【原作完結】僕の脊髄ぶっこ抜きアカデミア【オリジナルストーリー開始】 作:ぶっこ抜きデク
『小回りの移動が効き、空すら飛ぶ戦車……という事か』
倫理観皆無の戦いを見せる緑谷チームを見て相澤消太は脳内でそう評した。
まず移動面、発目明のジェットパックによる飛行能力の取得、着地とその重量の問題は、麗日の個性無重力で軽量化する事により解決。
防御と索敵を常闇が担当、近距離から中距離の防御を、彼の使役する個性のモンスター『ダークシャドウ』でカバーする。
攻撃は緑谷の射撃に一任、何より緑谷は個性と今までの人生から生まれた『歪み』により、ヒーローの持つ『躊躇』が一切ない。戸惑いなく、迷いなく引き金を引く冷徹な攻撃装置の役割を果たしていた。
『無邪気な奴だ、余程楽しいらしい……』
行事ではあるが、これは今のヒーロー飽和社会の縮図である。他人を蹴落とし事務所の為に、飯を食うために活躍し、時には他者とのチームアップでアピールする……。そんな意図を知っているのか、はたまた知らず男の子のヒーロー人形遊びの様に遊んで楽しむ緑谷が、いよいよ毎度衝突する幼馴染でクラスメイトと接敵する様を、相澤は細目ながらしかと目に焼き付けようとした。
「クゥソォヴィラァアアアアアアン!!」
「うぉおおお緑谷ぁああああ!!覚悟ォオオ!!」
爆豪チーム、緑谷チームに突貫す!気迫を抱えた幼馴染の突撃に、緑谷はまずヒーローがしちゃいけない笑顔を浮かべた。
「リフトオフ!常闇くんはダークシャドウの防壁準備!無理はしないでよ、無理そうなら僕の肉体(ライフ)で受け止める!」
「了解!お前こそ無茶はするな契約者!一蓮托生だ!!」
ジェットパックで空へ再び逃げる緑谷チーム。
「逃すかよぉ!!」
「あ!おい!?」
しかし騎馬から飛び降りた爆豪は、自らの爆発の個性で空へ爆風を駆使して追従!名前は爆速ターボだったな、そう名前をつけた移動加速技で駆け上がる爆豪を緑谷が迎え打つ!
「死ねぇええ!!」
「ひいっ!競技だよこれぇ!」
「緑谷!」
BAGOOONN!!鉢巻取りに行くどころか殺しに来ている爆豪の掌底を、常闇のダークシャドウが防御!競技忘れていると怖がる麗日を他所にーー背中から異音が鳴り響く!
「わぁああ!?私のベィビィがぁ!そんな柔なはず無いのに、余波だけで壊されたぁあ!?」
「麗日さん不時着用意!やってくれるなぁ、かっちゃん!」
「うん!うう!?あ、ああ!?足の方も!!」
その爆発の余波だけで!緑谷の飛行手段ジェットパックを破壊!さらに麗日が足に履いていた体勢制御用スラスターも余波で破壊されて不時着に入る!背負ったジェットパックを背中から外し、緑谷はまだ滞空する爆豪に投げつける!
「ああ!ベィビイをそんな!」
「後で弁償する!」
「まぁ終わったら回収して改良すればいいのですが……」
「足掻いてんじゃあねぇぞ!」
執念深くまだ鉢巻を諦めちゃいないと、二度目のアタックを仕掛ける為投げられたバックパックを薙ぎ払う爆豪だったが!
「爆豪!」
「あぁ!?」
爆豪チームの騎馬、瀬呂範太の個性『テープ』に巻き取られ、無理やり引き戻された。ふざけんじゃねぇ!邪魔すんなとキレそうになった爆豪だが、すぐ不時着中の緑谷チームの緑谷が、グレネードランチャーを構えていたことに気付いて理由を解して舌打ちした。
「分かってくれてありがたいよ」
破壊されたジェットパックで爆豪の視界を遮り、それを退かして接近して来たら対空砲火で撃ち落としに掛かっていたのだ。
グレネードガンの構えを解いて、着陸した緑谷、難は逃れたがダメージは大きいと確認から入る。
「ダメージコントロール、もう飛行は出来なくなった、常闇くん!ダークシャドウはあとどの程度耐えれる?麗日さんは制限時間確認!」
「残り6分!」
「然程じゃあないが……また一難来たぞ契約者!」
状況確認を終えたが息つく暇は無し!こちらを見据え狙いを定める……轟チームを見て緑谷はグレネードガンで肩をトントン叩いて眉間に皺を寄せる。
「特待生2人、その片方は氷と炎、もう片方は万物を作り出す力、一年最高速、無差別広範囲雷撃……チート詰め詰めだなぁ、やってらんないよ」
勝つためだけに組みましたチームだ、自分だってこんなの組みたいと思うくらいに。緑谷は警戒を緩めず轟を見据え呟く。
「なら降参するか契約者、1ヶ月昼食奢るという供物なら、まぁ考えてやらんでないぞ?」
「こ、降参しないよね出久くん!?」
過る降参の二文字、しかし緑谷は笑う。
「オールマイトなら降参しない、そして僕も降参しない……ヒーローは諦めない」
憧れたあの人は、教師陣の席にいるだろうあの人は絶対諦めはしない。諦めれば……背中の無力な、助けを求める人たちの命を守れないから。
「策はありますかな?」
「今考えてる、だからそのまま皆、左に回り込むように間合いをとって」
左に回り込む、それだけ……それだけで間合いをキープして、ダークシャドウの盾を構え防御を固めた。
「あのガキ……上手い事をする、しかもあの様子、焦凍の弱点を把握してる様だ……アホめ」
身体中から炎熱を漂わせた巨躯の男が、その小競り合いを見て呟いた。轟焦凍の父『フレイムヒーロー』エンデヴァーは、息子の思い詰めたように見えて歯痒い不自由な状況にそう溢した。