【原作完結】僕の脊髄ぶっこ抜きアカデミア【オリジナルストーリー開始】 作:ぶっこ抜きデク
「う おあぁあぉあーー!!」
「いいゃああああああ!?」
景色が二転三転ではすまない、上下左右が入れ替わり今何処にいるのか空は何処かすら理解できなくなった少年は、叫んで必死に恐怖を押し殺すしか無い。
対して緑谷は電車の上を跳ね、横に降りては引き寄せて矢を避け、当たりかけたら弾きを繰り返す。
エンデヴァーから『日常でも個性を使い、より理解を深めろ』という指導のおかげもあってか、長時間かつ連続の引き寄せを可能となっていて、こんな状況なのに緑谷は自らの成長を実感した。
「きゃあああ!?」
が、気付く。矢が電車の窓を割ってでも自分たちを狙っている事に!中の客の被害など考えちゃいないと。車内からの悲鳴を聞いた緑谷は、即座にここを離れなければと判断した。
「おい、飛ぶぞ!しっかりつかまりなよ!!」
「ふぇ?」
緑谷は一度橋から海上に飛び出ると……そのまま空向って自らを思い切り引き上げた!
「あぁああああああ!?」
「ぐぅうう……!!」
緑谷の身体に凄まじい負荷が掛かり、視界がぼやけた。確か……グレーアウトという戦闘機乗りの、重力加速度で起こる現象かと、それでも空高く舞い上がり矢から引き離したのだがーー。
「あう……」
「あ!?しまった!!」
引き連れている運び屋の少年は、力を失い、真っ逆さまに橋へ落下していく!ジュラルミンケースごと!即座に緑谷は身体を転身させ、ヘッドダウンで追いかけて、落下ギリギリで少年とジュラルミンケースを抱え上げた。
しかし、また矢が、さらに追いついたらしいパトカーまでもが執拗に追跡を諦めず緑谷を追ってくる。
こうなったらと、緑谷は即座に海へと自らを引き寄せし、そして少年を抱えながら海へとダイブした。
ーーその頃、オセオンヒーローチーム待機のホテルでは……。
「馬鹿者!!今は重要任務中だぞ!!」
エンデヴァーの怒声がホテルに響き渡っていた。
「それ以外の事件は地元のヒーローに任せておけばいい!!」
轟焦凍と爆豪勝己は、エンデヴァーから叱責を受けていた。重要な任務中に離れたことへの叱責に、焦凍は言い返す。
「困っている人を助けるのがヒーローだろ!」
「仕事に大小つけんのかよ?んなことインターンで習ってねんだよ」
爆豪も、事件解決してヴィラン確保して叱責なんかふざけるなと、あんたは仕事を区別しろと教えちゃいないだろうと言い返した。
「反省せんか!!それで……イズクはどうしてる?」
生意気なとエンデヴァーが怒るが、それはさておき帰って来てない緑谷はどうしたんだとエンデヴァーは焦凍に尋ねた。
「宝石強盗の仲間を追跡してる……だが全然電話に出ねぇ……」
「弛んどる!!インターン中だからと連れてくるのでなかった!!」
やはりこの任務に同行させるべきでなかったわと猛るエンデヴァー。そして、そのタイミングを見計らったかのように焦凍のスマホが鳴った。相手は緑谷だった、ようやく不在着信に出れたようだ。
「緑谷か?犯人とケースは?」
『犯人もケースも回収した、けど警察に襲われた』
繋がって開口一番、焦凍の質問に返って来た言葉に轟は、はぁ?と驚く。
「お前、一体何したんだ?」
『とりあえず皆に経過を報告したいから、スピーカーをお願いできる?』
「分かった」
何かあったらしい、緑谷に言われるがまま、轟はスマホの通話機能で、スピーカーをオンにした。
海から上がった緑谷は、不在着信の轟へ経過報告の連絡を行う事にした。待機中のヒーロー全員に話したほうがいいと、スピーカーをつけてもらい、経過報告に入る。
「ありがとう……一から説明するよ?まず、ヴィランの仲間を確保はしたんだけど、こいつは宝石を持っていなかったんだ」
『持っていなかった?』
まず、ヴィランは捕まえた。しかし宝石は持っていなかったという話から入り、轟が尋ねる。
「うん、中は書類と手帳……で、この運び屋が言うには途中で取り違えたとか言うからさ……その、轟くんが向った事故現場で一度手放したらしい、だからそこまで連れて行ったんだけど……そうしたらいきなり警察が来て、囲まれて発砲されたんだよ」
『いきなり?何も警告も無しにか?』
「そう……だからとりあえず、その運び屋を抱えて逃げて橋を渡す電車の上まで逃げたら……また別のヴィランに矢で狙撃されて……海に逃げて今空港側のーー」
『待て、緑谷……こっちでも何かあったみたいだ……』
順を追って説明する中、何やらホテル側でも何かあったらしい、通話が途切れる……。数十秒経ったくらいか、焦凍の声色が変わった。
『緑谷……お前本当に何をやった?』
轟焦凍、爆豪勝己……そして、エンデヴァー含めたオセオンチームヒーロー達は、そのニュース速報に愕然としていた。
『繰り返します、先程、オセオン警察の警官12名が殺害された事件で、犯人は日本から来たヒーロー、イズク・ミドリヤである事がわかりました』
緑谷出久が、警官12名を殺傷した。そのニュースにヒーローも、何より爆豪、エンデヴァーも唖然とするしかなく、焦凍は通話中の緑谷に伝えた。
「お前……大量殺人犯として指名手配されたぞ?」
『はぁ!?』
通話先の緑谷も流石に信じられるかと驚きの声が上がる。いやしかしだ……轟焦凍は、ふと、ほんの少し、魔が差したと言うべきか……ちょっとの可能性が思わず口からこぼれ落ちてしまった。
「緑谷……お前、ついにやったのか?」
「ぶふぉおあ!?」
「こら!焦凍!?」
緑谷出久の個性と、性格と、かつて自分も被害にあった事から焦凍は、こいつならやりかねないと思った一言に、緊張からの不意打ちに爆豪は吹き出しエンデヴァーも流石に父親として不謹慎だろと怒った!
『ついにやったってなんだ!!ついにやったって!?いくら何でも、僕が警察を十二人も殺してたまるか!!ヴィラン十二人ならともかく!!』
「まぁ……確かに……」
「おい半分野郎、お前マジふざけんな、あとヴィランだろうと生捕りだろうが、クソヴィラン……」
公僕殺しなんてやるわけなかろうがと、緑谷の叫びと殺るならヴィラン十二人だと言う、ヴィランだろうが駄目な真っ当なツッコミを爆豪が入れた。兎も角、いくら何でもこんな事件異常で、緑谷がやるわけ……無いと焦凍は思いたいので、今後どうするかを彼に伝えた。
「兎も角、そこから離れろ緑谷、こっちでも調べる……携帯の電池は外しておけ、GPSで追跡されるから……本当にやってないんだな?」
『誓って殺しはやってません!信じてよ!!』
悲痛な叫びをあげて、通話が終了した。
「警官12人殺したって何だよもう……ああ、最悪だ……」
指名手配された事実を聞いて、緑谷はスマホのバッテリーを抜きながらため息を吐くと、ふと背後からの気配に振り返る。
「うわ!?な、なぁ……仲間が迎えにくるんだろ?連絡したんだよな……いつ来るんだ?もう、降参するからさ……」
運び屋の少年は、もう懲りたと濡れた服で憔悴しきってジュラルミンケースを置いて、いつヒーロー達が回収しに来るか尋ねて来た……が、緑谷は首を横に振り、彼に話す事にした。
「迎えは来ない、申し訳ないけど……キミも、僕も指名手配されたみたいだ」
「え……」
それが、二人の最悪な日々の始まりであった。
ーー世界ヒーロー協会、作戦本部ーー
「オセオンから緊急連絡!緑谷出久が、現地で指名手配を受けた模様!!」
「緑谷少年が!?」
その報せに、オールマイトが驚愕した。何故?どうして?一体何をやったんだとオールマイトは驚愕した。
そして、このニュースは世界各国のヒューマライズ事件に関わる全チームに報告された。
ーー日本ーー
「何故そんな事に!?」
「オセオンで十二人の警官を殺害したって……」
日本チームに出向していた障子と耳郎が、その連絡に唖然とする。
「そんなバカな事があるかよ!」
その連絡に同じく所属していた切島が机を叩いて否定した。
「ヴィラン十二人の脊髄ぶっこ抜いて、ぶっ殺したの間違いだろ!!」
「いや待て待て待て切島!?それもアウトだ!!」
「あ、そ、そうだな」
「うちら、緑谷に毒されてるね……蘇生できるからラインが下がってるわ……」
傍にいた鉄哲が、それも駄目だろとツッコミを入れ、耳郎は緑谷と共に学んだ事もあり、倫理のラインがさがっているなとしみじみかんじたのだった。そして、プロヒーローのギャングオルカとファットガムは緑谷出久を思い浮かべ二人は思った。
『『あの子か……やりかねんな(やろなぁ)』』
緑谷出久、信用が少し無かった。
ーーエジプトーー
「あの子よね……脊髄ぶっこ抜きの?やりかねないわ……」
エジプトチームにもその報せは届き、出向していたMt.レディが呟き、それを聞いた上鳴が待ったをかけた。
「待って待って!うちの総大将、確かに情け容赦ないけど、パンピーに手を出すなんてぜってーしないって!なぁ!?」
確かに色々やらかすが、警察に手を出すなんて馬鹿げた真似はしないと上鳴の擁護に、同じチームとして出向していた瀬呂も声を上げる。
「当然!何かの間違いっすよ、もしくは……その12人が内通者で処理したとか……」
「いや、内通者でも殺したら駄目だろ」
「そ、そうっすけど……」
擁護したいのか、貶めたいのか、瀬呂の言葉にシンリンカムイも苦笑する。しかしーー。
「誤報だ誤報!!緑谷がそんな事するわけねぇ!!俺は信じねぇぞこんなニュース!!」
男峰田、緑谷出久は絶対そんな事しないと絶対擁護の気持ちを叫んだ。
ーーフランスーー
「信じない……出久くんが、そんな事をする筈がない!」
誤報と断じる者がここに一人、麗日お茶子はキッパリこれを誤報だと言い切った。
「ケロ!きっと何か裏があると思うわ」
蛙吹梅雨も、彼がそこまでバカな行いをする様な人では無いと頷く。
「大丈夫、エンデヴァー達も動いてくれるわ……」
同じくフランスに出向していたリューキュウも、心配ないと……ニュースの映像を見ながら呟いた。