※この作品はR-18です。

【原作完結】僕の脊髄ぶっこ抜きアカデミア【オリジナルストーリー開始】   作:ぶっこ抜きデク

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37話 制限時間数秒の戦い

『射線をずらして……俺の氷を撃たせないようにしてる……撃てば飯田を巻き込む……全員の個性を把握しているのは本当だったか……』

 

 左に回り込み間合いを取る緑谷チーム、その指示をしているのは騎手たる緑谷だろうと轟は思案する、そしてこの動きだけで、氷の個性を使えば飯田を巻き込む羽目になるのは見えている、ここまでそれは避けて使って来た。

 

 炎を使えば容易い、しかし使えない、いや……。『使わないようにしている』のは、クラスメイトの数人も勘づいている事実だ。

 

 どうする……どうやって鉢巻を奪うと思案を重ねる轟に、飯田が言った。

 

「轟くん、八百万さん、上鳴くん……僕に名案がある……」

 

 

 

 目線を離すな……間合いを管理して周囲にも気を配れ、残り1分少し……緑谷出久は言い聞かせ、時間を潰す間合いをしっかり保つ。

 

 デジタルタイマーが、一分を刻む。

 

「まだあきらめるかーー!障子!息子の恨み晴らしてやれー!」

 

「クソヴィラン!テメェはここで終わらせたらぁああ!」

 

「顔面へこませやがったなぁああ!ぶっころしたらぁああ!」

 

 緑谷と轟の鍔迫り合い、その漁夫の利か、その空気を断ち切る怒号が降り注ぐ刹那。

 

「上鳴くん!!」

 

「しっかり防げよぉお!!」

 

 先に仕掛けたのは……轟チーム上鳴!

 

「無差別放電!サンダァアアアボルトぉぉおお!」

 

 その個性『帯電』により、全方位無差別攻撃を発動!

 

「常闇くん!」

 

「耐えろ!ダークシャドウ!」

 

『アバババババ!!』

 

「かぁみぃなぁりぃいい!?」

 

「あががががががか!!」

 

「どぁあああああ!!」

 

 周囲を巻き込んだ放電で、緑谷チームと緑谷を狙う他の面々を牽制!その放電を、緑谷は常闇のダークシャドウで防御し……轟は八百万の個性『創造』で作りだした絶縁シートで自滅を防ぐ!

 

 この放電で、上鳴はもう個性を使えない!なら次はと緑谷は飯田のこの瞬間の奇襲を、見抜いた、正解した、しかし……見抜いてはいたが……。

 

「トルクオーバー……!!」

 

 いつもの、飯田くんの機関の音では無いと気付いた。緑谷出久は、現在一年の個性は全て把握している。しかし……知らない事もある。

 

『奥の手』だ、自身の今後を顧みない禁じ手までは全てを知る事はできない、目撃する事すらまず難しい。

 

「みーー」

 

 指示を出すよりも早く、目前から消え去った轟チームが、左側を通過して……緑谷の10000000ポイントの鉢巻を奪い去った!

 

「レシプロバースト!!」

 

 やられた!見事に!飯田が、自分と並び立ちたいと宣戦布告をした15分前を思い出した。

 

『あぁあーーー!つ、ついに取られた!轟チーム!緑谷からポイント奪取ぅうーー!!』

 

 この奪取劇に会場は一気にヒートアップ!一気に順位を落として敗退まっしぐらの緑谷だったがーー。

 

「常闇くん!麗日さん!発目さん!突っ込め!!まだ諦めない、取り返すぞ!!」

 

「うん!」

 

「まだ諦めませんよぉ!」

 

「あぁ!取り返すぞ!この数十秒で!」

 

 ならば取り返すまで!精神的動揺は皆無だと、通り過ぎたがまだ近くに居る轟チームへ向けて、グレネードを発射し突っ込んだ!

 

「僕は、使い物にならない……耐えてくれ轟くん、八百万さん……」

 

「来ますわ!最後まで油断をーー」

 

 グレネードが着弾し、破裂した瞬間!バフぅうと白煙が一気に広がった!!

 

「煙幕!?こひゅ!けほっ!」

 

「催涙弾か!こんな物まで!」

 

 緑谷が装填していたのは煙幕弾、催涙弾程強く無いが、八百万の隙を作るのには十分だった。

 

 上鳴の放電、そこから飯田の禁じ手により奇襲し、鉢巻を奪取、残り数十秒を八百万の創造を使い耐えるという飯田の策は確かに成功したが、耐える為のカードを煙幕でたたきおとされたのだ!

 

 どこから来る!歓声で足音も聞こえない、右か、左かと目を凝らす中……影が動いたのを見た!

 

「上かーー!」

 

 真上からの奇襲!見上げた先にあったのは……緑谷最後のガジェットグレネードガンそのもの!じゃあどこだと顔を下ろした瞬間!

 

 現れたのは……真正面!煙幕の中を真正直に突き進み、その右手を首にかけた鉢巻きにーー。

 

「やらせない!」

 

 自分なら防げる!この速度なら!そう首の、いくつか他チームからも奪った鉢巻を守る為左手で防ごうとしたーー。

 

 しかし、緑谷の右手は、鉢巻ではなく……轟の頭頂部を鷲掴みにしたのである!

 

「ーーーーー!?」

 

 轟は思い出した、USJのあの血の惨状……緑谷のその両手に持つヴィランの、脊髄付き生首……!緑谷がルールを破る筈がない、苛烈だが、優しい、それでいて真面目だと轟も知っている。

 

 しかし、過ってしまった。教室で、爆豪がやらかしぶっこ抜かれ死ぬ様を、血を吹き出して痙攣する首なし死体を!

 

『死』

 

 その一文字が過ぎって、轟はーー。

 

「うわぁあああああ!?」

 

反射的に、生存のために、左手の使わないと決めた炎と共に、緑谷の右腕を弾いた。

 

「臆したなぁ!?常闇くん!!」

 

「任されたぁ!」

 

『個性』のフェイント!!決して使ってはいけない、しかして所作だけで『その個性を知るならば恐怖する』という、死をちらつかせるフェイントと共に!緑谷の左手と常闇のダークシャドウが首にかけた鉢巻へ向かいーー。

 

『ターーイムアーーーーップ!!』

 

 第二試合は終了した。

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