーー!?」
ナインが、顔を押さえて膝を屈した。
「ナイン!?」
赤髪の美女が駆け寄る、ナインの手に、顔面に、まるで亀裂のような紫色の模様が現れていた。
「な、なぜだ……何故……」
ナインは自問した、最後の欠片はこの男で埋まったはず、これで自分は完璧なる存在に慣れたはずと、手を見て、自身に問いかけて理解する。
「B型が不足しているーー!」
「なんと!?」
何という事だ、この倒れた男から奪った個性が自身に作用しない……これでは不完全だとナインと、赤布に巻かれた男は絶句した。
「ここまできて振り出しかよーー!くそがっ!!」
キメラがこの結末にふざけるなと吐き捨てる。
「いえーーまだ策はあるわ……」
赤髪の美女が、まだなんとでもなると、倒れた男が見ていたらしいスマホの動画を皆に見せた。そこに映る男女の子供達を見て、ナインは美女の策を理解した。
「そうだった……個性は……遺伝する……!」
個性は、遺伝し、受け継がれ、強くなっていく。希望はまだあると、ナインはつぶやいた。