※この作品はR-18です。

【原作完結】僕の脊髄ぶっこ抜きアカデミア【オリジナルストーリー開始】   作:ぶっこ抜きデク

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scene1 最悪な日の始まり

 オセオンは……橋を隔てて二つに分かれている。片方は裕福な街、今風なビルから昔ながらのデザインでも小綺麗な家屋や店が並ぶ賑やかな街。

 

 もう片方は、貧民窟。彼方此方に家が密集して、古き良きなんて言えない場所、空港の滑走路があって騒がしさに住民は我慢しながら寝ているような、そんな街。

 

 橋の下のトレーラーハウスが立ち並ぶその一つ、ひび割れた鏡の前でネクタイを整えながら少年は背後の同居人に言う。

 

「ロロ、ララ、そろそろ仕事行って来っから、お前らはちゃんと……」

「「勉強しまーす!」」

 

 振り返りながら笑って、少年は小さな男の子と女の子にさらに尋ねる。

 

「帰りが遅くなるようだったら?」

「「ごはんをつくりまーす!」」

 

 二人の返事と共に渡されたジャケットを羽織ると、少年は悪い笑顔で振り返って子ども達へさらに尋ねる。

 

「もし、へんなやつが声をかけて来てもーー!」

 子ども達は笑って駆け回って、それを少年は追いかけて戯れ、そして子ども達はそろって言う。

 

「「絶対に無視しまーす!」」

「よーし!」

「「よーし!!」」

 

 我が家の決まり事を復唱し終え、少年は扉を開けて外に出ながら子ども達に告げた。

 

「でも、今日はそこまで遅くならねぇと思うわ」

「「やったー!」」

 

 帰りは遅くならないと少年から聞いて、子供達は喜ぶと、少年の襟元からピンクの鳥が出て来て、子ども達の頬へそれぞれキスの様につっついた。

 

「あは!ピノ!」

 

 ピノという名前の鳥は少年の肩に止まり、そして少年は子ども達に告げた。

 

「じゃ、行って来っから」

「「いってらーー!」」

 

 ポケットに手を包み、少年は貧民窟を駆ける。行った手前さっさと仕事を終わらせ帰ろうと、考えながら……ふと頭上の音に路地から空を見上げた。

 

 飛行機が飛んでいた、当たり前だ、近くに空港があるのだから……それだけだと少年はその足で仕事に向かった。

 

 

 

 看板も無い、ただ壁に赤いスプレーで『STAN LEYK'S BAR』と落書きのように記されたバーのドアを少年は開けるや、店主のハゲた男に尋ねた。

 

「おっちゃん、仕事あるかい?」

 

 グラスを磨くハゲた店主は、少年を見るや目を逸らしたが、カウンターに札を2枚置いたのを見て鷲掴みにして答えた。

 

「イースト3番通りの路地裏で受け取り、届け先はサウスグローブのチャイナレストランだ」

「ギャラは幾らくらい……」

「けっ、お前が交渉できる立場かよ、だまっていい値でやってりゃあいいんだよ」

 

 それを聞いたらしい、頭髪から飛び出たピンクの鳥は、お前ふざけんなよボケが!と文句を言うように少年の肩で鳴きわめくが、少年はそれを優しく包むように掴みながら言った。

 

「はいはい、わかりましたよ」

 

 仕方がない、そんな立場じゃ無いのは事実だから。バーから出てじゃあさっさと仕事に赴こうとした傍ら……少年は近くの電柱に小綺麗な自転車が、簡易なナンバー式チェーンで繋げられているのを見つけ、ニヤリと笑って近づいてーー。

 

 

 あら不思議、少年は自転車に乗ってベルをバーの前で鳴らしてやったら、店主が窓を開けて叫んだ。

 

「テメェ!?俺のチャリを!!」

「どーせ盗品っしょ、後で持ち主にかえしとくよ!」

 

 ザマァみやがれ!ピンクの小鳥もご機嫌に鳴き声をあげて少年は盗んだ、盗品の自転車で仕事場へ向かうのだった。

 

「さ、お仕事お仕事……」

 

 そんな貧民窟の少年は、いつも通り後ろめたい仕事で日銭を稼ぎに煌びやかな街に向かう……それが人生最悪の日になる事も知らずに。

 

 

「賑やかな街だなぁ……」

 

 路面電車に綺麗な建物、行き交う人々……こちらはオセオンの日向の街とでも言うべきか。緑谷出久は両手に様々な食品の紙袋を抱えながら呟いた。

 

「オセオンで一番大きな都市だからな……」

 

 その呟きへ、呑気な返答をする轟焦凍も両手に食料品を抱えていた。

 

「待機だかなんだか知らねぇが……なんで俺が買い出ししなきゃなんねぇんだよ!!」

 

 二人の前を歩く爆豪勝己の両手も同じで、不満を緑谷に吐き散らした。俺が、なあたり他二人はどうでもいいが俺はなぜ!?と思ってならない傲慢さが見て取れた。

 

「チームで一番下っ端なのは俺らだ」

「ああ!?」

 

 その答えは轟から即座に出て来た。自分たち三人は一番下っ端だからであると。

 

「世界選抜チームに加われたのも、エンデヴァー事務所にインターン中だったからだ、いわばおまけみたいなものだ」

 

 その通りだった。そもそも、普通のヒーローでは無い仮免ヒーローな自分達まで動員が掛かるくらいに、此度の事件は規模がでかい事が分かる。自分達だけでは無い、日本含め世界中が今、テロの危機にさらされていて、雄英高校も総員で参加する事態になっていたのだ。

 

「それでも……チームに入れられたなら全力でテロから皆を守らないと」

 

 たとえおまけだろうが、自分達はプロヒーローの領域に踏み入った。ならばその責務を果たさねばと緑谷は意気込む。

 

「思想団体、ヒューマライズ……」

 

 此度のテロを起こした思想団体の名前を轟は反芻するように呟く。

 

「クソ妄想に取り憑かれたクソ団体……何が個性終末論だ……なんの根拠も無ぇ眉唾モンの御託を間に受けーー」

 

 爆豪も、バカな思想の狂信者とテロリストだと切って捨てようとしたが……緑谷の方を見て言葉が止まった。そして轟も、緑谷の方を見て少し顔が歪む。

 

「根拠……あったわ」

「まぁ、言い分は少し、わからんでも……」

「おいコラ、二人とも何故こっち見たの、ねぇ?脊髄ぶっこ抜かれたい?」

「「いえ、なんでもありません、ごめんなさい緑谷くん」」

 

 緑谷は、二人に笑顔で何故今こっち見たか尋ねたが、声は決して笑っていなかったので、二人して謝罪した。

 

 

『個性終末論』

 

 

 現在、世界の約八割の人間が何らかの個性を有しているが、その個性は代を経るごとにより強く、複雑になっていく。その果てに『個性』は人間には制御が効かなくなり、やがて自身に牙向き自壊する……その果てに人間は絶滅すると言うのが、個性終末論だ。

 

 オカルトと思われるが……実際世代を経て個性は複雑強力になっているのは事実。緑谷出久の『脊髄ぶっこ抜き』なぞ、他の今の個性持ちからすれば残虐極まりない個性でリアリティを生み、そうなのでは?と信じてしまう者も居る。

 

 その終末論を掲げ『人類救済』を成そうとして此度の個性暴走テロを起こしたのが、世界規模の思想団体『ヒューマライズ』であり、その教祖『フレクト・ターン』であった。

 

 思想の自由はいいが……それでテロを起こして何人も犠牲者を出したなら、それはもう『テロ組織』であり、ヴィランでしかない。

 

 その行方も、兵器であるトリガーボムも見つからず待機となり、緑谷達は下働きの買い出しに出たわけである。

 

 が、それとは別に事件とは、外国でも起こる者で、緑谷達の景色の先で、突如爆音と煙が巻き上がった。

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