※この作品はR-18です。

【原作完結】僕の脊髄ぶっこ抜きアカデミア【オリジナルストーリー開始】   作:ぶっこ抜きデク

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scene7 二度目は怒った

「なんでテメェまで付いて来やがるクソヴィラン!!」

 

「本当にヴィランが居たら、戦う時その子を脇に抱えて実力出せるの!?」

 

 夜の那歩の道を二人が疾走する。爆豪は左腕に抱えた活真にナビゲートさせて右手の爆破で飛行し、緑谷は電柱を引き寄せの反動で加速して飛翔する。

 

「俺一人で十分だ!!」

 

「うわ!?」

 

 俺一人で十分だと言う爆豪に、なら万全で戦えるように活真くんの保護が居るだろうとついて来た緑谷。事実それが戦いやすいと真実ではあるので、故に腹が立った爆豪はさらに爆破を強めて緑谷の先を行った。

 

「くそっ……やっぱり離されちゃうなぁ」

 

 改めて爆豪の機動力が羨ましくなるなと、引き寄せによる移動の限界と、田舎故に高い建物が無い事から電柱くらいしか引き寄せれず、自身の機動力が環境に左右され易く、限界が見えてしまうと緑谷は歯噛みした。

 

「おねえちゃあああああああん!!」

 

 爆豪に抱えられた活真が、そのスピードと高度に悲鳴をあげて、どんどん先に進む。

 

 この那歩島には、本島とは別に小島があり、昔の城の跡地があったらしい。文化財にも登録されてないその城塞跡は、島の子供達は遊び場に使うと言う、たった1本の砂浜の道で繋がる島へ向かった爆豪に追いついた緑谷も、肉眼でヴィランの姿を確認した。

 

 巨大なカマキリだ、爆豪が活真を傍に投げ捨てるのを見た。もっと優しくしろよと思いながらも、緑谷は活真の傍に立ち被害が及ばない様に守りに入ったその時ーー。

 

「スタングレネード!!」

 

 爆豪の牽制技が巨大カマキリのヴィランに命中した、しかし効果がないのか腕を振りかぶり叩き潰しにかかる。が、緑谷は違和感を覚えた。

 

「うん?」

 

 緑谷はその動きに、まるで『重さ』を感じなかったのだ、巨大なヴィランの質量を動きから感じないと、振り下ろしたカマキリの腕が着地した爆豪に振り下ろされーー透過した。

 

「偽物ーーホログラムか?」

 

 幻影ヴィランの腕から出て来た爆豪は、そのまま地面を爆破した。その衝撃は前方に向かいーー。

 

「きゃああ!?」

 

 女の子の悲鳴が上がり、城砦跡に隠れていた、見知った女の子の姿を目撃した。ああ、とその時緑谷は理解して、爆豪の元へゆっくり歩き出した。

 

 

 

「幻のヴィランを出したのはお前だな?」

 

 城塞に立ち少女を見下ろし爆豪は、苛立ち混じりに吐き散らし、少女はギクリと震え出した。

 

「え、ど……どうして幻だって……?」

 

「分かるわぁ!影が無ぇんだよ!!」

 

 爆豪は接敵してすぐ、牽制技のスタングレネードによって影が無いと気付いてヴィランが幻だと気付いた様だ。

 

「おいクソガキ、ヒーローをおちょくって楽しいか、ああ!?」

 

「へ……は……」

 

それはさておき、幻影ヴィランを出した犯人、島乃真幌はその怒りの声色と表情に後退りした。

 

「俺はそんじょそこらのヒーローとワケが違ぇ……」

 

 その目がどんどん吊り上がって、怒りに染まるのが真幌にも分かった。

 

「オールマイトを超えて、No.1ヒーローになる男、爆豪勝己だ!!」

 

 糸切り歯が牙に見えてならない、どうしたらそんな目が吊り上がり血走るのかと、いよいよ真幌は子どもながらに理解した。

 

「おちょくる相手を間違えたなぁ!!」

 

 怒らせてはいけない人を怒らせてしまったと。

 

「お、お姉ちゃんを叱らないであげて……」

 

 そんな怒られそうな姉を庇おうと、弟の活真が声をかけたが。

 

「ああ!?オメェもグルかぁ……!!」

 

「ひぃ!?」

 

「ならーー!!」

 

 いよいよもって怒り爆発となった瞬間ーー島乃姉弟は見てしまった。

 

 爆豪の首が、血を吹き出して引きちぎれたのを。

 

「え?」

 

「ふぇ?」

 

 城塞跡から、爆豪の首を失った身体が、噴水の様に血を吹き出して崩れ落ち、真幌の傍に落下する。そして二人は何事かと理解して、見てしまった。

 

「今朝も教えたよね、嘘の要請は偽計業務妨害ってさ?」

 

 その右手に、さっきまで怒っていたヒーローが、脊髄のついた生首姿になっていて、佇む姿は月光による逆光でなんとも恐ろしい。

 

「だめじゃないか、お父さんお母さんに習わなかった?嘘ついたら針千本飲ますってさぁ?」

 

 理解を超えた現象を、子どもながらに理解する。そして島乃姉弟は、まだ小さな子どもながら理解してしまった。

 

 自分達に向けられた、先程の爆豪勝己の怒りはまだ『優しい』ものだったと。最早動けず震えるしかない、二人を包む悪寒の名前は……。

 

『殺意』

 

 今朝は優しく諭してくれたヒーローが、身体を血に染めて笑みを浮かべて二人に言った。

 

「間違えた二人はもう、殺すしかないね?でもいいよね、同じ事する悪い子に……命なんて要らないでしょう?」

 

「ひぃいい!?」

 

「あ、あ……」

 

 島乃姉弟は理解した。

 

 怒らせたらいけないのは爆発のお兄ちゃんじゃなくて、こっちの優しいお兄ちゃんだったと。

 

「テメェクソヴィラン!?久々にやりやがったなぁ!!」

 

「「!?」」

 

 そしてさらに驚愕する、明らかに死んでなければおかしい状態なのに、生首になった爆豪勝己が生きて、緑谷出久に怒声を浴びせたのだ。

 

「だってー……かっちゃんの説教、絶対怒り散らして吐き散らしてぶつけるだけじゃん?そしたらこの子達またやるよ?一旦落ち着いて、この子らに何やらかしたか教えないとさ?」

 

「いいからさっさと戻せや!!巻きついて頚動脈噛み切るぞコラァ!!」

 

「はいはい」

 

 やれやれと溜息を吐いて緑谷は、まだ血を吹き出す爆豪の死体に歩き、その首の断面に頭部を突き刺す。するとどうだ、千切れた筋繊維も血管もみるみる繋がり、再生して……がばっと立ち上がって緑谷の襟首を爆豪は掴み上げた。

 

「よぉクソヴィラン、覚悟はいいか!!」

 

「ごーめんって、かっちゃん、けど、その子達説教してからでいい?」

 

 二人が喧嘩を始めようとしている、この隙に逃げれると二人は感じたのだろう真幌が立ち上がり活真の手を取って逃げようとしたのを緑谷が指差した。それを歯軋りして、納得できないが重要だと理解して嫌々頷いた爆豪に、よろしいと笑った緑谷は、逃げる二人に爆豪と声をかけた。

 

「「おい」」

 

 島乃姉弟は、足を止めて硬直し、二人の方にゆっくり振り返った。

 

「「ちょっとこっちに来い(来なさい)」」

 

 二人して、逃げられないと理解しとトボトボと歩き、緑谷と爆豪の前まで来て見下ろされ……説教が始まるのだった。

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