【原作完結】僕の脊髄ぶっこ抜きアカデミア【オリジナルストーリー開始】 作:ぶっこ抜きデク
「何て有様だ……誰一人逃さないって感じだな」
方々でヴィランと戦闘が始まった最中、漁港に到着した緑谷は横転したフェリーに破壊された漁船と、こちらを逃さないと分かる相手の容赦の無さに舌打ちをした。
さらに、真幌の通報が途中で切れ、スマホの電波が圏外になった事から基地局は既に落とし連絡手段を断ち救援も許さないと理解できる。
それだけの事をして、ヴィランは何をする気だ?何かこの島にあるのかと、真幌の姿を探した緑谷は考えた。何処に逃げる、何処に隠れる?
そして思い出した、今朝のこと、活真くんと別れて鈴村さんから内情を聞かされた。近所の者も様子を見ていると言っていた事に!
「鈴村さんちの近所まで逃げたか!?くそ、間に合ってくれ!!」
被害に遭う前に合流して助けなければ、緑谷はまた来た道を戻って、鈴村さんの家の近所まで飛翔した。
「はー、はー……あ、青山ぁ、いけるかぁ?」
「……」
那歩島役所前、頭皮から血を流す峰田は隣の青山に顔を向けた。意識があるのか分からない、ただ何かを通り越した悟り切った顔で仁王立ちしてひたすらビームを構わず照射している。足元には……既に尊厳が垂れ流しになっていた。
「無様な、ヒーローが血と糞を漏らしてなんとも度し難いな」
そのなんとも無様な姿に赤布のヴィラン、マミーは呆れた。ここまで抵抗してなんになると、それを聞いた峰田はもぎもぎを握りながらマミーを睨みつけた。
「うるせぇよ、勝手言いやがって……いきなり現れて島を無茶苦茶にして、ヴィランが青山を笑うんじゃあねぇよ!」
もぎもぎはこれ以上取ったら頭皮ごと千切れかねない……それでも峰田はさらにもう一つ、もう一つと取って赤布ミイラに投げつけて動きを止める。
しかし、それでも限界は来た。膝をついて崩れる峰田、もはや意識を失ったか立ったまま、レーザーの照射が止まる青山。ここだなと、マミーはついに二人へ止めを刺しに掛かる。
「峰田くん!青山くん!」
葉隠の叫びが響き渡る中、峰田と青山に向かってきた赤布ミイラを、爆発が包み込んだ!
「雑魚に手こずりすぎなんだよ……このモブども!!」
「爆豪……」
「爆豪くん!」
煙の中から、現れたのは爆豪勝己!さらにそれだけではなかった!
「おらぁああ!烈怒頼雄斗参上!!」
「同じく!チャージズマ参上!!」
「仲間が居たか……」
赤布ミイラをその硬質化した拳と雷で、切島と上鳴がどんどん破壊していく!3人の防戦は遂に、仲間達との合流を果たしたのだった!
「皆さん!」
「ヤオモモ!みんな!!」
さらに八百万、耳郎、芦戸が島民の避難誘導の為合流した。が、芦戸が仁王立ちした青山に向かったのを見て、峰田が声を上げた。
「あ、芦戸!青山は、大丈夫だ!!」
「えーー」
芦戸は青山の少し手前に立ち止まる、そしてふと鼻についた匂いに理解した。
「あ、青山はオイラが運ぶよ、だから……他の島民を優先してくれ……」
「……分かった、そこまで青山は頑張ったんだね」
仁王立ちの果て、燃え尽きた青山をそのままに、芦戸は耳郎、八百万、葉隠と避難誘導に向かう。峰田は立ち上がり、とりあえず戦闘の邪魔にならないようにと青山を運ぼうと近づいた。
「峰田くん……ありがとう」
悟り切った青山を見上げ、峰田はヒーロースーツのポケットから、ポケットティッシュを取り出して手渡した。
「とりあえず、役所があるからそこで応急処置してきな」
「……ごめん、多分足りないけど、ありがとう」
ポケットティッシュを持って、青山は堂々と歩いて役所内に入っていく。足跡が茶色かったが、峰田は決して見る事はせず、戦闘を爆豪達にまかせ、避難誘導に向かった。
「ぬぅうああ!!」
「うぁああ!!」
打撃音が、交差する。血を流し、骨が軋む音がする。尾白猿夫はヒーロースーツの胴着を血に染めながら、キメラとの打撃戦で避難する島民や観光客を守っていた。
異形故に凄まじい膂力を何とか受け流せたのは、キメラの一撃一撃が力任せ故だったのもあった。だから受け流し、攻撃を返すもののやはり限界は来てしまう。
「羽虫がぁ!鬱陶しい!!」
「ぐぁああ!!」
均衡は崩れて遂に、キメラの叩きつける右拳を尻尾を盾に防御したが、尾白は吹き飛ばされた。
「尾白ちゃん!」
砂浜を転がる尾白に声を上げる蛙吹、尾白が倒れた以上次は自分が行かねばと、障子は複製椀の拳を握りしめて尾白の代わりにキメラと対峙する。
「オクトブロー!!」
左右合わせ八つの腕が作り出す拳の連撃!しかし!それを放つ前にキメラが手を伸ばし頭蓋を掴み無惨にも止めてみせた!
「そのなり……相当いじめられた口だろ?両親を恨まなかったか?なぁ!?」
「ぐぁああーー!」
お互い異形同士色々あろうに、なぜお前はそっちに居ると聞かれ、頭蓋を軋ませ唸る障子。そこへ、砂煙をあげて走る飯田が勢いをつけた回し蹴りで、キメラの左側頭部を蹴り抜いた。
「障子くん!」
「ここは俺らに任せろ!!」
キメラが手を離した障子を回収し、即座に飯田が離脱するや、そこに轟が合わせた!氷の波がキメラの足を凍結し、動きを止めた。
「尾白を頼む!」
さらにダメ押しと瀬呂のテープがキメラを拘束した!
「今だ!常闇くん砂藤くん!!」
これで決めてしまえと、空中から常闇が砂藤を抱え上げて、そのままキメラ向けて放り投げた!
「シュガァアア!ラッシュっァアアアアアアアア!!」
気合を込めた声と共に、必殺のラッシュパンチを叩き込みに掛かる砂藤だったが……。
「図に乗るなぁああああ!!」
キメラは叫びを上げて足元の氷と瀬呂のテープ拘束を力任せに破壊して抜け出して腕を振りかぶった。
「な!?」
まともに受けたらまずい!その危機感から防御態勢に移行した砂藤は腕を交差させ防御態勢に入る、しかし!防御の上からキメラが殴り抜き、砂藤は二転三転し、岩場に叩きつけられた!
「砂藤くん!!」
果てしない剛力!シュガードープで強化した砂藤が小石のように吹き飛ぶ様は、救援に来た飯田達を驚愕させた。
「おいおい……ガキばっかとは言え、ヒーロー増えすぎだろ……!」
A組の面々は、それこそアクシデントでヴィランと対峙して来た。しかしこのヴィランは、そんな過去対峙した誰よりも脅威かもしれない、向かってくるキメラを前に轟達は決して島民や観光客には被害は出さないと、気持ちを引き締めて立ち向かった!