【原作完結】僕の脊髄ぶっこ抜きアカデミア【オリジナルストーリー開始】 作:ぶっこ抜きデク
「それで、どうする?降参して捕まる?それとも、右腕二度と使えなくされてから捕まる?」
腕を十字固めに捻り上げ、さらに後頭部を脛で押さえて完璧に拘束した緑谷は、このまま降参か、腕を破壊されて泣かされて降参するかとナインに選択させた。
力を緩めず、体重もかけて、何かした瞬間に腕を破壊するギリギリまで締め上げ油断はしていなかった。
「……そうだな……答えは……」
ナインが身体の力を緩めたのを感じ、降参を選んだかと、それでも最後まで力を緩めず緑谷は腕を締め上げていた……だが!
「こうだ」
「は?」
想像の上を行く、攻撃方法により緑谷は腕を離すしかなかった。その衝撃、圧力、浮遊感と景色の切り替わりが、緑谷を襲った!
「ぐぁあ!?あああ!!」
緑谷を襲ったのは、爪弾でも、衝撃波でも、ましてや空気の壁でもない!
龍!!まさかの巨大な龍が、ナインの背中から現れて緑谷の胴体に噛みつき引き剥がすや、そのまま空に浮き上がり、地面に叩きつけた!
「がっはぁああ!?」
地面が割れる、土煙が巻き上がる、さしものタフネスの緑谷も、意識外と想像を遥かに超える切り返しをされ、まともに攻撃を受けて、意識の混濁と衝撃により肋骨が折れ、横隔膜がせり上がり息が止まった。
背中から龍を召喚なんて、流石に想像もつかない!初見殺しで一気に形勢は逆転され、林を超えて土手に叩きつけられた緑谷は、呻きながら身体を起こして視界に映ったものに驚愕する!
「イズク……にいちゃん?」
「イズクにいちゃん!!」
「!?」
逃げろと言った筈の、すでに遠くまで逃げていたと思っていた島乃真幌と活真が、まだ留まっていて叩きつけられた緑谷の元に駆け寄った。
「な、何をして……逃げ……て……」
まずい、実にまずい。二人が逃げていたならまだ気力を振り絞って戦えた。しかし、あのナインというヴィランが狙っているのはこの二人である。
二人を守りながら、今の自分は存分に戦うことはできない!林から歩いて出てきたナインが、爪を緑谷に向ける!
無論ーー背後に守るべき存在が居れば、ヒーローは避けることなど出来ない。
両腕を広げ、二人を守った緑谷の肉体を、紫色の爪の弾丸が無慈悲に貫いた。
「あうっーー」
「「イズク兄ちゃん!!」」
膝の力が抜ける、片膝をついたが緑谷は意識を無理やり繋ぎ止めてナインを睨みつけ、二人を守る様に両手を広げた。
「早く……逃げ……て……」
逃げろ、そう言われても、目の前で自分を守ってくれているヒーローをそのまま置いていけない。死んでしまうと二人は震えながらその背中を見続けた。
「いや……いやぁ……」
絞り出す様な真幌の声、ヴィランのその無慈悲な手が、緑谷に、自分たちに向けられる!
「いやぁああああああああ!!」
限界が来た真幌は、巨大な幻影を作り上げながら叫んだ。
その幻影を……最初に見たのは、ビーチからの避難民を誘導する障子だった。
「何だ……あれは?」
遊園地の巨大バルーンのような、ファンシーながらその姿は見ればわかる特徴を捉えていた。避難民も、誘導していたA組の者達も、その姿を間違うはずが無い。
「イズクくん?」
麗日お茶子が、その名前を呼んだ。緑谷出久、イーヴルヒーローイズクが、巨大でファンシーな姿で現れ、微かにだが聞こえた。
『誰か!誰かイズクを、イズクを守ってぇええええ!!』
その叫びが聞こえたのか、はたまた丁度見つけただけなのか、現れたその男は、ナインを横から爆破した。
「爆破の個性……?」
その爆破も、空気の障壁で防ぎながら現れた新手の個性を分析しながらナインは呟く。
「見つけたぜ……クソヴィラン!!」
どちらをそう呼んだのか、緑谷の前に爆豪勝己は合流し、追い詰められたイズクを一瞥して舌打ちした。
「クソが!お前が居ながら何やられかけてんだ!ああ!?この、クソ雑魚ヴィランが!!」
「ごめん……かっちゃん」
ああ、耳が痛い、苦笑するしかないと緑谷は片膝をつきながら爆豪に謝った。
「あの人ーー」
「バクゴー!」
助けを呼ぶ声に現れた、そのヒーローの姿に二人は声をあげる。
「ガキども!よく見とけ!!ナンバーワンヒーローになる男の……強さをなぁ!!」
その宣言と共に、爆豪は爆破の推進力で一気にナインに踏み込んだ!即座に障壁を展開したナイン、しかし爆豪はそのまま頭上を錐揉み回転して背後に回り込む!
「もらったぁ!!」
しかし、振り返ったナインはさせぬと爪の弾丸を掃射!即座に回避に切り替えた爆豪へ、ナインは衝撃波を叩き込み、緑谷達の前に爆豪が落下する!
叩きつけられた爆豪を見て、緑谷も屈したままでいられるかと、ゆっくり立ち上がった。
「かっちゃん……あいつは、個性をいくつも持ってる……空気の盾、衝撃波、爪の弾丸に……あと背中からドラゴン出してくるし……個性も奪ってくる!」
情報の共有を即座に開始し、爆豪も立ち上がってクソがと吐き散らした。
「AFOもどきか……どうりであの顔キンタマみてぇと思ったら……」
神野の事を嫌でも思い出す、苛立ちが募る爆豪に緑谷はさらに重要な事を話した。
「ああ、あとペドフィリアだ、いの一番にこの二人を狙ってきたからね……」
それを聞いた爆豪は、一度緑谷の方に振り向いて、マジかよと真顔になり、緑谷が頷いて戦慄した。
「顔キンタマ野郎と同じ個性で、しかも小児性愛者か……なら、なおさらぶっ潰さねぇとなぁ!!」
「同感だ……教育に悪い!」
痛みを押し殺し、爆豪の隣に立ち、緑谷は改めて拳を握りしめた。
「邪魔すんじゃあねえぞ!クソ雑魚ヴィラン!!」
「わかってる……名誉挽回といこうか!」
言葉を交わし、同時にナイン向けて突貫した二人。そしてナインは……。
「誰が……ペドフィリアか!!私はノーマルだ!!」
流石に謂れのないレッテルにいよいよ怒り、二人へ爪弾を掃射した。