【原作完結】僕の脊髄ぶっこ抜きアカデミア【オリジナルストーリー開始】 作:ぶっこ抜きデク
プロローグ1 クリスマスにはシャケを食え!!
二学期末試験代わりの、ヒーロー公安委員会による『ヒーロー活動推進プロジェクト』による、那歩島でのヒーロー活動は、波瀾万丈の内容ながら終わる事ができた。
常夏の島から真冬の本島に帰還した寒暖差に風邪をひきそうになるも、これで雄英高校の二学期の行事は全て終わった。学業と訓練漬けの毎日……そんな雄英1年A組にも、学生として安息の一日が訪れていた。
「緑谷出久さんでよろしいですか?ではこちらにハンコかサインお願いします」
「はい、おつかれ様です、ありがとうございます」
雄英高校内裏側搬入口、緑谷出久は宅配業者からスチロールボックスを受け取り、伝票に印鑑を押した。長い発泡スチロールだった、それが3箱『要冷蔵』とステッカーが貼られている。口笛を吹きながら台車積み上げて押して、緑谷は1-Aアライアンス寮に向かった。
「ただいまー、砂藤くんちょっと搬入手伝ってー」
「おぉ!?なんだ緑谷、その大層な箱!!何を頼んだんだ?」
台車に積まれた発泡スチロールを見て驚く砂藤。何を買い付けてきたんだとキッチンから出てきた砂藤が近寄ってきた。今日の行事にシュガーマンの彼は大忙しだろう、発泡スチロールのテープを剥がして緑谷は中身を見せて、砂藤はさらに驚いた。
「こりゃまた立派な……けどなんでまたこれを?」
「クリスマスには欠かせないでしょう、と言うわけで何品か作りたいんだけど、スペースある?」
「充分にあるから心配すんな」
そう、今日はクリスマスだ。二学期を終えて、終業式も終わった雄英高校。三学期までの冬休みに入るが、全寮制となってしまい、今年の様々な事件もあり実家に帰る事ができなくなってしまったA組は、皆でクリスマスパーティーをする事にしたのだった。
飾り付けに勤しむ者、買い出しに行く者、そしてパーティーのご馳走を作る者と分担する中、緑谷は砂藤と共に料理を担当する事になった……そして頼んでいた物が丁度届いて、いよいよ作るわけだ。
「そう言えば、ケーキは何焼くの?ショートケーキ?」
「それとブッシュドノエルも作る、20人にお客さんも来るしな」
「いいねぇ……あ、シャンメリー頼んだっけ?」
「頼んでたぞ、買い出し組がリスト確認してたの見た」
エプロンを着ながら、砂藤と他愛もない会話をして緑谷はまな板に向かう。つい先日まで、島でヴィランと命のやり取りしていたなんて思えないくらいに平和だなぁと、緑谷は箱から取り出したそれをまな板にドスンと置いた。
諸君らに一つ問いかけよう、クリスマスに欠かせない物は何か?
サンタクロース?クリスマスプレゼント?クリスマスツリーにケーキに七面鳥?日本人ならばケン◯ッキーのクリスマスバーレルに31のアイスケーキなんて出てくるだろう。
そう!!クリスマスには……!!
「クリスマスには……いや!日本人ならシャケを食え!!」
「いや何でだよ!?」
「どうしたんだい緑谷くん!?今日は何だがテンションがおかしくないか!?」
夕方、緑谷はそんなクリスマスのチキンやケーキ、オードブルのたこ焼きやフライの皿と同じように、見事なシャケ料理を並べ始めた。いきなりどうした緑谷出久!?サンタ衣装に着替えた切島に飯田も何があってそんな事を口走るのかと、尋ねるが、どんどんシャケ料理が置かれていった。
緑谷が宅配業者に頼んでいたのは、ノルウェー産サーモン一尾、そしてスモークサーモンであった。わざわざ自腹を切って頼んだらしくそれらを使った特製クリスマス鮭料理をつくっていたのであった。緑谷が作り上げた料理は以下の通り。
スモークサーモンマリネのリースサラダ
鮭のバターピラフ
サーモンと冬野菜のチーズフォンデュ
鮭の握り寿し(生とタレマヨ炙り両方)
サーモンスティックフライとタルタルソース
スモークサーモンとアボカドのクリスマバケット
ピザやチキンとオードブルの中にさらなる彩りが加わって行った。その鮭三昧な料理に、何故と思うクラスメイトだったがーー。
「でもめっちゃレベル高い!?」
「よくまぁこれだけを一人で……」
クオリティは満点である、おしゃれなクリスマス鮭料理に麗日も耳郎もよだれが垂れそうになっていた。林間合宿でもテンションがおかしくなった爆豪と絶品カレーを作った事があったが、どうやら緑谷は料理の腕はあるようだ。
「けど、何でシャケなんだ?クリスマスにシャケって聞いた事ないぞ?」
しかし疑問は出てくる、どうして鮭料理を唐突に緑谷はクリスマスで並べたのかと瀬呂が首を傾げた。
「知らないのかい?フランスではクリスマスにサーモンを食べるのは一般的なんだよ、緑谷くんはよく分かってる……本当に美味しそうだ」
シャンメリーを眺めながら、フランスのクリスマスでは一般的だと語る青山、心無しかそのクオリティに気分が上がっているのが声で聞いてとれた。
「ま、まぁ美味そうだからいいか!よっしゃ!じゃあみんなジュース持ったかー!!」
だがパーティーに料理はたくさんあって彩りがある事はいい事だと、切島がジュースは行き渡ったかと尋ねて、皆コップを掲げた。
「それじゃあ……メリークリスマース!!」
声が響き渡り、A組のクリスマスパーティーが始まった。
始まってしまえばやはり彼らも高校一年、料理に舌鼓をうち、あれよあれよと皿が綺麗になっていく。やはり多めに作っておいてよかったと、まだ冷蔵庫に眠る追加のシャケ料理や、まだ作っている途中の料理を砂藤と確かめながら自身も楽しんでいた。
「そう言や……今度はインターン行けって言われたよな、冬休み中……俺ら雄英史上最も忙しない一年生だろ」
切島が一緒に固まって喋っていた男子組に呟く。終業式の後、相澤先生より任意参加だったヒーローインターンが、唐突に全員参加する様に指示された。冬休み中は皆、プロヒーローの元で研鑽を積むようにと。そもそも、二年や三年で行う事を前倒しで行うようになった理由は何なのだろうか気になるところだ。
「緑谷くんはそのままナイトアイ事務所に?」
インターンに参加していた男子は緑谷と切島だけ、緑谷は飯田からそのままナイトアイ事務所に行くのかと尋ねられたが。
「いやそれが……放逐されたんだよね、僕」
「え!?あんな活躍したのに!?」
緑谷はナイトアイ事務所からまさかのリリースをくらっていた。死穢八斎會の活躍を知る切島が衝撃を受けたが、緑谷はその理由を語る。
「何でも、インターンができない程に重要な仕事が回ってきたみたいで、ミリオ先輩も一時待機って……まぁ、そもそもナイトアイのインターン自体、訳ありだったから……」
インターン後、文化祭を終えたあたりにその連絡がナイトアイから来ていた。それからナイトアイから連絡は無く、通形ミリオからも話を聞いたが連絡はつかないらしい。
「師匠……グラントリノも、今何やら多忙でインターンを受けれないし……宙ぶらりんなんだよね」
「ほーん……なら、タカカズさんは?」
「今やっと退院したから……ちょっと遠慮しちゃうかな?」
自身の徒手空拳の師、グラントリノにも尋ねたが彼も何やら多忙。ならばいよいよ、『ナイスガイヒーロー』タカカズにインターンを頼めるのではと切島に聞かれたが、ようやく退院したばかりの為、流石に遠慮すると緑谷は言った。
「とりあえずは、学校の紹介をあたろうかと思ってる」
と言うわけで、学校からの紹介を頼ると決めた緑谷に切島は、芦戸からサンタ衣装を着せようと警戒している爆豪にも尋ねた。
「爆豪はジーニストのとこに行くのか?」
「ああ!?」
いきなり尋ねられ、がなる爆豪だったが……しばらく黙ってから口を開いた。
「……決めてねぇ」
唐突にしおらしくなった爆豪に、緑谷はふと思い出して切島の耳元に近づいて囁いた。
『切島くん……ジーニストさん、復帰間近でいきなり行方不明になったんだよ……ニュースにもなってた』
え!?と耳打ちした緑谷に、切島は知らなかったらしい、やっちまったと慌てて、とりあえずフォローしようと言葉を紡いだ。
「ま、まぁ!お前指名あったしな!体育祭で!行きたいところ行けんだろ!!」
「今更有象無象に学ぶ気ねぇわ……」
上鳴に被らされたサンタ帽を床に落としながらそう言い切る爆豪に、芦戸がサンタコスを持って近づいた。
「着せんじゃねぇ!」
「えー?着なよー?どーちょーあつりょくにくっしなよー?」
「そうだよかっちゃん、ノリ悪いなー?」
ノリ悪いぞと緑谷も加勢して言うが、そんな緑谷に爆豪は細目でしばらくその衣装を見て言い放つ。
「突っ込まんぞ、クソヴィラン」
「そんな!?」
「そう言えば緑谷……何でお前クリスマスツリーなんだ?」
皆がサンタ衣装に身を包む中、緑谷は何故かクリスマスツリーという仮装で参加していたのであった。ツッコミを期待してもしねぇぞと爆豪に言われ、緑谷は崩れ落ちた。切島も、トナカイでなく何故と尋ねた。
「インターン先か……」
轟も、ようやく仮免を取得した身、初めてのインターンとなる為やはり考える事はあるらしい……それはそれとして。
「半分野郎、突っ込まんからな?」
「な!?」
「轟もなんでクリスマスツリーやってんだよ……」
轟も、緑谷とクリスマスツリーの仮装をして爆豪が突っ込むまで待っていたらしい。