【原作完結】僕の脊髄ぶっこ抜きアカデミア【オリジナルストーリー開始】 作:ぶっこ抜きデク
scene33 抱えている物
「緑谷少年!緑谷少年!!」
「は!?」
「どぁあほぁあ!?」
「あいたぁああ!?」
自分を呼ぶ声が聞こえて、緑谷出久は目を覚まして起き上がり、早速額に衝撃が来てもんどり打った、そして声の主もまた顎を押さえて蹲っていた。
「は?あ、え?オールマイト!?何故!?」
「ほ、ホークスから報せがあってね!救助隊より先に、私が来たわけだ!」
吐血じゃない、口の中切ったらしい流れ血を気にせず親指を立てて、オールマイトは決め台詞と共に笑顔を見せた。オールマイトの言葉を聞いて、緑谷は傍のパラシュートが目に入り、ああそうかと理解する。八百万さんのドローンによる救難信号が、ちゃんと届いたのかと。
「すぐに九州や沖縄から、ヒーローと自衛隊が救助に来るよ……よく頑張ったね」
「……それは、A組みんなに言ってください、皆満身創痍で、いっぱいいっぱいでしたから」
ねぎらいの言葉は皆にかけてくれ、自分だけに来ているようだと苦笑する緑谷。そうか、終わったんだ、やっと……ヴィランを退けたんだと安堵したのも束の間……。
「あ……い!?いたぁああああ!!」
さしものタフな緑谷も、全身の激痛に叫びをあげた。その声に気付いたらしい、爆豪も目を覚ましてゆっくり上体をあげた。
「爆豪少年!よかった、キミも意識を取り戻したか……」
怪我は酷いが意識を取り戻したのは安心だとオールマイトが言う。爆豪は、そのままオールマイトと緑谷の方に向いて……しばらくしてから口を開いた。
「別れたワン・フォー・オール」
「「!?」」
起きた開口一番に、オールマイトは愕然とし、痛みに呻く緑谷すら、その痛みが彼方に吹き飛んで忘れ去られる衝撃を受けた。
「神野の怨霊忍者……AFO因子……テメェ……どれだけ抱えてんだ……?」
「…………」
それは、自分とオールマイト、そしてOFAを知る関係者だけの秘密。何故、どこで、今になってかっちゃんがと……緑谷は唖然として黙ったが……ああと、理由を理解した。
「もしかして……融合した時に?」
「見ちまった……」
あのいつも眉間に皺を寄せ、何かに苛立つ爆豪勝己の表情が真顔になっている。緑谷との融合により変身した爆豪は、緑谷の深層世界で緑谷の様々な物を覗いた……いや、一つになったが故に流れ込んでしまった、が正しいか……兎も角緑谷の秘密全てを知ってしまったらしい。
「……悪態も、罵詈雑言も、甘んじて受けるよ……かっちゃんにとっては、嫌なことばかりだし」
知られた以上仕方がない、叱責も罵声も甘んじて受けると宣う緑谷に……爆豪は何も言わずに寝転んだ。
「後で詳しく聞かせろ……今はもう疲れた……腕も痛ぇし……」
不貞寝のように爆豪はそのまま横になり、寝息を立て始めた。まさか……配慮してくれた?あの爆豪勝己が?緑谷はぽかんと寝息を立てる爆豪の背中を見つめ、オールマイトも何も言えずにその背中を見るしかできなかった。
「……オールマイト……このプログラムが終わって雄英に帰ったら……かっちゃんに話をしても……」
「そうだな……私も、語らねばなるまい」
今まで隠してきた責任が二人にはある……それを果たさねばなるまいと決める二人。やがて、幾つものヘリコプターの音が近づいてきて、ヒーローと自衛隊の救助チームは到着した。
それからと言うもの、ヒーローと自衛隊の協力により、那歩島島民、及び観光客、雄英高校1年A組は救助された。
ヒーロー公安委員会によるヒーロー育成プロジェクトは、このヴィラン襲撃により途中ではあるが中止とされた。
しかし、島の被害も酷くA組は、怪我が無い者、そして治った者から自主的に、規定の期日まで島の復興作業の手伝いに参加した。
襲撃したヴィラン、4名の内3名は行方不明。唯一逮捕された女性のヴィラン、スライスだけはそのまま本国に移送となった。
様々な被害と、謎を残したヒーロー育成プロジェクトは、そうして終わりを告げるのだった。