【原作完結】僕の脊髄ぶっこ抜きアカデミア【オリジナルストーリー開始】 作:ぶっこ抜きデク
「今朝も言ったよね、嘘の通報が罪になるって」
島乃真幌と島乃活真姉弟は、地面の上(草がある場所)で正座させられ、緑谷と爆豪に見下ろされていた。緑谷の言葉に何も言わずにいる二人に、爆豪が舌打ちして追撃をこめる。
「テメェらまさか、俺らがガキだから罪にはならねぇとか心の中で舌出してねぇよな?ああ?」
爆豪も脊髄をぶっこ抜かれて多少はクールダウンしたが、まだ怒りは冷めやらぬと食ってかかる。
「いい、今回のようなケースはあまりにも悪質なんだ……悪戯ですまない、おじいちゃんヒーローなら笑って許される事だったかもしれないけど、何故悪質か分かる?」
そもそもこう言った、イタズラの通報が何故ダメなのか分かるか、その理由は分かるかと二人に尋ねた。まだ黙る二人に、すう……と緑谷は息を吸って再び聞く。
「分かるのか、分からないのか、言え」
「ぴぃい!」
「わ、わかりません……」
真幌は涙を浮かべて震え、活真は思わず分からないと言ってしまった。それを聞いた緑谷は、冷たい眼差しを向けて口を開いた。
「……通報を受けて出動したヒーローや警察は、その情報がたとえ悪戯だろうと、それを事実として必ず出動しなくてはいけない」
「ふぇ……?」
雷が落ちると思った、そんな事すら知らないのか馬鹿タレと。しかし知らないなら何故いけないか、一から緑谷は教えるつもりで活真と真幌に語り出した。
「テメェらはただヒーローがぱっと助けに来ると思ってんだろうが、ヒーローも人間だ、人数も助けに行く場所へ向かう時間も一律じゃあねぇ、公務員でもあるからな、金もかかんだよ」
「嘘の出動ということは、それだけ費用に無駄が出るワケだ人的疲労もある……けどね……これはまだましなんだ、恐ろしいのは……」
その悪戯電話の対応にも国の税金が無駄に支払われている、と言ってもこの子達はイメージは難しいだろう、というわけでと緑谷は分かりやすい例で説明した。
「この悪戯電話で、本当の被害にあった人々を助けに行けなくなった場合だ……仮に今、本当に、キミ達の電話した後事務所にヴィラン襲来の通報があったとしよう……」
最悪なケースをと、今この状況で『本当のヴィラン』が現れた場合どうなるかと緑谷が語り出した。
「嘘の通報に対応した結果……事務所の仲間が気付くまで対応が遅れる、ヴィラン達の被害に即時対応が遅れ、次々と被害者が出るな?今この時にもーー」
「た、例えばの話でーー」
「ああ?」
「ひっ!?」
緑谷の『例えば』という話に、起きてないからいいじゃないかと真幌が言いかけたのを爆豪が睨んで制した。そんな事言える立場かお前はと。
「さぁ大変だ、その中にはキミに優しくしてくれたおじさんおばさんまでもが、被害に遭って最悪死んでしまった……嘘の通報が無ければ死ななかったのに……」
自分の悪戯で、場合によっては人が死ぬ。そう言われた活真は涙ぐんで震え出した、この子は感受性と事態の理解は出来るくらいには成長してるらしい。
「僕たちはバッシングを受ける、仕方ないな助けられなかった……しかしこうもなる、別の通報で対応が遅れたと、さぁ警察が調べるぞ、キミの通報だと分かった……さぁ、どうなる?」
緑谷が二人を指差して、この後どうなるかと尋ねた。真幌も、活真も、答える事ができなかった、ただでさえ自分達の悪戯が下手をしたら島の人たちに被害が出るなんて、目の前の事までしか頭の回らない子どもには難しいから。
「嘘の通報でまず、テメェらの親に怒りの矛先が向くんだよ、ああ?テメェのとこのガキはどうなってんだ、どうしてくれるんだって話になんだよ」
「パ、パパは関係ーー」
「あるんだよ、子どもの責任は親が取るんだから、キミたち憎んでどうしようもないだろ?」
真幌の抵抗に、緑谷が被せて制した。自分がやったから親は関係無いと言いたいが違う、子どもは責任を負えない……だから親が責任を被るしか無いと緑谷は冷たく言い放つ。
「キミたちは牢屋にぶち込めない、子どもだからね?注意で済ませてくれる、けどね……親はその責任を取らされる、嘘の通報やその被害に出た賠償金訴訟、君の父さん母さんは裁判所に出頭して、その民事訴訟を受けるだろうな……島民はどうだ?嘘の通報が無ければ生きていたと、その親族がキミたちを村八分にするかもしれないな……田舎も田舎だ、二度と表を歩けないか、島から追放すらあり得るだろうね」
その全ての責任を、背負うのはキミの両親だと。緑谷出久は島乃姉弟へ残酷に突き付けた。今回キミたちは、場合によってはそれだけのことをしたのだと、緑谷の話を聞いた二人は沈み込んだ。
「ごめんなさい……」
活真が先に謝った、理解してくれたようだった。
がーーこちらは違うみたいだった。真幌はプルプル震え、緑谷を恨めしそうに睨みつけた。
「で?弟は謝ったがキミはーー」
「むん!!」
子供の癇癪というのは恐ろしい、その近づいた一瞬、緑谷の股座に島乃真幌の拳がめり込んだのであった。
「ぬあぁあ!?ああーー」
緑谷は膝から崩れ落ち、股を押さえながら前のめりに倒れて、真幌は活真の手首を握って逃げ出しながら叫んだ。
「バカ!アホ!クソヒーロー!!死んじまえ!!そんちょーに言いつけてやるんだから!!」
「お、お姉ちゃん!」
そのまま逃げていった二人を、爆豪は追わなかった。何故か?目の前でそりゃ愉快な光景があるから、この悪戯電話のイライラも怒りもこれでお釣りが来てしまったからだ。
「ぎゃっはっはっはっはっ!!ナイスパンチじゃねぇかあのガキ!!お、おい大丈夫かクソヴィラン?たま、タマちゃんとあるか?キヒヒヒヒ!」
「あ、ある……あるけど……あーダメだかっちゃん腰叩いて……」
「あっひゃっひゃっひゃっひゃっ!!」
「わ、笑わないでかっちゃん……痛いよぉ……」
緑谷出久は、弱々しく身体を震わせ真っ白になりながら悲しい唸りをあげるのだった。