※この作品はR-18です。

【原作完結】僕の脊髄ぶっこ抜きアカデミア【オリジナルストーリー開始】   作:ぶっこ抜きデク

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scene29 ヒーローは死なず

scene29 ヒーローは死なず

 

 緑谷と爆豪がやられた……信じたく無いが跡形もなく消し飛んだ。即座に島乃姉弟護衛組は、避難に行動を切り替えた。

 

「障子、活真くん達を連れて脱出を……」

「頼んだよ」

 

 二人の死に泣きじゃくる活真と真幌を抱き抱えながら、障子目蔵はその任務と、尾白と耳郎二人が殿としての覚悟を決めたのを表情から察して、マスクの下で歯を食いしばるがその頼みに頷く。

 

「わかった……!」

 

 託されたのだ、必ず守ると二人に背を向け、駆け出す障子に尾白と耳郎は頷く。

 

「絶対に食い止めるぞ!」

「うん!」

 

 吹き飛ばされた二人の敵討ちではない、活真と真幌を守る為にと、悲しむ暇はないと二人は城砦を飛び降りナインに向かう。そのナインは、ふらつく足取りながら障子が目的の活真を抱えているのをその目に捉えた。

 

「見つけたぁ……ぐぅう!?」

 

 だが、ナインも満身創痍であった。度重なる個性乱用による細胞破壊、そこから来る発作が歩みを止めようと警鐘を鳴らす!

 

「ハートビート・ファズ!!」

「尾空旋舞!!」

 

 城砦の橋にさしかかった瞬間、ナインの前後から耳郎と尾白がそれぞれの必殺技を叩き込んだ!石橋が破壊され崩落し、ナインもそれに巻き込まれ落ちていく!上手くいったと二人して笑む暇もなく、下から現れた龍が、尾白と耳郎に噛みついた!

 

「がぁああ!?」

「尾白!!うぁああ!?」

 

 そのまま二人は石壁に思い切り叩きつけられた。ナインはその龍を杭代わりにして固定して引き上げ、一気に目的へと城砦跡を上って行く。

 

 そしてーー遂にナインは追いついた。

 

「脱出経路を!ーーはっ!?」

 

 気配を察知した障子は振り返り、放たれていた爪弾を素手で弾けば、血の飛沫が舞った。さらに放たれて向かって来た爪弾の雨に、尾白は活真と真幌を庇う様に背中を向けた。ほぼ全てが背中に命中した衝撃には、障子の意思すら関係無く二人を手放してしまった。

 

「きゃああ!」

 

 投げ出された二人が見たのは、両膝をついて倒れそうになった障子が、倒れまいと即座にその複製腕を広げて二人を守ろうとして、片足を踏み締め立ちあがろうとする姿だった。

 

「に……逃げろ……走れ……!」

 

 自分はここまでだと、障子の姿に島乃姉弟は涙が溢れた。自分たちを逃すために、まだ仮免許の学生ヒーローが、命を投げ打って守っている事実が二人の心を締め付ける。

 

 もうやめてと、それでも……。

 

「二人とも、逃げてぇ……」

 

 音波の波動、叩きつけられてなお立ち上がり復帰して来た、耳郎の足のスピーカーに繋がれたイヤホンジャックによる個性の力が、ナインに障壁を作らせ足を止める!

 

「早く!」

「行けぇええ……!!」

 

 尾白も、せめて1秒、一瞬でもナインを止めに立ち上がり、障子もナインへ殴りかかった。

 

 そんなヒーロー達の抵抗も……一撃の衝撃波に弾かれて、3人とも遠くの石壁を粉砕する勢いで吹き飛んだ。

 

 二人を守るヒーローは……もう居ない。彼を阻む障害は、もう無い。

 

 逃げなければならない、ヒーローに言われた通り。細胞が死滅して行く、時間がない。

 

 狙われているのは自分だけだ。早く、つかまえねば。

 

「活真逃げて」

「お、お姉ちゃん……」

「いいから逃げて!」

 

 先に生まれた姉として、狙われている弟を逃すため、泣きながら真幌は立ち上がり、ナインの前に立ちはだかる!

 

「来るな!私の弟に、手を出すな!!」

 

 足取りが重たいナインの必死な形相を前に、手を広げ阻む真幌。しかし、歩みは止まらない。

 

「来るなってーーー!!」

 

 癇癪の様に腕を振り上げ殴りかかるも、相手は大の大人。ナインの手は、真幌のそのか細い首を後ろから鷲掴みにして持ち上げた。

 

「お姉ちゃん!!」

 

 苦しむナインは、最早最初の余裕は無い。逃げてしまえば、ナインはやがて細胞破壊により死に絶えるのが自身にも分かっていた。

 

「ぐ、が……こいつの命が惜しければ、こちらに来い!!」

 

 なんたる無様か、王となるなどほざいた男は、年端もいかぬ子を人質にして、目的に来させようと必死だ!チンピラと変わらない所業をしてでも、その個性を欲していた!

 

「だめ……逃げて!!」

 

 血を分けた姉の願い、活真は迫られた。姉のために個性を渡すか!姉を殺して生き延びて、このヴィランを、戦いを終わらせるか。

 

 逃げれば助かる、けど姉が死ぬ。捧げれば姉は助かる……けど、この先……目の前のヴィランが自分の個性で悪事を働く。

 

「逃げて……」

「叶えさせてくれ、私の……願いを……」

 

 ナインの手に力が入る。簡単に首を砕けそうな力……足が震え出す、逃げるか、捧げるか……違う!!

 

「いやだぁあああああ!!」

 

 活真の足は、ナインと姉の方に走り出していた。

 

「僕が守る!!僕がお姉ちゃんを、守るんだぁああああ!!」

 

 捧げる気も、逃げる気も無い!叫びを上げて、恐怖を押し殺して叫びながら手を振り上げ、活真はナインに立ち向かった!!

 

 無謀と勇気を履き違えた特攻!ナインは真幌を投げ飛ばし、右手を使ってくる活真に向け伸ばした!!

 

 勝った!!これで全て、自分の目的も、何もかもが叶うーーその手が、活真の頭に触れかかった瞬間!!

 

「スマァアアアアアアアッシュゥウウウアアア!!」

 

 ナインの左頬に、凄まじい衝撃が広がった。

 

 その一撃は……ナインの左頬骨から左側頭骨を砕き、さらにそのヒビは左前頭骨まで広がり、ナインを自動車事故の様に吹き飛ばした!!

 

 目を見開く活真、その瞬間は、一生忘れないだろう。

 

 緑谷出久……イーヴルヒーロー・イズクの右跳び膝蹴りが、ナインの左頬を蹴り貫いた瞬間を!!

 

 スタッ!と活真の前に降り立ち、ゆっくり立ち上がる出久は、活真を見下ろして左手の親指を立ててニッカリ笑った。

 

「遅れてごめん、よく頑張ったね活真くん!凄いよ!!」

 

 そして、投げ飛ばされた真幌を見事にキャッチした者が居た!

 

「バクゴー……生きて……」

 

 爆豪勝己は、真幌を下ろして立たせ、安堵する真幌にぶっきらぼうに言い放つ。

 

「言っただろうが、俺はオールマイトを超えて、ナンバーワンヒーローになる男だってなぁ!!」

 

 あの稲妻に消し飛ばされていなかった、二人は並び立つ。彼方に蹴り飛ばされたナインが立ち上がるのを見て、緑谷は背後に居る活真に言う。

 

「真幌ちゃんを連れて逃げて、ここから先は……少々グロテスクになるよ」

 

「うん!お姉ちゃん!!」

 

 緑谷に言われた活真は、すぐに姉の真幌の手を取り駆け出した。それを足音で離れてる言ったと確認した緑谷は、一度爆豪の方を見てから息をゆっくり吐いた。

 

 腹から湧き立つ怒りを!許さないと言う意思を!一気に沸騰させて!緑谷の腰にベルトが……ブラックマイトドライバーが現れる!

 

「ナイン……活真くんを、島の人たちを自分勝手な目的で泣かせて、被害を出したその所業……断じてゆ゙る゙ざん゙!!」

 

 両手を握りしめて力を込め、そして片腕を勢いよく伸ばし円を頭上で描き、緑谷は叫んだ!

 

「変……身!!」

 

 無機質な駆動音が響き渡り、ベルトが稼働する。生き物の様な触手がベルトから現れ、緑谷を包む混み、漆黒の化け物へと姿を変えーー。

 

 いや……さらに、金色の稲妻がほど走り、その肩に、膝に、胴体に!!金色の線を刻み込んだ。

 

「あいっかわらず……テメェのそれはわけわかんねぇな……」

 

 幼馴染すら理解できんと、変容した姿に舌打ちする。だが、姿はなんであれ今目の前の敵を倒すのは変わらない。

 

 緑谷出久……象徴の鎧『雷鳴漆黒』

 

 装着完了!!

 

 残り戦闘時間……30秒!!




・象徴の鎧『雷鳴漆黒』

緑谷出久のブラックマイトドライバーが、ナインの雷を浴び、そして活真の治癒の果てに進化した新たな姿!!漆黒の鎧に金の装飾が現れた強化形態だぞ!!

制限時間は……99.9秒から減って30秒!!

漆黒より継戦能力は無いが、OFA100%が常時発動!!さらに変身が解除後も、個性使用が可能な短期決戦仕様の変身なのだ!
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