【原作完結】僕の脊髄ぶっこ抜きアカデミア【オリジナルストーリー開始】 作:ぶっこ抜きデク
「「本当にありがとうございます」」
那歩島役所、荷物を忘れた観光客が待っていたので探し終えて見つけた峰田、青山、葉隠はその観光客から感謝された。
可愛い声だった、芦戸からそう聞いた峰田は張り切って探して見事忘れ物を探し当ててみせた。ここからお近づきになんて邪な思いを胸に抱いて来てみたら……。
「よかったね、まーくん」
「そうだね、みーたん」
カップルであった……最初から邪な思いなど叶わないと知った峰田は、血涙を流しながら事務所で自分を焚き付けた芦戸を恨んだ。カップルじゃねぇかよ芦戸めとプルプル震えるのをよそに、よかったよかったと青山はクルクル回り、葉隠は観光客カップル二人のラブラブっぷりに拍手した。
そんな平和な光景を打ち壊すように、役所の外から爆発音が聞こえた。
「なんだ?」
呑気な台詞を峰田が吐きながら、即座に身体は役所から飛び出していた。青山も葉隠も続けば、島民も観光客も悲鳴をあげて逃げ惑い、パニックに陥っていた。
「ヒーロー!ヴィ、ヴィランだぁ!!」
「ええっ!?」
峰田達を見て頼る島民が逃げながら言う、3人のその目に映るは、赤い包帯のミイラがいくつも宙を舞い、建物も何もかも無差別に破壊する光景だった。
「マジでヴィランじゃねぇか!?」
「唐突すぎるね!」
「なんとかしなくちゃ!!」
今この場にいるのは3人、そして攻撃手段として個性を持っているのは……。
「青山!へそビームだ!!」
「ネビルレーザーだから!!」
へそビームじゃないと、後頭部で腕を組み、腰を突き出し腹部のレンズからレーザーが照射される!単純な攻撃力ならA組上位に入る青山のレーザーが、赤いミイラを次々焼き切ってみせた!
「ほほう?こんな辺境にヒーローが3人も……」
そして、奥から現れた自らも赤い布を身体中に巻き、背中に刀を携えた男がそう言うや、両手を伸ばして赤い布が方々に伸びていく。
車から自販機……様々な物に巻き付くや、それらに手足が生え赤布ミイラになるや、まるで操られたように動き出す!
「逆に増えてるね!?」
「うぁああああ!?は、葉隠!!事務所に連絡を!!」
物量で押してきたミイラを生み出して操るヴィランに、青山のレーザー、峰田のもぎもぎが対抗する。このままでは押し切られるのが目に見えると、葉隠に救援要請をしたがーー。
「で、電話が繋がらない!アンテナ立ってないよ!」
「嘘だろ!?」
絶望の事実に、峰田は叫んだ。
「こ、これ以上撃ち続けると……僕のお腹が……!?」
ヒーロースーツの補助機構により、両肩や両膝のレンズからもビームを放てるようになり、なんとか物量差を耐える青山だが……その先に待つ尊厳破壊とそれを報せる腹痛がいよいよ込み上げてきて青ざめ始めた。
どうすりゃいい、携帯は封じられ、攻撃手段の青山が膝を曲げるのは時間の問題……恐怖心と絶望に峰田は諦めが心から出てきそうになる。が……!
「うぁああああ!!血が出ようが禿げようが、知るかぁあああ!!」
「むぅう!?」
峰田は叫びを上げて、もぎもぎをどんどん投げつけ始めた。その気迫に、赤布のヴィランが少し気圧された。
「青山!!尊厳なんて捨てろ!!おいら、お前がクソ漏らそうが絶対笑わない!!クソ漏らそうが禿げようが、ここで守らなきゃヒーローなんてなれねぇぞ!!」
尊厳も痛みも捨てて、ここで守らなきゃヒーローなんざなれねぇ!!今まで自分の目に焼きついて消えない、一人の返り血を浴びて自分を守ってくれたクラスメイトならそうすると、叫びを上げ峰田は血を流しながら、もぎもぎを投げ続けた。
そしてーーそれを聞いた青山も、諦観……いや、覚悟を決めた。
「葉隠さん……」
「な、何かな?」
「僕の周囲から下がって避難誘導をして欲しい……あと、出来るだけ風の方向に配慮してくれたら嬉しいな」
それを聞いた葉隠は……色々と理解して、見えない体で頷いた。女だからこそ、彼のこれから起こる尊厳を捨てた戦いを、決して見て嘲ってはならないと理解して、葉隠は役場まで走りながら避難誘導を開始した。
「優雅なんて、程遠いけど……傷なんてヒーローは幾らでも負うものだよね……!」
青山の弱まり始めたレーザーが、再び力を取り戻す、赤いミイラを撃ち落としていく。腹も、括約筋も限界が近い……それでも峰田と青山は島民や観光客を守るため、赤布を纏うヴィランの行く手を阻んだ。
「フロッピー!テンタコル!!みんなの避難を最優先に!!」
「わかってる!」
「早くここから離れて!」
同時刻、那歩島ビーチにもヴィランが襲来し、尾白、障子、蛙吹が対応していた。現れた狼頭の巨漢ヴィラン、キメラを相手に尾白が立ち向かい、障子と蛙吹が避難誘導に専念している!
「尾空旋舞!!」
宙を舞い、旋回しながらその遠心力にて鍛え上げた尾を叩きつける尾白の必殺技、尾空旋舞!その勢いある思い一撃を、片腕だけでキメラは防いで見せた。即座に反動を使いバク宙で距離を離し着地した尾白は叫んだ。
「何が目的だ!何故こんなことを!?」
「ヒーローにしちゃあ若ぇなぁ?」
そんな質問に答える義理などあるかと、その異形に相応しい剛力で岩礁の岩を、それぞれの手で軽々持ち上げたキメラは、そのまま尾白に投げつけた!
砂浜に岩石が突き刺さり、回避する尾白、その回避ルートを予測して投げつけた岩石に押しつぶされかけた瞬間、尾白は何かに抱えられ何とか危機を脱した。
「常闇!」
「遅くなった!!」
助けたのは常闇だった、定時パトロールから騒ぎを聞きつけ、間一髪まにあったのであった。そのまま尾白を下ろして砂浜に着地した常闇もヴィランに攻撃を仕掛ける!
「ダークシャドウ!」
『あいよぉ!!』
個性の獣、ダークシャドウが顕現してキメラに襲いかかる!しかし!
「ぬぅん!!」
『ぐぉあぁああ!?』
キメラの力任せな、右のテレフォンパンチがダークシャドウの頭部に命中し、なんと弾き返した!それだけではない、その拳の威力で強風を起こすほどの剛力を示したのである。その強風に転倒する常闇に、尾白は声を上げた。
「スマホが使えない!事務所に戻って応援を!!」
「しかし!!」
「ここは、俺が持ち堪えて見せる!」
連絡手段を断たれた以上、常闇の機動力で応援を呼んでもらった方がいいと確信した尾白は、常闇に託した。応援が来るまで一人で持ち堪えると、尾白はキメラと距離を詰め、常闇は託されたならば行かねばと、再び空を飛んだ。