※この作品はR-18です。

【原作完結】僕の脊髄ぶっこ抜きアカデミア【オリジナルストーリー開始】   作:ぶっこ抜きデク

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scene10 平穏は崩れ去った

「おねえちゃーん」 

 

 島乃活真は、山の上の公園へ走っていた。姉である島乃真幌は走ってきた弟を、ようやく見つけたと心配そうにしながら迎えた。

 

「どこ行ってたの、活真?探したよ?」

 

「イズク兄ちゃんのとこ、昨日の事……謝って来た」

 

 それを聞いた真幌は、驚いて少し固まってから顔を歪めた。

 

「大丈夫?なにも……されてない?」

 

 姉からしたら気が気で無かった、あんな訳のわからない怖い、ヒーローと思えない奴のとこに居て、何かされたに違いないと体のあちこちを確認する。

 

「されてないよ……ちゃんと謝ったら、許して貰えた」

 

「そう……」

 

 本当に何もされてはいないが、姉としては心配してしまう。そんな弟が、何やら眼差しも変わっていて、おどおどしていた雰囲気も何だか消えかかっている事に、真幌は気付いた。

 

「お姉ちゃん……やっぱり、昨日の事、ちゃんとイズク兄ちゃん達に謝りに行こう?」

 

 そんな弟から、昨晩のことはやはり、改めて謝りに行くべきだと言われて、真幌は歯噛みした。何か吹き込まれたんだ、子どもだからこそ諭されても癇癪で理解したくない気持ちは湧き出てしまう。

 

「やっぱり……何か言われたの?そうなんでしょ?」

 

 唯一の、父親以外の肉親で弟だから、姉からすれば離れていく感覚を感じてならなかった。だから、あのヒーローに何か吹き込まれたんだと決めつけて、こっちに引き戻そうとした。

 

「違うよ!やっぱり……悪い事したら、ちゃんと謝らないと……僕がそう思ったんだ……」

 

 そして、子どもだからこそ、まだ理解もできる。弟にここまで言わせてしまった、何より自身の意見をぶつけられた真幌は硬直した。

 

 分かっていたし気づいていた、そして怒られて理解しない程馬鹿ではない。昨晩は逃げて、あんな事をした罪悪感もちゃんとあって、村長に言いつけもしていない。ただ、逃げてしまったから、謝ったら怒られると思った、真幌は服の裾を掴みながら活真に語りかけた。

 

「活真……そうね、うん、ちゃんと謝りにーー」

 

 謝りに行こう、そう言いかけた瞬間、大きな音が響き渡った。

 

「な、何!?」

 

 即座に弟を抱き寄せ、その音がこの公園から見下ろせる港から聞こえたと、ゆっくり二人は近づいた。そして、二人は見た。

 

 この那歩島と石垣島を結ぶフェリーが、本来あり得ないはずの漁港まで乗り出して横転し、転覆していたのだ!

 

 そして、横転したフェリーから三つの人影が降りて、残った一人が何やら撃ち出し始めて、漁船を次々と破壊していく!

 

「ヴィ、ヴィランだ……あれきっとヴィランだ!」

 

 まさか本当に、こんな島に来るなんて!足がすくみ始めた真幌に、活真が声を上げた。

 

「お姉ちゃん!ヒーローに連絡して!」

 

「でも、あいつらまだがくせー……」

 

「イズク兄ちゃんなら助けてくれるよ!」

 

 今はそんな事言ってられない、活真はさっき色々話してくれた出久なら、助けに来てくれると信じて姉に電話を促した。

 

 

 

ーー同刻、A組事務所ーー

 

 

 

「ただいまぁ……いやー、畑仕事すごいわ、腰にくるよ」

 

「おかえり、緑谷くん」

 

「出久くん、お疲れ様ー」

 

 第一次産業のなんと体力のいる事か、普段のヒーロースーツのコートを脱いだインナー姿にタオルで汗を拭いながら、帰還した緑谷はちょうど村長と話していたらしい飯田と麗日に挨拶を交わして、そのまま靴を履き替え中に入った。

 

「その声……昨日のクソガキだな?」

 

 そうしたら、丁度また本日も一度も出動してない爆豪が電話を取っていた。対応からして、また真幌が悪戯電話でもかけて来たかと素通りしようとした緑谷だったーーが。

 

『嘘じゃ無い!本当なんだってば!ばくごー!!』

 

 受話器から漏れた声色が違った、それを耳にした緑谷は即座に爆豪の元に走り、受話器を奪い取った。

 

「な!?テメェクソヴィラン!!」

 

「もしもし!イズクだけど!!」

 

 奪い取った瞬間、最後に聞いたのはーー。

 

『漁港にゔーー』

 

 漁港、その言葉と共に電話は切れ、ツー、ツーと電子音だけが鳴り響いた。明らかに声色が、悪戯の範疇じゃなかった……緑谷はすぐにかけ直そうと受話器を置いて、また取り上げて着信履歴から電話をかけたが、電子音だけしか鳴らなかった。

 

 緑谷はまさか、と携帯を取り出してアンテナを確認する。そして見れば、この島でもしっかりアンテナが立っていた筈が、圏外表示になっていた。

 

「かっちゃん!そっちの携帯圏外になってる!?」

 

 受話器を奪われて苛立つ爆豪だったが、緑谷の表情から危機を理解してスマホを確認し、緑谷に告げた。

 

「圏外になってやがる……」

 

 緑谷はそれを聞いて即座にヒーロースーツのコートを羽織ってブーツを履き直した。恐らくは、まず通信手段を破壊して島を孤立させた、外部への救援をさせないためにと、ヴィランがもう先手を打ったことを理解した。

 

「どうした緑谷くん?慌てて」

 

「何があったん?」

 

「ちょっと出てくる!!」

 

 何故この島に?今になって?それは後だと緑谷は、飯田や麗日に尋ねられたが一言だけ告げて飛び出した。

 

 杞憂であってくれ、電柱や木々を引き寄せ反動で飛翔し、緑谷は漁港に向かった。

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