【原作完結】僕の脊髄ぶっこ抜きアカデミア【オリジナルストーリー開始】 作:ぶっこ抜きデク
避難民が寝静まり、静寂が広がる避難所の工場。応急治療室として布団が敷かれた宿直室には、緑谷と爆豪が寝かされて、その二人の間で島乃活真は二人に左右の手を伸ばして触れて、緑の光を灯していた。
「活真、少し寝ないと……」
傍で心配する姉の真幌が言う。もう、あれから何時間、普段なら寝る時間も超えて活真は二人の治療を行っていた。
父親から受け継いだ個性『細胞活性』それが、活真の個性。しかし、父親の細胞活性よりも、世代を跨いだが故に強くなっていた。
「ううん、まだやる」
それでも、二人は目覚めない。だから目覚めるまで、治るまで活真は二人に個性を使う気だった。
「でも……」
「やるんだ……!」
姉の静止を振り払い、続ける活真。助けてもらった、雷が落ちて感電して、それでもヴィランの足首を掴んで自分を助けてくれた、二人は諦めなかった。
だから活真も諦めない、ヒーローは諦めないんだと個性を使い続け。
その願いと思いに個性が応えたのか……弱かった緑色の輝きが、緑谷と爆豪の全身を包み込んだ。
「ぐっ……」
「バクゴー!?」
最初に意識を取り戻し、呻いたのは爆豪だった。そしてーー。
「はっ!?」
「うわぁあ!!出久兄ちゃん!?いきなり目を開かないで!!怖いよ!!」
ビガァアアアン!!と一気に両方の瞼がこじ開けられた、と言うしか無い勢いで、緑谷は目を覚ました。
同刻、避難所の工場は会議室。ここには八百万によって作られた日用品を保管した段ボールが積み上げられていた、A組はそこに集まり、改めて現状を整理して委員長の飯田の進行で対策会議を行なっていた。
「まずは現状の報告、通信、電力網が破壊され、救援を呼ぶ事はできない……」
「……先程、救難信号を発信するドローンを創造し、本島に発進させました……到着は早くて6時間後、救助が来るにはさらに時間がかかりますわ」
ヴィランたちの襲撃により、通信基地局及び、電力網が破壊されて本島への救援は遮られた。個性を使い続け、限界が近い八百万は、備え付けの椅子に寝て休むくらいに憔悴し切っていた。
救難ドローンを飛ばしたが、それに気づいて本島のヒーローや自衛隊が来るまでの時間は……あまりに長い、孤立無援状態であると纏められる。
「それまで……ヴィランが待ってくれると思えない……」
そんな時間をヴィランが待つとは思えない、また襲撃が来るだろうと尾白は予見する。
「今我々がやるべき最優先事項は……島の人々を守り抜く事……」
そして今、自分たちがやるべき事はただ一つ、島民や観光客を守り抜く事だと飯田は結論つけた。
「どうやって?」
「緑谷と爆豪をあそこまで痛めつけたヴィランだぞぉ……」
それで、如何にして守るんだと砂藤の質問に、峰田は包帯を巻いた頭を押さえながら唸った。こと、ヴィラン退治では最高戦力の二人があんなにボロボロにされた強いヴィランを相手にどうすればと、精神的支柱を打ち壊された峰田が弱音を吐くのも分かってしまう。
「俺らが戦った奴も、かなりの手だれだった……島のヒーローでも無い、武道家に助けられちまった……」
「武道家?」
ビーチでヴィランと接敵した轟も、苦戦した実力だったと言うコメントに、切島が尋ねた。
「いきなり現れてね……避難してないらしい、この豪雨の中だから探しに行こうにも……」
飯田も当事者だった、あの後名も知らぬ武道家は避難したと思ったが、この場に訪れてない。ヒーローである自分たちが助けられてしまったと言う自責と、安否の心配でならなかった。
「戦うにしても、ヤオモモや上鳴は個性かなり使っちゃってるし……」
「ウエェイ……」
「分かってるだけでも、ヴィランはまだ3人居るわ……」
「一斉に襲われたらひとたまりもねぇぞ……」
「せめて、ヴィランの目的が分かれば……」
「うん、対策も立てられんのに……」
戦うにしても、逃げるにしても、目的が分からなければどんな選択がいいのか分からない。何故ヴィランは突然現れた?その理由は……と皆が考えるなか、そこに一人声をあげて入って来た者が居た。
「ヴィランが狙ってるのは……僕だよ!」
「な、なんだって?」
島乃活真が、雄英生徒達の前に現れ言い放った。姉の真幌は止めたらしい、伸ばした手が弱々しく降りていた。聞き直して来た飯田に、活真はしっかり答え直した。
「僕の個性を奪うって言ってた!」
「個性の強奪?」
「まるで、AFOみたいね……」
信じ難いとも感じたが、緑谷と爆豪が守っていたのがこの子であった事から信憑性は十分だった。
「でも、ヴィランの目的はわかった!」
「この子を連れて逃げれば……」
麗日はそれなら話が早いと意気込み、なら、活真くんを連れて逃げればと芦戸が言いかけた、しかしそれに待ったをかける者が居た。
「そう簡単にはいかねぇ……相手はヴィランだ、この子を差し出さないと、島民を殺すとか言い出しかねねぇ……」
相手はヴィラン、目的のために手段を選ぶ事はない。そんな安易な考えは通らないしさせては貰えないと轟は言い切る。
「じゃあ、どうすりゃいいんだよ……」
峰田が頭を抱えて弱音を溢し、それを聞いた活真は、少し震え、そして言い放つ。
「僕をヴィランに渡して!!」
活真は言った、僕をヴィランに渡して欲しいと。
「殺さないって言ってた、僕の個性なんか無くなったっていい……それで、島の皆んなが助かるなら……」
これ以上島の人が傷つくなら、被害が広がるくらいなら、自分がヴィランに個性を渡してしまえばいいと、自己犠牲の提案を言い放つ活真。
「そんな事、する必要無いよ活真くん」
しかし、それは絶対ダメだと、会議室入り口から現れた一人が声をあげた。
「出久くん……!」
「緑谷くん!平気なのか!?」
ヴィランと戦い、大怪我をした緑谷が目を覚まし、皆の前に現れた。意識を失い、処置は本島の病院でなければ無理だと言われた怪我であったのにだ。
「活真くんのおかげだ……細胞活性、新陳代謝の増幅にドーピング効果……そのおかげで完全復活したよ、あの玉無しにしてやったヴィランが奪いたいわけだ」
緑谷はそのまま、活真に膝をついて目線を合わせてその手を握って言った。
「ありがとう、小さなヒーロー……今度は、僕が活真くんを守る番だ、だから……そんな自分を犠牲にする必要も、言う事も無いよ」
「出久兄ちゃん……」
今のキミは、僕にとってヒーローだ、その感謝を込めて、そして必ず守ると言う誓いを緑谷は活真に立てた。
「要するに……あのクソヴィランどもを、ぶっ殺せばいいだけの事だろうが」
「爆豪!?」
そして、その活真の個性に救われたのはもう一人、爆豪勝己も目を覚まし現れ、切島が驚く。扉に背中を預けて眺めていた爆豪に、緑谷は振り返って爆豪を見つめた。
「かっちゃん……お互い、やられっぱなしは嫌だよね」
「負けちゃあいねぇんだよ……テメェこそ、苛立ってんだろ?」
「キミの方こそギラついてるくせに……」
互いに、あのナインには最後の最後に辛酸を舐めさせられた。ここで終われない、そして、ヒーローがヴィランに屈するなどあり得ないと、緑谷は再度活真と真幌に振り向いた。
「必ず、君たちを守る……例えこの手を血に汚しても!」
「ヴィランどもをぶっ潰す!」
「島の人たちも絶対助ける!」
「絶対に勝つ!」
二人の決意を込めた言葉に、轟が頷いた。
「爆豪、緑谷……その意見乗った!」
「私も!島の人たちを守りたい!戦おう!!」
決意は伝播する、麗日も島の人たちを守るために戦うと決意を固めた!
「しゃーねーなー……松田さん家の耕運機、直さなきゃウェイだし!」
「俺だって……佐藤のお婆さんには長生きして欲しいと思っている!」
疲れ切った上鳴も、そして苦渋を舐めた飯田も戦う事を選択した。
「俺もやるぜぇ!」
「俺もだ」
切島も、常闇も。
「うちも!」
「勿論!」
耳郎も、葉隠も。
「俺も!」
「ああ!」
瀬呂も、尾白も。
「あたしも!」
「ケロっ!」
芦戸、蛙吹も。
「よっしゃやろうぜー!」
「うん、やろう!」
「やるしかないネ!」
峰田、口田、青山も、
「俺たちはヒーローなんだ!」
「不可能なんて乗り越えてみせる!」
砂藤、障子も、この場に居る全員に緑谷と爆豪の闘志が伝播し、立ち上がる!
「いつも、言ってますもの……」
そして……最早個性限界が来ていた八百万も、椅子から立ち上がりふらつきながらも決意を見せて、いつも自分たちに言い聞かせる言葉があったと皆に言った。飯田はそれに頷き、拳を握り締めて号令を放つ!
「さらに向こうへ!!」
「「「プルス・ウルトラ!!!」」」
こうして、雄英高校1ーA全員、ヴィランと戦う事を決意したのであった。
ーーー
「心優しき戦士よ 新たなる力を身に付け雄々しく邪悪を打ち倒せ 空しき闇を引き裂く雷の輝きが 汝とともにあらんことを」
ーーー