【原作完結】僕の脊髄ぶっこ抜きアカデミア【オリジナルストーリー開始】 作:ぶっこ抜きデク
「おい!聖しこの夜だぞ!いつまでも学業に現をぬかしてんじゃあねぇ!」
「斬新な視線だなおい……」
緑谷達のインターン話に峰田がキレた!もう先日まで死にそうな目にあったのに、やっと安息の日を得たのに勉強を思い出させるなと文句を垂れ流す。そんな反論の仕方ある?と上鳴はちょっと怒りすぎだと峰田を嗜めた。
「まぁまぁ、峰田の言い分も一理あるぜ?ご馳走を楽しもうや!!」
しかし今回は峰田が正しいと、砂藤は追加の料理……それこそアメリカのクリスマスに出てくる七面鳥を携えて現れた。料理もできるシュガーマン、砂藤力道である
「確かに、空気を読めなかったね……まあまあ峰田さんや、お詫びの一杯……」
「うむ、良きにはからえ……緑谷、枝が瞼に刺さってる刺さってる」
「やっぱり着替えたほうが良くないか?緑谷」
確かにと反省した緑谷は、ジュースを峰田に注いであげたが、クリスマスツリーの仮装の枝が瞼に刺さってると指摘された。流石に瀬呂から、衣装変えたほうが良かろうと突っ込まれ、緑谷と轟は渋々サンタコスに着替えるのであった。
さて、着替え終えてすぐ、さらに来客がA組寮に訪れた。
「遅くなった、もう始まってるか?」
担任の相澤先生が申し訳なさそうにしながら訪れた。その傍には……。
「とりっくおあ、とりーと?」
「ちがう、混ざった」
「おにはーうち、ふくはーそと……」
「それは二ヶ月先……」
サンタ姿のエリちゃんも、このクリスマスパーティーに来たのであった。
「か、かわいー!」
「似合ってるなぁ……」
インターンで関わった緑谷、切島、麗日、蛙吹が寄って来て彼女を歓迎し、そのまま中に迎えられて早速歓待のシャンメリーが他のクラスメイトから渡された。そうして彼女が微笑む姿に安堵を覚えた緑谷だったが……。
「ツノ……また大きくなってますが……」
まだ制御し切れてない個性、その際に現れる彼女のツノがまた大きくなっている事に気づいた緑谷に、相澤が語り出した。
「B組との訓練の後、また少し異常があってな……とりあえず抹消で何とかなった、通形達も見てくれてる……物間にも個性をコピーして貰って色々調べてな、経過は良好だよ」
「物間くんが?」
丁度、那歩島に行く前くらいに発作があったらしい。物間も彼女に会ったのかと、少し顔を顰めた緑谷を察したのか、相澤は続けた。
「あいつも合同訓練で堪えたらしくてな、今は大人しくしてる……物間のコピーもあって、エリちゃんの個性がどんなものかも少しずつ分かって来たんだ……まぁ、無理に仲良くしろとは言わんよ」
彼女の特殊な個性『巻き戻し』は、緑谷の『脊髄ぶっこ抜き』と同じで、あまりに異質だった。その理解のために、物間のコピーにより使い方を探ったりどんな個性が理解しようとしたらしい。
今は大人しくしてるのか、そうか、ならいいが……緑谷は物間の顔を忘れ、パーティーを楽しむ事に決めた。
「それはそうと先生、シャケ食べます?新鮮な生食の牡蠣に、ロブスターも用意したんですけど」
「自腹か?お前何をそこまで……」
学生のパーティには度がすぎる御馳走に、相澤は驚く。自腹で出したにしても何故そこまでと言われた緑谷は、シャンメリーのグラスをくるくる揺らしながら答えた。
「僕、クリスマスパーティ初めてなんですよね……幼稚園や小学校の時も、違う場所に案内されてハブられたりしまして……」
まさかの悲しい過去に、少しばかり引いた相澤は、緑谷の肩を叩いて言う。
「……お前も楽しんでこい、緑谷」
「はい……」
まだまだクリスマスパーティは始まったばかり、緑谷も騒ぎ出した皆の輪に混ざって、パーティは更に盛り上がって行った。
ヒーローの名門の雄英生、その多忙な今日までを、これからを一時でも忘れて楽しむ聖夜。御馳走に舌鼓をうち、歌い、笑い合って時間は過ぎて行った。
「プレゼント交換やるぞーー!!」
「「「おーー!!」」」
皆が持ち寄ったクリスマスプレゼントの交換会。緑谷は手製のオールマイトぬいキーホルダーを用意して、ツリーの前に置いていた。常闇くんが魔剣を携えて来たので尾白が驚いたが、皆クリスマスプレゼントに括られた紐を一斉に引っ張った。
緑谷は……麗日の用意したらしい『切り餅』が入っていたので、これは新年に食べようと決めた。
なお、その中でも飯田は、金の延棒10kg×5本(八百万のプレゼント)に、贈与税はどうしたら!?と真面目に調べなければならない羽目になり、常闇の魔剣はエリちゃんが手に入れてとても喜んでいた。
そうして、楽しいクリスマスパーティが佳境になった頃……来客が一人訪ねて来た。
「楽しんでるところ悪いね、緑谷くんは居るかい?」
訪ねて来たのは……、根津校長先生であった。
「校長先生、こんばんは、僕に何か?」
「厚着の校長……めっちゃかわいい!」
厚着のクリスマス仕様な校長先生の姿に麗日がほっこりする。そんな校長が、緑谷に用があるらしく訪ねて来たのだった。
「実は……、今さっきキミに届け物が来たんだけどね、品物が品物だから直接来て欲しいのさ」
「届け物……?あれ?頼んだクリスマス用の料理の材料は全部日中に受け取りましたけど……」
クリスマス料理の材料なら全て午前中に受け取ったが、まだ何か受け取り忘れがあったかなと、ネットショップの注文履歴を確認しようとした緑谷に、根津が違うよとすぐ理由を答えた。
「届人はキミのお父さんから、届け物は……キミ宛へのクリスマスプレゼントなのさ!」
「父さんから?」
まさかの、父親からのクリスマスプレゼントに緑谷は驚いた。毎年クリスマスカードは貰ってるし、欲しいものを聞かれたりしたが、そこまで欲しいものは無く、多忙だからメッセージだけでも嬉しかった緑谷に、今年は父からプレゼントが贈られて来たのだった。
「届いた物が物だから、ちょっと来て欲しいのさ!」
余程の物らしい……緑谷は校長に連れられて、その場所まで行く事になり……何だ何だとクラスメイト達も緑谷に贈られた父からのクリスマスプレゼントが気になって、寒空の下外に出る事になった。
「あの……校長?」
「何だい?」
「これ、ですか?」
「ああ、これさ!!」
そして……緑谷が連れられたのは、雄英高校の教師及び来賓の駐車場で、その駐車場のスペースにそれは鎮座していた。
「なぁ、あれって船とかに積んであるコンテナだよな?」
ついて来たクラスメイトの切島も、何でコンテナがと駐車場に鎮座したそれを見て驚いた。
「父さん……一体何を送って来たんだよ」
こんなコンテナで送られてくるクリスマスプレゼントとは一体……とりあえず緑谷はコンテナの前に立てば、そのコンテナ自体も普通では無いと思い知らされる。コンテナの扉が……網膜認証だった。確かI・アイランドの入国審査で登録したな、そこから持って来たのかと緑谷は網膜をスキャンさせる。
『認証完了……ドアからお下がりください』
「おいおい……めちゃくちゃハイテクじゃね?」
アナウンスに従い扉から離れた緑谷、その様子にやはり男子勢、上鳴はこれから何が出てくるのかと緑谷のプレゼントに他人ながら興奮してしまった。
様々なロックが、自動的に開錠されて扉が両開きにされていく。暗がりの内部に白い光が灯って……緑谷は父親からの贈り物と対面した。
「これって……」
それは……バイクだった。市販で流通している何もかもと違う、だがそのフォルムには見覚えがある。それにわざわざ似せつつも、独自のデザインに落とし込んだバイクが、車輪を固定されて鎮座していた。
「か、かっけぇーー!?バイクだ!!」
「ヒーローモービルか!実物の!!」
緑谷久から、緑谷出久へのプレゼント……それは『ヒーローモービル』であった。切島に上鳴も、これには流石に興奮して思わず緑谷とコンテナの中に入り、まじまじとそのバイクを観察した。
緑谷はそのバイクのシートに触れながら、メーターなどを観察していく。ふと、さらに奥に目を向けて、緑谷はさらに驚かされた。
「え……うそ、まさか……」
その奥にまだ、あったのだ。
バイクだけではない、その壁に掛けられたその贈り物を緑谷は見上げる。専用のフルフェイスヘルム、アーマーやガントレットにレガースそして漆黒のコート……。
「これはつまり、ヒーロースーツか、同胞よ」
「みたい、それだけじゃない……サポートガジェットまで……」
横並びで飾られたヒーロースーツを常闇も眺めながら尋ねられた。雄英の被服控除ではない、緑谷の父親がデザインしたヒーロースーツ……何という贅沢な『ヒーローなりきりセット』が、緑谷久から息子に送る誕生日プレゼントであったのだ。
「な、なーなー!動かしてみたりしてみろよ緑谷!」
クラスメイト達がやはり気になると中に入って観覧する中、峰田がそう言ってシートに触った……瞬間だった。
『警告、マスター以外からの接触を確認』
「うわぁぉぉ!!」
警告音がバイクから鳴り響き、壮年の渋い男性声のアナウンスまで流れ、峰田は思わず飛び上がった!
「しゃ、喋ったぁ!?」
「いや、ただのアナウンスじゃない?」
持ち主たる緑谷以外が触れたから喋ったのかと麗日が驚き、葉隠はただの登録音声ではと訝しむ……が、そのバイクはさらに言葉を発した。
『初めましてマスター、私の名前はイーヴルマジン、マスターである緑谷出久様のヒーローモービルそのものであり、サポートAIでございます、以後お見知り置きを』
沈黙……しばらくの沈黙が緑谷達A組に広がり……。
「「「しゃ、喋ったぁああーーー!!」」」
爆豪を除いた一同が、100点満点のリアクションを夜空に響かせた。
その一方で、緑谷出久本人は……。
「どうしよう……雄英ってバイクの免許とれたっけ?」
乗ろうにも、免許取らないといけないじゃないかと、別の事に頭を悩ませる事となった。